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INTERVIEW

Japanese

瀧川ありさ

2016年11月号掲載

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-その街に住む子などが動き出したのは、書き始めてからですか?

そうかもしれない。ひとりの街だったので。曲を書き始めてから、いろんな主人公が勝手に生まれて、その街で生きてる人たちをフィーチャーしてたので。それは、10代後半からですね。

-ネタが尽きないかも。

そうですね、いろいろアイディアが浮かんできます。

-ちなみにその街の子たちは反発したりしませんか(笑)?

そうですねぇ、もちろん曲が書けないときは人がいなくなりますよね(笑)。でも、それこそ人と繋がることだなっていうのは、すごくあるんです。そういう自分の世界はただただ孤独なものですね。でも最近は、こうして人とたくさん出会って、リアルな世界の中で曲を生むこともあるので。

-前作のシングル曲「色褪せない瞳」などはまさにライヴや、人と向かい合うなかで生まれた曲でしたしね。

やっと現実世界にも来れるようになりました(笑)。


アルバムが完成して、通して聴いたときに未来がちゃんと見えた


-そしてアルバムのラストを飾るTrack.13「花束」。この曲は美しく、可憐な曲ですね。

最後はやはり自分の中でも重要で。壮大ではあるんですけど、身の丈に合うというか、日常に寄り添った感じでリアルにしようと。今までだったらきっとラストには、「アイセイハローのすべて」のような曲を持ってきていたと思うんです。でも次の自分のステージを見据えたときに、この「花束」が一番しっくりきて。

-サウンドも洗練されていつつ、ささやかな温度感があって。シンプルに歌を引き立てている曲ですね。

本間昭光さんにアレンジをしていただいて、レコーディングでは錚々たるミュージシャンの方に演奏してもらったんです。そのレコーディングのときに圧倒されてしまって。そういう方たちって、どんなにシンプルな音を鳴らしても、1音で説得力がある。だからそのサウンドで歌うのにプレッシャーがあって、けどそれが良かったんです。歌詞が書けずにいたんですけど、その現場にいられたことで書くことができました。一番自分の皮を剥がした言葉も出てきたんです。

-いい余白を感じるのは、本質的な部分をシンプルに伝えているからですね。

それも本間さん方のおかげでもあるんです。背負いすぎていた部分もあったと思うんですよね。本間さんには、私の弾き語りのデモをお送りして、何も言わずにまずはやっていただいて。ソロでやっているぶん、アレンジなども含めてすべて自分で携わってきているので、逆に本間さんのような方が新人の私を見て、どう解釈してくれるのかも知りたかったんです。ある意味、プロデュース的に1曲やってもらいたいなというのがあって。そのおかげで、次の自分が見えたというか。本当に良かったです。

-その先が見える曲になっていくというのは、意図していたんですか。

していなかったところでした。本間さんにやってもらえるなんてありがたい! くらいの感じだったんです。でもこうしてすごい方と一緒にやらせてもらえるなら、ミュージシャンとして成長できると思っていたので、いい経験でした。サウンドに感銘を受けて歌詞も書き換えたほどで。もっといけるな、もっと開きたいなっていう。アルバムを締めくくる曲として、もう一歩いきたいという想いが出てきたんですよね。そういう作業の中で、自分の本質が書けたなって思うんです。アルバムの中でいろんな言葉を紡ぎましたけど、この曲で吐露できたなと思うので、本間さんには感謝しています。本間さんのおかげです。

-アルバム制作の過程でも、意識は変化していくんですね。

そこが一番のドキュメンタリーでしたね。やっぱりレコーディングは面白いし、楽しいです。アルバムが完成して通して聴いたときに、未来がちゃんと見えたっていうか。達成感はもちろんあるんですけど、早く次に行きたいなという1枚になったので。聴いてくれる方にこれからも楽しみだなと思ってもらえるような、そして何年先も大切に聴いてもらえるような作品になりました。