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INTERVIEW

Japanese

ユビキタス

2015年11月号掲載

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Member:ヤスキ(Vo/Gt) ニケ(Ba) ヒロキ(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-たしかに。ヤスキさんの意志も見える言葉が多いですし。ごまかさずに自分を出せるようになっているのでは?

ヤスキ:......素直になってきてる部分もあるんかな。わりかし素直ですね。「ヒーローのつくり方」に関しては自分の作る楽曲の中に"ヒーロー"という言葉を使いたかった部分も正直あって。それも絶対的な強いヒーローではなく、人の痛みを理解できるヒーロー。僕にとってはニケがヒーローやったり、ヒロキがヒーローやったりするし。ヒーローってどこに存在するかわかんないと思うんですよね。そういうところも"ユビキタス(=いつでもどこでも簡単に所望情報が得られること、同時にどこにでも存在すること)"なのかな?と思ったりしますね。みんながヒーロー――そういうあまのじゃく感を込めて"ヒーロー"という言葉を使えたら面白いなと思って。これまでは書きたい歌詞を衝動のままに書いてたんですけど、今回は書きたいイメージがあってそこに向かっていくことが多かったかな。楽曲自体を作るのはすごく時間が掛かったんですけど、歌詞には時間が掛からなかったかな。言いたいことがいっぱいあったのかも。

-ヤスキさんも思うことがきっと、この1年いろいろあったんでしょうね。

ヤスキ:そうですね。この前で結成して3年経って、結成当初のことを考えてたらいっぱい言葉が出てきたんです。"この3人でまだまだいけるな、まだ挑戦できるな"と思って。......嘘やん、と思われるかもしれないけど、ニケはいっつも車の中で『記憶の中と三秒の選択』を流してるんです。そういうことは今までなかったんで、俺でも嘘やろ?と思うんですけど"俺、いつも聴いてるよ"って嘘っぽい顔で言うんです(笑)。最初ニケは「ヒーローのつくり方」には反対やったんですよ。

-ああ、そうだったんですか。

ヤスキ:でもニケはそれから題材になった漫画とかを全部ちゃんと読んでるんですよね。あと今回は映画の挿入歌もあるんで(※「リフレイン」が2016年早春公開の映画"復讐したい"の挿入歌に起用)、その原作も読んでて。そしたら"ベースの音が変わった"と。「ヒーローのつくり方」に関しても"原作を読んだら言いたいことがわかった"って。

ニケ:「ヒーローのつくり方」は最初理解できないというか、ストレートすぎてヤスキっぽくないなと思って。でも原作を読んだらちゃんと意味を込めて歌詞を書いてることがわかって、めっちゃ好きになりました。そういう背景を教えてくれた方がやりやすいですね。

ヤスキ:もともとニケは歌詞をちゃんとチェックするんで、ちょっとでも"ん?"と思うと絶対につっこんでくるタイプなんです。僕の歌詞を理解するために、僕の知らんとこでいろんな努力をしてくれてるんやな......と思って。嬉しいし、ニヤッとしますよね(笑)。

-仲良しのバンドマン同士で結成されているバンドならではかもしれませんね。ニケさんもヒロキさんも、楽曲のための行動をあんまり表に出さないところが(笑)。

ヤスキ:そうなんですよね! ふたりもあまのじゃくなんです(笑)。僕らみんな同じなんです。ちょっとニケの話をすると、さっきニケが"「ボクノウチュウ」のベース・フレーズをプロデューサーに変えられた"と言っていたじゃないですか、それは今回ニケが"自分にないものを引き出して欲しい"とプロデューサーにフレーズの相談をしたからなんです。......ものすごく引き出されて、顔が真っ白になってて。ニケの顔を見るだけで面白かった(笑)。でもその甲斐あってものすごくニケのレベルが上がったし、目つきが変わったと思います。

ヒロキ:レコーディング1ヶ月前にフレーズを相談しに行くニケはほんますごいと思う。やっぱり僕は自分で固めたフレーズでいきたいなと思うから。ヒーローやなと思います。

ヤスキ:最後まで妥協せずストイックに......今回のヒーローはほんまにニケやと思います。

ニケ:おっ、"ヒーロー"っていいっすね。今回のヒーロー僕っすね。

ヤスキ:......腹立つ~(笑)!

-みなさんヒーローですけどね。全員が努力して自信の持てるものが作れたなら、もっといいものを作りたいという欲求も強くなりそうですね。

ヤスキ:そうですね。もっと欲求が強くなってます。いいものも作りたいし、いい景色が見たい。

ヒロキ:今回でもっと行けるって確信できましたしね。

ニケ:ほんまにいいアルバムができたと思ってます。

ヤスキ:ツアーも来年まで続くんですけど、ファイナル2本が大阪と東京でのワンマンで。気合いが入ってますね。今回3枚目にしてフル・アルバムを出して、曲の選択肢が増えるわけじゃないですか。去年のワンマンは1枚目、2枚目をほぼ全部やってちょうどいい尺という感じやったので、どういう感じで攻めようか?という話は今から出ています。

ニケ:このアルバムをメインにセットリストは組むつもりで。"これが今の自分たちです"というのをちゃんと見せられたらと思いますね。

ヤスキ:自主企画の"ユビフェス"も恒例行事にしていきたくて。大阪は次、BIGCATでやりたいな(笑)! ......今、僕らの界隈が"それ無謀やろ"と思うことを自分たちからやっていきたいなと思ってます。みんなきっと人と同じことはしたくないと思ってると思うんですけど、それにプラスして面白いことをしていきたい。メンバーとも"こんなことができたら面白いよね"という話をいつもしてて。高い壁は登ったとき気持ちいいからね。

-そうですね。

ヤスキ:このバンドを結成してからの3年が思っていた以上に早くて、すごく濃密な3年間で。結成3周年の日がメンバーとのスタジオやったんですけど、そのときにケーキ買ってお祝いして(笑)、結成のきっかけをふと思い出して、あのスタートでここまで来れたんかー......と思って感慨深くて。この3年間の活動は自分らだけではでけへんかったな......と思うし、感謝しかないです。

-もともと仲良し3人の遊び感覚で始まったバンドですしね。バンドを楽しむ気持ちも大事だと思います。

ヤスキ:制作に関してしんどいのは僕はすごくプラスなことだと思うんですけど、音楽をしててしんどいと思うのは絶対にナシやと思ってるんです。音楽は楽しいものやし。僕らがスタジオでこつこつ制作してるものが、ライヴで多くのお客さんが泣いてくれたり、一緒に跳ねてくれたり......あの瞬間だけでいいんちゃうん?と思っちゃってるところもあって。でもそれがないと、僕らも貪欲に音楽を制作できないし、聴いてくれる人がいないと作っててもなと思うし。僕らはやっぱりユビキタスというバンド名通り、誰しもが聴いてくれるようなやつらでいてくれたらな......と思ってるんで。だから4年目の今、また新しい景色を自分らから楽しんで切り開いていけたら――そのためにレベル・アップできたらなと思います。