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INTERVIEW

Japanese

ペンギンラッシュ

2018年08月号掲載

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Member:望世(Vo/Gt) 真結(Key)

Interviewer:TAISHI IWAMI

-オープニングの「Under (repetition)」は、雨音や足音が入っていて、そんな現代社会に揉まれた生活の匂いがするんです。

望世:最後の「RET」が再出発の意を込めた曲で、そこと繋がってるんです。「RET」は、めちゃくちゃ簡単に言うと、上京して頑張ってみたけど疲れちゃって地元に帰ってきたものの、そこでも居場所がなくてまた東京に向かう、そういう曲。ミュージック・ビデオも作ったんですけど、そのエンディングにも「Under (repetition)」を入れました。

-なぜ、最後と最初を繋げたんですか?

望世:人生で繰り返してしまう影の部分を表現したかったんです。

-繰り返してしまうということが、20代に入ったばかりの段階で見えてるんですか?

望世:実感している部分もありますし、本などを読んで感じたことでもあります。大学では文を書いたり、映像表現も学んでたりしてるんで、そういう客観的な視点もありますね。

-リファレンスとしての本となると、どんな作品が挙げられますか?

望世:いっぱいあるんですけど、そのことは「Eien」でも書いてます。幼稚園のころから通っていた名古屋の"メルヘンハウス"という絵本専門店があって、2階には小さなギャラリーもあって、アートとかにも触れられたんです。自己形成に大きく影響した場所だったんですけど、なくなっちゃったんですよ。アルバムの中で、最も事実にもとづいている、大切な曲です。

-この曲、好きなんです。歌メロの雰囲気や鍵盤、ベースのフレーズも、すごくきれいでどこかノスタルジックなんですけど、ミステリアスでもあって。

望世:これは浩太郎がおおもとを作って、鍵盤は真結が考えたんだよね。

真結:私もすごく好きな曲で、他と違うのは、アルバムの中で唯一歌詞が先にあって、そこに向かって作っていったこと。

-サビに向かう展開がそれぞれ違うじゃないですか。

望世:さりげない転調や、似たようなメロディに違うコードがあるとか、逆に同じメロディでもコードが違うとか、メロディは1回しか出てこないんだけど同じコードは出てくるとか、浩太郎はそういうのが大好物なんです。細かいアレンジが盛りだくさん。

-これは作品全体に当てはまることですけど、真結さんが鍵盤で奏でる和音の、ちょっと感覚的な予想とは違う気持ちのいいところにいったり、不安定な進行になったりするところには、どんなこだわりがあるんですか?

真結:すっきりいかない感じの面白さ、何回も聴きたくなる面白さ。そういう魅力のある曲は多いと思います。

-Track.2のタイトル"ルサンチマン(怨恨、復讐)"はニーチェの言葉。そのすっきりいかない気持ちを劣等的に表現したのでしょうか?

望世:これは高校生のときに作ったんですけど、歌詞も曲も今の私からすればめちゃくちゃ。あのときはこれがファンクだと思ってた。そのきれいに整ってない感じが"ルサンチマン"っぽいんです。でも哲学は、正直言ってまだかじってる程度なんですけど。

真結:初めて自分たちで完成させた曲で、ファンクを参考にしたというか、これがファンクだと思ってたというか。で、改めてこれがファンクかと言われると、疑問ですよね。

-でも、若気の至りで恥ずかしくて出せない、とはならないんですね。

真結:そこにしかない熱や鮮度があるんですよね。だから好きなんです。

望世:ライヴで初めてやって以降、セットリストから外したこともないんですよ。