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INTERVIEW

Japanese

神様、僕は気づいてしまった

2017年08月号掲載

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Member:どこのだれか(Vo/Gt) 東野へいと(Gt) 和泉りゅーしん(Ba) 蓮(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

考えて考えて選んだ信頼できる4人でバンドをやっているので、バンドという制約のなかでバンド・サウンドを研究したい


-ギターは歌メロに沿いながら異なるラインを辿るものが多いと思いました。ハモでもユニゾンでもないけれど、一緒に歌うというか。

東野:僕がリード・ギターのフレーズを作るときのイメージはポップスで言うストリングスなんですよ。ストリングス・アレンジを考える人は、メロディとぶつからないようにもうひとつメロディを作る――第2のメロディを作るつもりで作っているんですよね。ギターはヴァイオリンではないけれど、ストリングスが入っているポップスは全部いい曲だと思うくらい僕はストリングスが好きなんです。ヴァイオリンは弾けないけれど、いい曲を作りたいからヴァイオリンっぽいフレーズを弾く、というイメージですね。

-なるほど。実際ヴァイオリンの音を入れることは考えていない?

東野:メンバーにいない楽器を入れるのはちょっと抵抗があるんです。ヴァイオリンのメンバーを入れるというのもアリかもしれないけど、そういうのはいまの4人でやれることをやりきってからでいいかなって。僕たちはまだ始めたてのバンドだし、考えて考えて選んだ信頼できる4人でバンドをやっているので、バンドという制約のなかでバンド・サウンドを研究したいんです。それぞれで華のあるプレイをしたいですね。

-どこのさん作詞作曲の「宣戦布告」や「天罰有れかしと願う」はどこのさんの心情が綴られたもの?

どこの:このバンドで音楽をやる意味を考えて書かせていただきました。どこかにいるだれかが悩み苦しみしていることを、発散させてもらう気持ちです。

-楽曲ができるまでの背景はメンバー内で共有するのでしょうか?

東野:しないですね。音楽はヴァイブスなので、言葉にすると魔法が解けてしまう。例えば、「宣戦布告」は反骨精神や怒りが込められている曲だと感じた。アレンジがやたら気難しかったら伝わりづらいから、ABサビを2回繰り返して終わる、シンプル・イズ・ベストな構成にしました。

-なるほど。お話をうかがっていると、神僕は理詰めで音楽をやっているところもあるし、フィーリングで音楽をやっているところもあって、その差が極端な印象があります。

東野:できるところまで理詰めで作って、疲れたらフィーリングですね。

蓮:たしかにそういうところはある。ディレクションしてるときに、急に東野が"ああもうそこは任せます"と言うときがあって、"あれ? さっきまであんなにこだわってたのに、ここは任せるんだ"と驚くことがある(笑)。

和泉:そういうのは多いね(笑)。

-歌謡ジャズ・テイストの「わたしの命を抉ってみせて」とミディアム・ナンバー「大人になってゆくんだね」は神僕の中でも変化球の楽曲となりました。「大人になってゆくんだね」は具体的な描写が多いので、歌詞の物語性も高い。

東野:新しいことをするのが大好きなので。「わたしの命を抉ってみせて」はあまり深く考えずに作ったんですけど、「大人になってゆくんだね」はアルバムの締めの曲が欲しくて作った曲なので、フォーク・ソングっぽいものを書きたいなという発想からスタートしていて、最後にできた曲でもあります。ただ天邪鬼なので、締めの曲を作っておきながら最後には置かず、最後からひとつ前に置きました(笑)。「大人になってゆくんだね」は闇から光に向かう歌詞でもあるので、このアルバムはあたたかい雰囲気で終わるのかと思いきや、最後にとてもダークで速い「だから僕は不幸に縋っていました」が待っている――ダーク・ヒーロー感があって気に入っていますね。だからこそアルバムの中で一歩引いている「大人になってゆくんだね」はかなり大事な曲だとも思っています。

-新たな面が見られる曲もあるアルバムになりました。これからもコンセプトに則ったうえでいろんな音楽性にチャレンジしていくおつもりでしょうか。

東野:突然R&Bをやる、ということはないと思いますけど、コンセプトの中でできることで余剰部分があるならチャレンジしていきたいですね。

-神僕は8月19日に"SUMMER SONIC 2017"で初ライヴが決定しているので、また新しい刺激があるのではないかと思います。

蓮:あまり露出をしていないバンドなので、"SUMMER SONIC"は生でどういうステージングを見せて演奏をするのかを楽しみにして来てくれる人が多いと思っています。そういう人たちにいい意味で期待を裏切ったライヴを見せたいですね。いろいろ仕掛けも用意しているので楽しみにしていてほしいです。

どこの:良くも悪くも匿名性の高い活動をしているので、"僕らはライヴ・バンドだ"というつもりでやりたいわけではないんです。ちょっと異色なバンドではあるけれど、ただ観てくれた人に"こんなバンドの形もあるんだな"と思ってもらえたら。そういう姿を見せられたらと思っています。"SUMMER SONIC"は憧れの舞台でもあったので、4人とも当日は楽しむつもりでいます。