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INTERVIEW

Japanese

まちぶせ

2019年02月号掲載

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Member:野々山 領(Gt/Vo) 山崎 強(Ba/Cho) ペンタ(Support Dr)

Interviewer:加藤 智裕

-先ほどちょっと話は出ましたが改めてみなさんのルーツを教えてください。

野々山:高校生のときに青春パンクが大好きで。青春パンクの人の歌い方ってがなったり叫んだりするように歌ってて、当時コピバンやってたんですけど、俺は全然迫力あるように歌えなくて。俺は何ができるんだろうなってことを思って、そこからオリジナル曲を作り始めたんです。日本のロックを聴いてると影響を受けちゃう気がして、お勉強がてら洋楽を聴いてたら、洋楽かっこいいってなりました。洋楽のコピバンもやりたかったんですけど、英語の発音が恥ずかしくて歌えなくて。GREEN DAYのコピバンやろうって友達とやり始めたら、カタカナ振らないと歌えなくて、俺めっちゃ英語下手じゃんってショックでした。本当は英詞でやりたかったのに英語が下手すぎて、だったら言いたいこと言うしかないってなったのが今の音楽に至るきっかけでしたね。

山崎:僕はPANです。兄貴の影響でスカ・パンクを聴いてたんですけど、スカ・パンクも速くてポップで盛り上がる感じなので、バンドをやるときに人を楽しませるようなバンドをやりたいって思ってて、PANってパンを投げたりとかお客さんをすごく楽しませるじゃないですか。バンドを始めたっていうのだとそこがルーツですね。ベースを始めたのはホルモン(マキシマム ザ ホルモン)の上ちゃんがきっかけで、ベースってこんなかっこいい楽器だったんだと思いました。(今の)プレイ・スタイルは全然違うんですけど。あとはミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)のウエノ(コウジ)さんですね。

野々山:ベースってじゃんけんの負け組みたいなところありますよね。俺のイメージですけど。

山崎:でも俺ベースから始めたからね。"俺ベースやりたい"って。

-ベーシストかっこいいじゃないですか。

野々山:......そっすね。

一同:(笑)

-野々山さんは最初からギターを弾いて歌いたいと思ってたんですか?

野々山:いやー、歌いたいまではなかったですね。ギターをやりたいってのは思ってて、曲やりたいけど曲がねぇみたいな。コピーも人前でやるのが恥ずかしかったんですよね。みんなよくTHE BLUE HEARTSのコピーとかするんですけど、やっぱTHE BLUE HEARTSを聴いたら自分が下手すぎて(コピーを)聴かせられねぇって思って、ギターを弾きたいがために曲を作って、自分で歌うしかないみたいな感じになりました。なのでギターはすごい好きです。

-ペンタさんはどういったアーティストを聴かれていたんですか?

ペンタ:邦楽ロックですね。サンボマスターの『サンボマスターは君に語りかける』、くるりの『TEAM ROCK』、チャットモンチーの『耳鳴り』の名盤3枚に影響を受けました。俺のルーツというか基盤になっていったという感じですね。

-さて、2015年にライヴ会場限定EPを2枚(4月に『Too Late To Be Sorry EP』、9月に『Sitting Up All Night EP』)リリースされていますが、今作『ウェイティングフォーユー』は、流通盤としては前作『Be Yourself To Rebel』(2014年リリースの1stフル・アルバム)から約5年ぶりのリリースとなります。率直に完成されてのお気持ちはいかがですか?

