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INTERVIEW

Overseas

Jack White

2014年06月号掲載

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1997年にTHE WHITE STRIPESとしてデビューし、その後もTHE RACONTEURS、THE DEAD WEATHERでの活躍だけでなく、数々の名アーティストとのコラボレーションに参加し、今まで7部門にわたって9冠のグラミー賞授賞歴を誇るJack White。2011年にTHE WHITE STRIPESを解散後、2012年4月にリリースしたソロ・デビュー作『Blunderbuss』は全米・全英共にチャート1位を記録し、グラミー賞5部門にノミネートと、ますます2000年代のロック・シーンを牽引するアーティストとなった彼が、全世界待望の2ndアルバム『Lazaretto』をリリース。17年のキャリアを誇りながらも、勢いを落とすことなくスケールを増す彼の肉声をキャッチした。

-前作『Blunderbuss』はあなたにとって初の全米No.1アルバムになりましたよね。チャート成績なんかを気にするタイプではないとは思いますが、どんな風に受け止めましたか?

あれはショッキングだったね。No.1になったと聞かされた時、最初に頭に浮かんだのは、"ああ、そうか、まだ1度もアメリカでNo.1になったことはなかったんだな"ってことだった。頭のどこかで、THE WHITE STRIPESが1回No.1になっていたような気がしていたけど、勘違いだったんだね。だからうれしいことだよ。No.1になるのは大変なことだし、僕みたいな音楽を作っている人間が、商業的成功を追い求めていない人間が、こういうことを成し遂げなんて、本当に驚くべきことだ。ほら、昔のアーティストについて色々読んでいると、例えばJimi Hendrixにはトップ20ヒットが1曲もないとか、Bob Dylanの曲がトップ10圏内にチャート・インしたことが1度しかないって事実を知ったりする。偉大な人たちが商業的には無視されていたなんて、クレイジーな話だよね。彼らに対する人々の評価や捉え方が、昔は違ったんだ。うん、興味深いよ。

-『Blunderbuss』は言わば偶発的に生まれたアルバムで、成り行きでソロになったというような話をしていましたが、今は自分はやるべきことをやっているという意識がありますか?

ああ、そう感じるよ。本当にそう思う。前作を作り始めた当時、"Jack Whiteのアルバム"と呼ぶことに、抵抗があった。僕の場合、元々ほかのミュージシャンとコラボするほうが音楽作りはうまくいくし、バンド名を掲げたほうがしっくり来る。そうやって、自分自身から焦点を逸らすんだ。エゴティスティックに自分を主役にして、前面に押し出したいっていう欲求はない。でも、色んな意味でTHE WHITE STRIPES=Jack Whiteだったんだよね。曲を書いたのは僕で、アイデアのほとんどは僕が考えたもの。THE WHITE STRIPESはずっと昔に始まっていた僕のソロ・キャリアであり、単に"THE WHITE STRIPES"って名前だっただけ。だから、おかしなことだよね。最近は特にそうだけど、呼び名って面白いもので、例えばBilly Corganがツアーをやって、"Billy Corgan"と謳ったら、そこにはある程度のオーディエンスが集まる。それを"ZWAN"と呼べば、やっぱりある程度の人が来る。でも"THE SMASHING PUMPKINS"と銘打った瞬間、さらに大勢の人がやって来るんだよね。僕らはこういった呼び名に、好き勝手な価値を与えようとする。呼び名ごとに区別しようとする。Jimmy PageとRobert Plantは一緒にツアーをした時に"PAGE/PLANT"と名乗ったけど、"LED ZEPPELIN"と名乗らなかった彼らを讃えるべきだと思う。多くの人が"LED ZEPPELINじゃん"って思ってたわけだからね(笑)。

-そして今回は、あなたのキャリアで最も長い時間をかけてアルバムを作ったわけですが、当初からそういう計画だったんですか?

ああ。『Blunderbuss』に伴うツアーを終えた時、1年たっぷり休んで、子供たちと一緒に過ごそうと決めていた。その前に息子が生まれた時も、出来るだけ彼の傍にいたいと思って、10~11カ月くらい休んだことがあって、この5~6年ほどは、以前みたいに長期間のツアーはやっていないんだ。2週間やって、2週間休んで、また2週間やるっていう繰り返しだよ。それじゃ全然儲からないんだけどね(笑)。でも出来る限り子供たちと一緒にいたいし、だからこそ今回もたっぷり時間をかけたんだ。それで、どうせ最初から休むつもりなんだから"人生で初めて、思い切り時間をかけてアルバムを作るっていうのはどうだろう?"って思いついた。それってどんな感じなんだろう?ってね(笑)。何しろ、これまで1度もやったことがないから。いつも2~3週間でレコーディングして"終わり!"ってノリだった。でもこのアルバムには1年たっぷり費やした。1年かけて、どうなるか様子を見た。そういうゆっくりしたやり方を、楽しいと感じる時もあったし、こんなのやってられないって思うこともあったよ。だから多くの新しいことを学んだし、そういう意味ではすごく満足していて、やって良かったと思う。いいことをたくさん勉強できたよ。

-じゃあこれも、あなたがいつも自分に課している新しいチャレンジのひとつだったんですね。

そうさ。自分がやるとは思ってもみなかったことに挑戦したんだ(笑)。絶対にそれはやらないって自分に言い聞かせてきたわけだからね。そういう意味では、おかしな話だよ。

-で、そのたっぷりの時間をどんな風に使ったんですか?たくさんのアプローチを試したとか、オーバーダブや編集に使ったとか。

色んなことに時間を使ったよ。編集作業とかね。例えば最初に公開した『High Ball Stepper』は、確か異なるテイクをまず3つ録音した。どのテイクにも上出来な部分があって、まあまあな部分もあって、でもどれもやたら長くて6分くらいあった。何しろ毎回ライヴでレコーディングしたからね。そんなわけで、3つのテイクを編集して1曲に仕上げたのさ。ちゃんと違和感なくマッチするベストな部分を、それぞれから選んだ。もちろん、拍子やテンポなんかもぴったり合う部分をね。そういう作業にはすごく時間がかかるんだけど、やりながら、時間をかけることで何ができるのか、どれだけ音楽を向上させられるのか、見つけ出していったんだ。