Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

ねごと

2017年09月号掲載

いいね!

Member:蒼山 幸子(Vo/Key)

Interviewer:沖 さやこ

-なるほど。ねごとのポップ・センスとエモーショナルな部分が最大限に生かされているなと。

今回は"トリガール!"のお話もあったので"翼"という言葉を入れたりもしたけど、そういうもの以外はいま歌いたいことを書きたいなと思って。メロディに対してポンと生まれてきた言葉も結構あって――ナチュラルに出てきた言葉が曲の情景や空気に一番合っていたりするから、そういうものは大事にしたいし。さっき言ってくださったように、私は変なところが繊細なわりに根が図太かったりするので(笑)。

-はははは。"図太い"というよりは"強い意志を持っている"という言い方が正しいと思いますよ(笑)。

あははは(笑)。"これはこうしたい"という意志も大事だし、"自分ができること以外のことはできない"という潔さも大事だなと最近思うんです。生きていくなかでは生き残るための厳しさもあるなと思うし......そういう側面は歌詞に書きたいなと思ったんですよね。暗いものを書きたいわけではなくて、ただ"頑張れ! 絶対にいけるよ!"と歌う曲にはしたくなかった。"どうしようもないこともあるけど、なんだかんだ言ってもここまで来れたじゃん"ということを書きたかったんですよね。

-"夢じゃないかってくらいでちょうどいい(中略)覚めるまでいっそはしゃいで信じよう"というところはいつか来る終わりが描かれていると思いましたし、"だからこそいまやるしかない"というある種の切迫感がリアルだなと思いました。

聴いてくれる人を励ますわけではないけれど、現実をありのままに書いている――そういう歌詞に自分が励まされてきた経験もあるので、自分もそういうものが書きたいなと思いますね。もともと言葉は好きなんですけど、言葉に対する想いは年々強くなってきているなと感じるし。

-自分の気持ちを赤裸々に綴るようになったことで、言葉に対して一歩深いところに行けたのかもしれないですよね。ねごとはまだまだ青春真っ只中なんじゃないでしょうか?

あははは! 何をもってして青春かは不確かだけれど、バンドをこうして続けてこれていることがひとつの青春かもしれないですよね。バンドを始めてから変わった部分もあるし、まったく変わってない部分もあって、もう10年かー......というところもあって(笑)。

-ふふふ。例えばどういうところが変わって、どういうところが変わっていないですか?

メンバー4人でいるときの空気感とか、根本的な性格はみんなあまり変わらないですね。そこが変わっていないから面白いことができるし、続けていけてるなという感覚があって。変わった部分は......やっぱりバンド力かな。経験を積むことで強くなったかもしれない。ちょっとしたことで動揺しないとか、自分たちのことをちゃんと信じてあげられるようになった。ねごとは保守的ではなく実験的なモードで"もっと面白い作品できるよね"と思っているので、馴れ合いの要素がほとんどないかも(笑)。

-ねごとはメンバー全員キャラクターも音楽における役割もまったく違いますもんね。特にここ2~3年でめきめきとそれぞれの個性が音楽にも反映されてきていて、それによってさらに全員が生き生きしているように見えて。

そうかもしれない。2ndフル・アルバムの『5』(2013年リリース)までが自分たちの第1期で、そのあとに3rdフル・アルバムの『VISION』(2015年リリース)に辿り着いて、そのあとくらいから自分の意識が変わってきた気もしていて。そのままの自分でいることが怖くなくなってきているんだと思います。それがさっき言った"図太さ"ですね(笑)。そういうのは大事だと思うし、ねごとは個々の性質が立っているからぬるま湯にならないで音楽をやってこれているのかもしれないです。

-「空も飛べるはず」と「ALL RIGHT」は両極端でありながらどちらもねごとの魅力が出たものになりましたし、"トリガール!"という映画はスピッツの「空も飛べるはず」を知らない世代の方々も多く観られるでしょうから名曲を引き継ぐ面もあるでしょうし。

映画では「空も飛べるはず」も「ALL RIGHT」もしっかりフィーチャーしてくださっていて、本当にありがたいし嬉しいです。2曲ともライヴでももう何回か演奏していて、特に「ALL RIGHT」はバンド感がすごくある曲なのでやっていてすごく楽しいし。"トリガール!"をきっかけに若い女の子に聴いてもらえたら嬉しいし......あと、スピッツの曲にある色気を知ってほしい!

-先人のいいところを自分たちなりに取り入れるミュージック・ラバーなねごとならではのカバーになり、初期の良さと新しさが融合した新曲もできて。ねごと絶好調ですね。

ありがとうございます。いまも新曲の制作をしていて、プリプロもたくさんできているので着実にひとつひとつ進んでいます。今年の2月のツアーのMCで"今年は止まらない"と言ったけれど、それがちゃんと実行できていることは嬉しいし。これからも頑張ります!