Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

ハルカトミユキ

2015年05月号掲載

いいね!

Member:ハルカ (Vo/Gt) ミユキ (Key/Cho)

-この『世界』という作品を聴いて、NEW ORDERを思い浮かべました。Ian Curtisが死んで、JOY DIVISIONが終わって、残りのメンバー3人で始めたころの、初期のNEW ORDER。あの切なさ、不安定さ、でも新たな探究心も芽生えている感じ......それに今のハルカトミユキは近いんじゃないかって。

ハルカ:サウンド的には常に意識してるバンドですけど......私たちは、ああいう何かを背負うような存在じゃないから......。独特のダンス・ミュージックになっていく、そこは通じるものがあるのかな......?切なさと不安定さって言ってもらえると、そこは嬉しいです。

-何かが終わって、また始まっていく――その瞬間の揺らぎは、確実に、この『世界』という作品には刻み込まれましたよね。

ハルカ:"揺らぎ"はいい表現ですね。いただきます(笑)。

-NEW ORDERが次第にダンスに流れていく感じって、時代の"踊りたい"っていうモードもあったし、バンド自身の"踊らなきゃやってらんない"っていうモードもあったと思うんですよ。

ハルカ: NEW ORDERのメンバーは誰も踊ってないんですけど、私は自分が踊りたいかな。

ミユキ:(笑)。

-さっき"世界を受け入れたのか"という話があったんじゃないですか。それって"もうこの世界でやっていくしかないんだ"っていうことでもあるじゃないですか。この世界で踊るかしないっていう。

ハルカ:うん......踊りますよ!

-これ、馬鹿みたいな例えなんですけど、学校が大嫌いでも、学校に好きな子がいれば、毎日行かざるをえないじゃないですか。行かないと会えないんだから。今のハルカトミユキにとっての"世界"って、その学校みたいな感じなんじゃないかっていう......感じがします(笑)。

ハルカ:はははははは! ......自分がいろんなところで生きていける、とか、"自分は何にでもなれる"とか思ってるうちは結局、何もできないのかなって思うようになった。自分には"これしかない、ここでしか生きられないんだ"って諦めたときに出てくる強さみたいなものが、実は1番強いんじゃないかと。そこに向き合わなきゃいけないんだっていう......決意っていうとカッコいいけど......それが今の感じですね。

-あと、もうひとつ訊きたかったのが、「世界」の中にある"君にこれ以上 なんにも、あげられない。"というライン。そして「君はまだ知らない」の中にある"僕の中にある全て ありったけ君にあげられたら"というライン。ここで出てくる"あげる/あげられない"という言葉は、何を意味しているんだと思いますか?

ハルカ:なんというか......自分が思い描いている理想像とか、あなたに期待されたい私、それに自分は届かないっていう感覚。期待外れであることの恐怖感......その感覚は、何度も形を変えていろんな表現で書いてますね、歌にはなってない短歌も含め。よく、"あなたらしくあればいい"とか、"君は君自身であればいいんだよ"みたいなのがあって、私もなんとか言葉にしてみたいと思ってるテーマだけど、自分らしくあることって、結局自分自身と向き合うことになるじゃないですか。自分を貫くっていうのは、期待はずれの自分とも向き合った上の話なんですよね。

-それって、ハルカトミユキとして音楽を世に発信することに繋がる感覚だと思いますか?

ハルカ:私、意識としては「世界」を作るタイミングで、初めて"音楽を発信する"って思ったわけなんですよね。だから、そういう意味でも「世界」は出発の曲なんですよね。

-あと、これまでのハルカトミユキって、どこかで世の中に居心地の悪さを感じている人たち、アウトサイダー的な感覚を持った人たちが、その想いを投影していく存在でもあったと思うんですね。でも、その立ち位置にずっといったら、逆に自分たちは先に進めなくなってしまう。言い方は悪いかもしれないけど、そこにある依存関係とか、慰め合う関係の中には、これ以上いられなくなったっていうことでもあるのかなって、今ちょっと思いました。

ハルカ:私たちの音楽に依存してくれてる人たちがいたとしたら、それはすごく嬉しいですよね。光栄です!私もいろんな曲に寄りかかってきたから。でも、その人たちはずっとそこにはいないんですよね。ひとりひとりが自分の未来を歩いて行くっていうか。私たちの音楽に力があるほど、そうでしょ? 救われたら1歩歩きだすから。だから、自分たちも自分たちでちゃんと歩いて行って、その時間の先でもう1回ちゃんと出会う。そのうえで、また共鳴して影響し合っていく。そうじゃないと、取り残されちゃうんじゃないかなぁ。だから、正しいかどうか以前に、進まなきゃいけない......と思ってます。と言いながら、今「僕はここでただ待っている」っていう歌を作ってるんですよ。「君はまだ知らない」とは別の意味で"待っている"曲なんですけど。もうミニ・アルバムの次の5月の新曲を書いてるんです! まず最初に「世界」という曲が生まれて、その周りに毎月曲が増えていって、ひとつの世界を形作っていってる状態ですね。この世界を生きる主人公をいろんな時間軸で、いろんな角度から描いているのかも。