Japanese
ЯeaL
2017年05月号掲載
Member:Ryoko(Vo/Gt)
Interviewer:吉羽 さおり
大阪発のガールズ・バンド ЯeaLの1stアルバム『19.』(読み:ナインティーン ピリオド)が完成した。メジャー・デビュー・シングル曲「秒速エモーション」からアニメ"銀魂."のオープニング・テーマとなった3rdシングル曲「カゲロウ」と、高校時代に書き上げた曲で構成された内容で、10代の集大成となるアルバムだ。そして、常にフルスロットルで生き急ぐようなスピード感と、息継ぎを忘れそうな怒濤のメロディと情報量に満ちた、これぞЯeaL節たるひとつの形も極まり、次を示唆する曲も垣間見える。ロック・バンドとしてタフになっていく様が、深く刻み込まれた作品となった。
-1stアルバム『19.』が完成となりましたが、このタイトルは、10代最後という数字を表したものですか。
そうですね。あとは、アルバムの意味としては、ЯeaLという大きな物語の第1章の終わりということで、初めはピリオドだけだったんです。でもそれだとちょっと暗すぎるから(笑)。10代だったり、これまでバンドをやってきた5年間の終わりということで、"19."というタイトルになりました。
-集大成ということでドラマに満ちていて、そしてやっぱりどこから切っても濃い内容の曲が揃いました。メジャーでの1stアルバムということで、どんな作品にしたいかというヴィジョンはありましたか。
濃いアルバムにはしたかったです。捨て曲がないアルバム、っていうのが大前提としてあったし。今までやってきたことがボリューミーなので、ЯeaLの今までをすべて詰め込もうとは意識しましたね。
-そのうえで、新機軸となる曲も入っていますしね。「カタリナ」(Track.6)などは、これまでのЯeaLとはまた違った雰囲気が出ています。
そうですね。でも実は、「ナンセンス」(Track.3)以外はすべて高校時代に書いた曲なんですよ。シングルのカップリングでは書き下ろしが多かったんですけど、今回は集大成ということで、新しく曲を書くよりは今までやってきたものや、あるものを出そうと。
-高校時代ということでは、15~16歳くらいに書いた曲もあるんですか?
そのころの曲は高校1年の終わりに出したインディーズ盤(2014年リリースのミニ・アルバム『Change Your ЯeaL』)に収録しているので、今回は高2~高3くらいに書いた曲が多いですね。「H.O.L」(Track.5)と「カタリナ」と「チョコレートコスモス」(Track.7)が高2で。その他が高3で書いた曲ですね。
-10代で書いたとは思えないくらいの曲なんですけどね(笑)。
歌詞は一切変わっていなくて、アレンジもあまり変わってないですね。全部を並べると、とんかつ唐揚げ弁当みたいにボリューミーなもので(笑)。濃い曲ばかりだったから、ちょっと肩の力が抜けた曲を作ろうと「ナンセンス」を書いたんです。だからこの曲だけコード感がハッピーというか、違った色合いなんです。それで、深い意味のない歌詞を書こうと考えていたんですけど......もともと深い意味のないものがあまり好きではないんですよね。ライヴでは楽しいけど、音源では聴きたくない曲っていうのが好きじゃないんです。それで考えすぎて、わからなくなって。自分の書きたいように書こうと思ったら、ストレートな言葉が書けたうえで、ちゃんとテーマのある曲にもなったんですよね。
-今だからこそ書けた曲ですね。
前回のシングル『カゲロウ』のインタビュー(※2017年3月号掲載)のときに、少し気持ちが穏やかになったという話をしたんですけど、それがこの曲ではできたというか。気持ちに余裕ができたからこそ、みんなに向けて、"ここにきたなら大丈夫だよ"って言い切れた。次のЯeaLが見える曲になったのかなって思います。
-サウンド的にもゴージャスで、ブラスが入っていたり、ファンクとパラパラが混じり合ったようなとても面白い曲ですね。このユニークでポップな感じも、肩の力が抜けたものなんですね。
肩の力は抜いたつもりですけど、Aメロ、Bメロは濃くなりましたね。これだけ濃いアルバムに埋もれてしまうんじゃないかと思っていたんですけど。ある意味、際立ったというか。こうして肩の力を抜いても大丈夫なんだなって、発見にもなりました。
-ちゃんとЯeaL節が出てますしね。ЯeaL節といえば、エネルギッシュで情報量ふんだんな「エゴサーチ症候群」(Track.8)が、これぞと言える濃厚さです。
そうですね。この「エゴサーチ症候群」があったからこそ、2ndシングルの「仮面ミーハー女子」ができたんです。「エゴサーチ症候群」がエゴサーチっていう広いテーマだからこそ、「仮面ミーハー女子」では、より女子のヒエラルキーとか心的な部分を書こうと思ったんですよね。ЯeaLのSNS曲の元祖というか、原点が「エゴサーチ症候群」なんです。
-高校時代、実際にエゴサーチしていた感じですか。
みんなやってますよね。ずっとエゴサしてる。人の評価が気になるんやと思います。
-それは、ちょっと病的でもあるなと感じていたこともありますか?
うーん、でもきっとЯeaLだけじゃなくて、同世代が持ち合わせている感覚っていうか。みんながせーのでSNSをやめられたらいいんでしょうけど。自分だけが知らない世界が、怖いんですよね。歌詞にもありますけど、自分をフった元彼の今カノもTwitterで調べられちゃう時代で。それって究極のエゴですよね。例えば、自分に新しい彼氏ができて昔の人のことは好きじゃなくても、その人には自分のことを思っていてほしいっていう、究極のエゴが隠れていると思うんです。
-あぁ、そうですね。
友達に、"元彼に今、彼女がおるらしい"って言ったりすると思うし。別にメンヘラとかじゃなくて、見れるから見てしまうっていう典型だと思うんです。それが当たり前になってるからこそ、知らないことが集合体の中での孤独感になるというか。そこに何もないとわかっていても調べてしまうというのが、SNSが身近にある人すべてに言えることだと思うんです。それが、この「エゴサーチ症候群」のテーマで。
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