Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

PELICAN FANCLUB

2016年06月号掲載

いいね!

Member:エンドウ アンリ(Gt/Vo) カミヤマ リョウタツ(Ba)

Interviewer:松井 恵梨菜

-今作で特に驚いたのが、Track.3「for elite」とTrack.6「説明」で。今までのPELICAN FANCLUBの曲で、こんなに攻撃的というか、衝動をそのまま表現したような曲はなかったと思うんです。ここまで振り切った曲ができたのも、ドアが開けたからですか?

エンドウ:「説明」は前作が完成してからすぐにできあがった曲なんです。前作があったからこそ「説明」ができて、「説明」ができたからこそ「for elite」ができた。「説明」に関しては、前作とはまったく別のことがやりたいと思って作った曲で。僕、BEASTIE BOYSがすごく好きなんですけど、BEASTIE BOYSもバンド演奏があるじゃないですか? 僕らもバンドだしできるんじゃないかなと思って、こういう曲がやりたいってメンバーに持っていったんです。その結果、彼(カミヤマ)はRAGE AGAINST THE MACHINEが好きだったり、4人のいろんな趣味が合わさってこの曲ができた。自分の想像とは全然違うところにいけたんですよね。

-「説明」のような曲は予想外ではあったんですけど、聴いていて違和感は全然なかったですね。こういう曲をやっても純粋にかっこいいなと思いました。

エンドウ:嬉しいですね。僕らも不思議と違和感は全然なかったんですよ。こういう音楽もPELICAN FANCLUBだなと思えましたし、お客さんの反応がすごく楽しみです。

カミヤマ:「説明」のレコーディングが一番楽しかったです。"これヤバい!"みたいな(笑)。

エンドウ:歌録りのとき、エンジニアさんのいるところでメンバーが待機してたんですね。僕が歌ってるところをみんなが聴いてて、録り終わってから"どうだった?"って聞いたら、"単純にめちゃくちゃかっこいい!!"って(笑)。そういう、レコーディングでの喜びとか、驚きがすごくあるアルバムでしたね。

-そんな曲もありつつ、今作の中で一番今までのPELICAN FANCLUBっぽい曲だなと思ったのがTrack.2「アンナとバーネット」でした。

カミヤマ:的を得ていると思います(笑)。「アンナとバーネット」は結成してから1年以内に作った曲なんですね。それをリアレンジしたり、歌詞を書き換えたりして今作に収録しました。

エンドウ:僕は今回のアルバムを作るうえで、"赤色がテーマ"ってメンバーに言ってたんです。そしたら、ギターのクルマダ(ヤスフミ)君がたまたま昔の音源を聴いて、"この曲アルバムに入れたいんだけど"って持ってきたのが「アンナとバーネット」で。僕、最初はこの曲がすごく嫌いだったんですよ。ライヴでも絶対にやりたくなかった。でも改めて聴いたら、偶然アルバムのテーマとリンクしているものがあったんです。歌詞にも"赤い絵画"って出てきますし。それで逆にものすごく好きになってしまって、今ではスタジオでCメロを歌いながら涙が出るほどで。アルバムをいいバランスにしてくれる曲だと思います。

-パズルのピースがはまったような。テーマ・カラーも制作時からあったんですね。なぜ今回は"赤"をテーマにしたんでしょうか?

エンドウ:テーマ・カラーはどのアルバムにもありますね。今回は"寄り添いたい"というテーマがもともとあるうえで、血の色や、あたたかさをイメージして......例えばホットとコールドだったら、間違いなくホットが赤なわけじゃないですか? そういう、誰もが持っているようなイメージが、赤にはあるんじゃないかと思ったんです。

-温度感がありますよね。「アンナとバーネット」はたまたまだったのかもしれないですが、Track.5「M.U.T.E」にも赤色が出てきますよね?

エンドウ:そうですね。この曲は(カミヤマと)ふたりで詞を書きました。

-共作は珍しいですよね?

エンドウ:初めてですね。

カミヤマ:前作までは、自分のパートのことは自分でやるという感じだったんですけど、今回はちょっとそれを取っ払ってみようと。例えばエンドウがドラムのフレーズを考えることもあるし、俺がギターのフレーズを考えることもある。その延長で、僕が歌詞を考えてみることになって、それをエンドウが修正してくるという作り方をしてできた曲です。さっき"新しいドアが開けた"と言ってましたけど、制作からもそういう壁が取っ払われたことによって、新しい一面を見せることができましたね。

-では、今回は本当に4人の意見や感覚が合わさった作品なんですね。

エンドウ:今回は、"4人でひとり"みたいな感覚が強いです。

-前作の制作の際は、曲のストックがある中で"どの曲を外すか"という形で収録曲を選んだとおっしゃっていましたが、今回も似たような作業だったんですか?

カミヤマ:今回はさらに候補が増えたというか。収録曲の8曲に対して、候補曲が倍以上ある中から選んでいきました。曲の色によって、アルバムのコンセプトにハマる、ハマらないがあるので、いい曲でも、今回はやめておこうってこともあります。昔からライヴでやってる曲とか、よくお客さんに"いつアルバムに入れるんですか?"って聞かれるんですけど、次のアルバムの色によるので、自分たちでもわからないという(笑)。