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INTERVIEW

Japanese

ELIZABETH.EIGHT

2016年11月号掲載

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Member:ミワユータ(Vo) こふじ(Gt) いたる(Key)

Interviewer:岡本 貴之

11月23日に新作『ASK YOU!!』をリリースするELIZABETH.EIGHT。一時期は歌うことどころか生命の危機に瀕していたというヴォーカルのミワユータが完全復活し、新たにキーボードを加えて制作された渾身の1枚は、ルーツ・ロック的な要素と現在進行形の音楽シーンの両方を放り込んだような豪快で爽快感のある作品となっている。"メンバーも私の作品という気持ちが強い"というミワユータと、彼女に忠誠を誓うこふじといたるに話を訊いた。決してギミックには見えないその主従関係からくるバンドの一体感と、彼らが経験してきた壮絶なドラマが今作をより深いものにしているようだ。

-ここに至るまでのバンドの経緯があまりにも凄まじいのですが、まず今作『ASK YOU!!』が完成した今の心境を教えてください。

ミワ:病気(※2014年に脳炎で入院)をしていたものですから、前作(2015年リリースの5thアルバム『フィクション・ノンフィクション』)と前前作(2014年リリースの4thアルバム『ラブロベリー』)のレコーディング(以下:REC)の記憶がなくて。病気になる直前はソファーにグッタリ横になりながら録っていたので、それくらいしか記憶がないし、退院してリハビリしてからの前作のRECも記憶がないんです。だから今回嬉しいのは、RECの記憶がちゃんとあることです。"こうだったなぁ、ああだったなぁ"という生々しい気持ちと共にリリースできるというのは、作品を作る者としてハッピーだなと思います。

こふじ:単純に、新しくキーボードが加入して(※2015年にいたるが加入)今までとは違う音色が加わったことで、もともとみんなが潜在的に思っていた"こんな感じのアレンジができたらいいな"という限界を突破したというか。幅が広がった感じはします。前作までは、どちらかというとサウンド的にはギターがグイッと出ていてソリッドな感じで作っていたんですけど、今回はもっとグラマラスでゴージャスな感じになりました。

いたる:自分自身もキーボードというパートで作品をリリースするのが初めてなので、これから周りの人たちがELIZABETH.EIGHTのことをどう評価してくれるのか、ということは楽しみですね。やはりこれまでとは変わったと思うので。

-いたるさんはもともとベースを持って上京してギター・ヴォーカルに転身してから、今はキーボード担当という経歴で。変わってますよね?

いたる:そうなんです。

ミワ:むちゃくちゃ(笑)。

-こふじさんも、最初はドラマーだったんですよね?

こふじ:もともとはドラムをやっていて、加入して初めてギターを手にしました。

ミワ:みんなそうなんですよ。私が"この子をバンドに入れたいな"と思ったときに、でもパートが埋まっててすでにドラマーもいるからってことで、"君はギターを弾いて"って。この子(いたる)が加入するときにはギターもベースもドラムもいたから、"じゃあキーボード弾いて"って。あんまり人の都合を考えずにやっていますね、リーダーとして。

-都合よく言われた側も、ミワユータさんの魅力に吸い寄せられる感じなんですか。

こふじ:そうですね。

いたる:それが一番ですね。

-ふたりとも首輪をしてますもんね。

ミワ:そうです、女王様の首輪です。

こふじ:バンド・メンバーの中で首輪をしているのは僕らふたりだけなんですけど、他のメンバーもなんだかんだミワユータに集められたきたというところがあって。そこから、メンバーの追加はあってもチェンジはないんですよ。それで長いことやれてるからいいのかなって(笑)。

ミワ:みんな仲良いもんね。ドラマーは私が描いた絵のタトゥーを入れてるし。

-すごいなぁ(笑)。こふじさんは、担当楽器を変えてまでミワさんとやろうと思った理由はどこにあったんですか。

こふじ:もともとドラムをやっていた前のバンドのときから、理想のバンド像があったんです。でもそういう理想のバンドって周りを見てもなかなかいないし。同じ目的を持って仲良くやっているバンドもいいんですけど、それでもなんやかんやと理由があって途中で活動休止とかになるじゃないですか? やっぱりバンドって絶対的な王者みたいな人がひとりいて、みんなでミーティングしていてもひとりだけ寿司食ってるみたいな――

ミワ:ははははは(笑)! なんだその喩えは。

こふじ:なんか、そういうバンド像が理想で、出会ったときのELIZABETH.EIGHTはそういうバンドだったんですよね。当時の他のメンバーもほとんど同級生なんですけど、それでも恥をかかせないようにとか、そういうふうにヴォーカルを立てている感じというか。僕は加入して10年くらい経つんですけど、入ってみたら実際そんな感じでした。

-いたるさんは、2015年にミワさんが復帰したときに志願して加入したんですか?

いたる:最初は、ミワユータが"あの子入れちゃえば?"っていう感じで。

ミワ:いたるは、(自分の考えを)あんまり人に伝えるのが得意ではないので、ミワユータのことをすごく褒めてくれる流れで、"犬になってもいいから、僕はミワユータの作品になりたいんだ"っていうことをミュージシャンとして熱く語ってくれてたんです。犬(※こふじ)もいるけど、同じワードが出てくるのも面白いし、ふたりともヴィジュアルが華奢で良いし、面白いなと。それで鍵盤弾けるか聞いたら、"子供のころにちょっと習ってた"って、"じゃあやったらいいじゃない"って言ったら、彼はクレイジーなのですぐキーボードを買ってきましたね。

こふじ:いたると知り合った最初のきっかけは――ミワユータが病気になって3ピースで活動していた時期に、いたるが前にやっていたバンドと共演したんです。そのときに、ELIZABETH.EIGHTはバンドなのにMCを聞いてるとギター(深見之春/※現在は一時脱退して療養中)はいないしヴォーカルはいないし、なんで活動できるの? って気になってミワユータのブログを読んだりしてたらしいんですよ。

いたる:そうだねぇ(笑)。なかなか難しいね、加入についてを自分で語るのは。

ミワ:難しいよね。でも極端なことを言うと、ミワユータがメンバーを作ってきたという自負があるので。もともとはこふじもいたるも全然違う雰囲気だったんですけど、"髪形をこうしろ"とか"立ち振る舞いをこうしろ"とか、そうやってキャラクターを作ってきて結果的に今の感じに辿り着いているから、メンバーも私の作品という気持ちが強いんですよね。

-普通、長年同じ楽器をやっていて技術がある人の方が、一緒にやるには楽ですよね?

ミワ:そうなんですけど、私は音楽を全然聴かないんですよ。楽器も何もできないですし。だから正直、ライヴとかRECのときにリアルタイムで鳴っている音以外には興味がなくて。たぶん、『ASK YOU!!』も深く振り返ったりしないと思うんですよ。そういう人間からすると、楽器の上手い下手というのは、"練習すれば上手くなるんじゃないの?"っていうレベルなんですよ、素人なんで。なので、楽器よりも人間がカッコいいか、ヴィジュアルがカッコいいか、生き様がカッコいいか、というところに重きを置くんですよね。やっぱりふたりともクレイジーでカッコ良かったから、"楽器はあとから上手くなるだろう"って、無責任に応援してました(笑)。