野々山:長かったですね、マジで。前のアルバムを出してからめちゃくちゃツアーを回ってて。そこから会場限定リリースをして、何枚か出してアルバムにしようと思っていたんですよ。でもそのタイミングで当時のメンバーがやめるってなって。今の感じにバンドを立て直すのに2年くらいかかりましたね。イチから自分のやりたい音楽はなんだろうなーって考えてる時期も1年くらいありました。今は自分のやりたいことを追求していって、それを好きになってくれる人がいればいいなって思います。

-前作と今作とで収録曲タイトルだけを見比べるとガラッと変わった印象を受けました。前作は青春パンクっぽい印象ですが、今作はより自分目線の身近なことというか。

野々山:影響されたものが変わってきたというのもありますし、自分の中でこういうことを言いたい――特に誰も歌ってないことを曲にして誰かに聴いてほしいっていう思いが出てきましたね。

-基本的に歌詞は野々山さんの実体験からきているものですか?

野々山:そうですね。高校のときから今も毎日日記を書いていて、通称"デスノート"って呼んでるんですけど、落としたら恥ずかしすぎて俺が死ぬぐらい赤裸々の(笑)。それが家に26冊ぐらいあって、今日は何があってこう思ったとか、あんときああだったなとか書いてて、そこから"この言葉面白いな"ってのを使ってるので日記っぽい感じが多いのかなと。

-自分の日記を晒け出してるんですね。

野々山:ブログみたいな。

山崎:ちょっとだけ自分のことを傷つけていってるよね(笑)。

野々山:でもそれは共感されればいいから。"あぁー、わかるかもー!"ぐらいで。

-共感されたいと言いつつ、まちぶせのことを歌ってるであろう「好きなものほど」では"誰にも知られなくていいや"って歌ったりしていて。

野々山:ほんとに好きなものって誰にも教えたくないじゃないですか。でもSNSとかで誰々好きとかすぐ言っちゃうから、"ほんとに好きなものはみんな言わないじゃん。そうだ歌にしよう!"っていう思いで作りました。

-言われないとそれはそれで悲しくないですか?

野々山:そうなんですよ。歌にすることによって"悲しいです"って思いもあります。言ってほしいなって思いもありつつ、本当に好きなものは言えないよなっていう葛藤をただ歌にしたって感じですね。

-「好きなものほど」とそれまでの曲たちとでは印象が変わるなと思いました。

野々山:哲学的なことを曲にすると言葉数が多くなっちゃって、バラードや長い曲って、自分の考えや言いたいことを文字にしていったらどんどん長くなっていっちゃうんです。前のアルバムのときは歌詞とメロディを一緒に作ってたんですけど、今回のアルバムの曲は詞が先ですね。どんどんいらない言葉を切っていって曲に収まるようにしました。

-山崎さん、ペンタさんは今作を聞いてどう思われました?

山崎:俺はまちぶせの最初のCDから全部持ってるんですよ。

野々山:ガチのファンなんですよ。痛いファンで(笑)。加入する前に俺のピックとかあげてますからね。

山崎:俺が欲しいと言ったんじゃないですよ。"お前ファンだろ? あげるわ"って(笑)。まぁ昔からずっと聴いてるんでガラッと変わった印象がありましたね......棘がなくなったかなって思います。人間的に丸くなったんじゃないかなって。昔の彼は血だらけでギターを弾いてて、そういう人間だと思ってたので。

野々山:無茶やるのがかっこいいと思ってて、アンプ倒してPAさんに胸倉掴まれて"お前、ふざけんな!"、"すみません!"みたいな。そのときの対バンでこいつ(山崎)が出てて。

山崎:ファンだったので"これ(胸倉掴まれているのが)かっこ良かったっす!"って(笑)。なので丸くなったなと。あんまりさ、「深夜徘徊デート」みたいな曲って書いたことなかったよね? 恋愛ソングというか。彼の中で何があったかは知らないですけど。

-今作は恋愛的な要素が多いですよね。"君と僕"というか。

野々山:前のアルバムのときは女に1ミリも興味ない、"俺はバンドしかねぇから"と思ってて。でも、ずっとバンドをやっていくうちに彼女欲しいなーって思ってきたんです(笑)。その感じがアルバムに出てます。実体験もありつつ願望が多いですかね。