Japanese
カフカ
2015年09月号掲載
Member:カネココウタ(Vo/Gt) ミウラウチュウ(Gt) ヨシミナオヤ(Ba) フジイダイシ(Dr)
Interviewer:山口 智男
物議を醸しそうな物騒なアートワークを見て、ドキッとする人もいるかもしれない。しかし、それが決して趣味の悪い冗談などではないことがこのインタビューを読んでいただければ理解してもらえるはず。憧れと挫折を歌った5作目のアルバム『Tokyo 9 Stories』を完成させるにあたって、彼らは前作『Rebirth』に引き続き、バンドの再生を経験。しかし、今回の再生は前回とは若干意味合いが違うようだ。生まれ変わるためには何が必要だったのか? まっさらな状態から再スタートしたカフカが新作完成までの道のりを語る。
-昨年2月にリリースした前作『Rebirth』は、いろいろ新しいことに挑戦しながらタイトル通り生まれ変わったカフカを印象づけた作品だったと思うんですけど、そのあとのツアーも含め、新作に繋がるという意味で、どんな成果を残せたと考えていますか?
カネコ:実はそのあと、自分の中でいろいろ張りつめてたものがぷつっと切れてしまって、連絡を取らないままメンバーとも会社とも音信不通になってしまって。で、しばらくしてから"バンドをやめたい"と言ったんですよ。
-ええっ。
カネコ:そのとき、"バンドは残したまま、曲は作らなくてもいいから、とりあえず普通に暮らしてみたらどうだろう"と言われて、普通に暮らしてみてって言われてもと思ったんですけど、"音楽を作らなくてもいい"って言われたことでちょっと救われたんですよ。それで少しだけ楽になって、ただ生活してたら、ちょっとだけやりたいことが出てきて......というか、言いたいことや思うことがいろいろあって。だから、今回のアルバムの制作はそのあとなんですよね。『Rebirth』の流れでそのまま来たわけではなく、"1度、俺は死んだ......"みたいな。いや、それは音楽的になんですが。でも、そこで1回、音楽的に死んだことで、また生まれ変われたっていうか、生まれてくるときって裸じゃないですか。その生々しい感覚のまま歌詞が書けた。自分の生活をそのまま、ありのままに書くことに抵抗が全然なくなって、結構落ちてたんですけど、そのときのことも生々しく書けたんですよ。今回のアルバムのテーマでもある"東京"はイコール、自分が生活する場所、帰る場所で、そこで起こったことや思ったことを書いたので、タイトルもそのまま"Tokyo 9 Stories"にしました。
-前作ができあがった直後、バンドの明るい未来が想像できるような話を聞かせてもらっていたので、今の話はかなりびっくりだったんですけど。
カネコ:いろいろなことがあったんですよ。バンドのこと以外にも。だからバンドが嫌いになったわけではなくて。
-でも、"バンドをやめたい"と言われて、3人はどう思いましたか?
ミウラ:ドキーンとしました。
-ミウラさんは特に入ったばかりでしたよね?
ミウラ:そうですね。 カネコ:ばっかではないだろ。 ミウラ:ばっかではないんだけど、まだまだやりきってないと思いました。
-腹も立ったのでは?
ミウラ:腹が立った人もいるのかな? ヨシミ:はい(笑)。 ミウラ:でも、話を聞いてたら、段々、心配になっていきましたね。 ヨシミ:それぞれだと思うんですけど、腹が立ちながらも俺はたぶん、またやるだろうなって思ってました。
-この話、あまり突っ込まない方がいいですか?
ヨシミ:いや。もう、そんなことがあったなって思ってるんで。 カネコ:アルバムの制作が終わってやっとこういう話ができるようになった。やっぱり迷惑いっぱいかけちゃったし、笑いながら言えることじゃないんですけど、結果、自信を持って、いいと言えるアルバムができたんで、その対価というか、その甲斐あってというか、ようやく笑いながら話せるようになりました。 ミウラ:すごくいい状態ですね。 ヨシミ:まとめたね(笑)。 カネコ:でも、この話はお客さんに伝えていいのか悩んでて。あまり重々しくこの話をしちゃうと、アルバムを聴くのに勇気がいるとか覚悟がいるとかって思われちゃいそうだけど、決してそういうことではないので。そういうことがあったからこそ、いいものが出せたというふうに伝えていきたいですね。
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