Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

PEDRO

2018年10月号掲載

いいね!

Member:アユニ・D(Vo/Ba)

Interviewer:宮﨑 大樹

-ドキュメンタリー映像"THE BIRTH OF PEDRO"にて、ギターかベースかを選択するタイミングがありましたが、そこでベースを選択した理由はなんだったんでしょうか?

中3の受験のときに勉強がいやになっちゃって。テスト前日とかってほかのことやりたくなったりするじゃないですか? そのときにバンドが好きな友達と仲良くなって、その子にベースを借りることになったんです。あとは、もともと低音が好きで、どの曲を聴いていてもベースの音がかっこいいなって思うことが多かったですね。それと、ギターは6本も弦があるから難しそうだったので(笑)。

-BiSHとして活動しながらベースやバンドの練習をするって相当な忙しさだったかと思うのですが、練習を振り返ってみていかがですか?

最初にソロ・デビューの話を聞いてから何日後かにベースを買ったんですけど、それが2月で。でも、曲とかがちゃんと決まり始めたのが7月なんですよ。それまでの間は、"これ本当に実行するのかな?"って不安しかなくて。何を練習すればいいかもわからなくて、すごい怖かったですね。7月は夏フェスとかもあって、ありがたいことに全然休みはなかったので、みんながラジオに出ている間に私だけバンドのレコーディングをしていることもありました。

-思い出としてはつらかったですか? 楽しかった部分もあります?

7月までは本当につらかったです。ベースのことを考えるだけで憂鬱だったんですけど、始まったら楽しくなりました。

-もともとベースの音が好きだったのもあって楽しめたみたいな感じですか?

そうですね。あと、BiSHだと楽器隊の方々とレコーディングがまったく別々だったんですよ。完成した曲を渡されたら、作詞をしたり歌ったりして、気づいたら完成したものが送られてくるっていう流れで......。バンドって曲作りからマスタリングまで全部自分たちで携わるじゃないですか? 今回は私もそれをやらせていただいたので、そこがすごい楽しかったです。

-曲作りに携わってみて特に印象に残っていることはありますか?

作曲はSCRAMBLES(※松隈ケンタらによる音楽制作プロダクション)の方々がやってくださったんですけど、"どんな曲にしたいか"とかは私の意見を聞いてくださっていました。あとは楽器のレコーディングもやってみて"こんなに大変だったんだ"、"楽器弾ける人すごいな"って思いました。

-ヴォーカルのレコーディングとはまた違う大変さがありました?

そうですね。私にはちょっと理解ができないことばかりで......(笑)。"このキックの前から録るよ"って言われても、そのときの私には理解できない難しいことがたくさんありました。

-そんななかで制作された『zoozoosea』なんですけど、作品を通して全体的に抑圧されているような感情や、世の中での生きにくさを感じる作品に思えました。自身を暗い人間であると言っているアユニさんのリアルな部分も感じたんですが、一方でBiSHという勢いに乗っているグループで活動している方の書く歌詞としては意外でもありました。この作品全体の雰囲気は、制作の段階でコンセプトとしてあったものなのか、結果としてこういう作品になったのかだと、どちらでしょうか?

結果としてこういう作品になったというのが大きいです。本当に考え方が暗いんですよ。すごく嬉しいことをしてもらっても、それをやらせてしまったことが申し訳ないって思ってしまうような人間で。誰かのために書いたとかじゃなくて、本当に自分の思うことを書いています。誰にも媚びてない歌詞というか、聴いたらいやな思いをする人もいるかもしれないですけど......自分のことだけ考えて制作しました。

-本当に自分らしさが出ている作品なんですね。"zoozoosea"というタイトルもアユニさんが考えたんですか?

そうですね。これも映画のセリフなんです。映画の名言とかメモしていて、これが一番記憶に残っているんですけど"お前は動物園、動物園、海な奴だな"みたいなセリフがあって、"動物園、動物園、海? あ、ズー・ズー・シー(図々しい)ってことか!"って。"図々しくやってやるぞ"みたいな意味はないんですけど、面白かったのでこれにしました。

-自分らしさを前面に出してあまり周りのことを気にしていない、というような部分では、結果としてタイトルにマッチした作品になりましたよね。

そうですね。本当にそう思います。

-今作はすべての曲で作詞を手掛けていますよね。作詞については"思ったことをただ書いているだけ"と以前のBiSHとしてのインタビュー(※2017年12月号掲載)でも語っていましたが、アユニさんの独特なワードのチョイスはどこから生まれているのでしょうか?

やっぱり本とかですね。自分があまり聞いたことのない単語とかを見つけると、忘れないように日々こまめにメモをしているんです。パワー・ワードを歌詞に入れたいという思いがあったので、印象に残る言葉を入れるように意識しています。

-今回は実際に収録された曲以外にもいくつか楽曲があったんですよね。その中からアユニさん自身で選曲をされたとのことですが、この選曲になった理由や、選曲するうえで意識したことはありますか?

中毒性がある曲ということです。制作した曲の中にはBiSHで言えば「プロミスザスター」(2017年リリースのメジャー2ndシングル表題曲)とか「オーケストラ」(2016年リリースのメジャー1stアルバム『KiLLER BiSH』収録曲)みたいなメロディの曲もあったんですけど、私はそれよりも激しい曲とか中毒性のある曲が好きだったので、自分の好みですね、完全に。