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INTERVIEW

Japanese

FIVE NEW OLD

2018年01月号掲載

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Member:HIROSHI NAKAHARA(Vo/Gt) WATARU OMORI(Gt/Key) HAYATO MAEDA(Dr)

Interviewer:山口 智男

神戸出身のFIVE NEW OLDが約2年半ぶりとなるフル・アルバム『Too Much Is Never Enough』を完成させた。ポップ・パンクからキャリアをスタートさせたのち、ブラック・ミュージックにアプローチしたり、自分たちのオルタナ・ロックを再定義したりしながら音楽性の幅を広げ、アーバンなポップ・ロックを奏で始めた彼ら。メジャー1stアルバムとなる今作は、そんな挑戦を集大成すると同時に、さらなる一歩を踏み出した意欲作と言えるものになっている。3人の言葉からは、自信作を作り上げた歓びと興奮が感じられる。

-『Too Much Is Never Enough』という新たな1年のスタートに相応しいアルバムが完成したと感じました。その話を聞かせてもらう前に、YOSHIAKIさん(YOSHIAKI NAKAI/Ba)が抜けてしまったことを心配しているファンもいるんじゃないかと思うので、みなさんがYOSHIAKIさんの脱退をどんなふうに受け止めて、前向きに活動していこうと考えたのか、まず聞かせていただけますか?

HIROSHI:脱退したいと言われたとき、彼の考えをしっかり聞かせてもらったうえで、それをちゃんと受け止めて前に進むということで、3人はこれまで以上にひとつになったというか。今は3人とも同じように、"彼が去る前に僕らに託してくれた想いも背負って前に進んでいこう"っていう気持ちでいます。

HAYATO:最初はどうなることかと心配でしたけど、今はしっかりしないといけないなって。

WATARU:改めて、責任感みたいなものを感じますね。

HIROSHI:だからって、YOSHIAKIと友達じゃなくなったわけではないので(笑)。このバンドのメンバーでいて良かったと思ってもらえるように頑張らなきゃって。ひとり分のエネルギーがなくなったことは事実なので、彼の分のエネルギーを3人で出し合って、ちゃんと頑張ったうえで、もう一度、彼に会いたいですね。

-今回のアルバムの制作に影響はなかったんですか?

HIROSHI:アルバムを作り始めるころには3人でやっていくんだって気持ちを切り替えていたので、ある意味、リセットしてというか。僕たちが今までやってこなかった曲の作り方にチャレンジもして、いい方向に転んだって言ったら違うんですけど、いなくなったからどうしようってところから、やってこなかったことにアグレッシヴにチャレンジできるようになっていったかなと思います。

-2016年の終わりにお話を聞かせてもらったとき、HAYATOさんが"2016年は自分たちのキャパを超える挑戦に取り組んできて、2017年はさらに超えようと思っている"とおっしゃっていたんですけど、今回のアルバムは、そういう挑戦の成果と言えるものになりましたね。

HIROSHI:今までで一番、素直に曲を表現できて、なおかつやっていなかったことにも果敢にチャレンジできた。そのバランスがうまく取れた作品だと思っています。

WATARU:僕たちが音楽に打ち込む本気度を、聴いている人にも感じ取ってもらえるんじゃないかな。

HAYATO:今回のアルバムは、僕らの中の"ザ・ベスト"です。1曲1曲、ジャンルが違う曲を詰め込んだバラエティ・パックって言い方はおかしいですけど(笑)、全曲リード曲だと思って作ったので、聴き応えある作品になりました。この1枚を経て、またキャパをアップしたいですね(笑)。

-今作はどんなふうに作っていったんですか?

HIROSHI:今までは、自分が目指しているゴールに向かって、曲を作っていたんですよ。だから、作りながらその曲がゴールとはちょっと違う方向に向かい始めたら、そこにいかずに自分が考えているゴールに向かってコースを捻じ曲げてでも形にしようという想いが強かったんです。でも、今回の曲を作るときは、もちろん最初ゴールはあったんですけど、作り始めてから"この曲はこっちにいきたがっている。そっちの方が曲がより良くなるなら"って思ったら、そのまま進んでいくようにしたんです。みんなの意見も積極的に取り入れるようにして。そうすると、自然に曲ができあがるというか、メロディもぱっとできたものをそのまま形にしてしまうというか。それが今回うまくいったんですよ。この方が、これからメジャーのフィールドでやっていくときに、FIVE NEW OLDの音楽とはなんなのかってことを、自分たちもよりはっきり捉えられるんじゃないかなと思って。あとはやっぱり、今回、いろいろなアーティストさんと一緒にやらせてもらったんですけど、そのときに、僕たちだったらそうしないよなっていうフレーズが出てきたりするんですよね。そういうときも、僕がいきたいところではなくて、"こうなったらもっと面白い"ってところに積極的にいくようにしました。"面白そうやん"って3人が思えたらOKっていうことだけをルールに進んでいったんです。それが自然体でもあり、チャレンジでもあり。だから、無理せずチャレンジできたんですよ。もちろん、それは自分のキャパを超えないということではなくて、ある意味、身を任せることによって、自分たちがいったことがないフィールドにいくことができたって感じですね。

-今回、そういう作り方ができたのは、どこかで意識が変わったからなんですか?

HAYATO:前々からその意識はあったんですよ。でも、それを実行するにはスキルが足りなかった。

WATARU:『BY YOUR SIDE EP』(2017年6月リリースの4th EP)を作ったとき、一度、行き詰まったところからの脱出口として、自然に作ってみようかなっていうのがあったんですよね。それが、自分たちの中でもこういうやり方がいいとだんだん思えるようになってきて、今回アルバムを作ってみて、こういうやり方が自分たちに合っているって思えたんです。

HAYATO:今まではメロディを何パターンも作ってやっていたんですけど、今回はそんなに作ってないもんな。

HIROSHI:『BY YOUR SIDE EP』のときは、1曲に対して7、8パターンぐらいメロディを作って、そこからなんとかゴールにいこうってことばかりしてたんです。でもSHUN君(Shunsuke Kasuga)がアレンジャーとして入ってくれたことで、自分たちがやっていることを、客観的にいいと思えるようになったということがひとつ経験としてあったので、それをもっと大事にした結果が今回のアルバムになったと言ってもいいかもしれないですね。