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INTERVIEW

Japanese

カラスは真っ白

 

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Member:ヤギヌマ カナ (Vo/Gt) シミズ コウヘイ (Gt/MC)

Interviewer:天野 史彬

-ヤギヌマさんは、シミズさんからこれだけバンドのポップ要素を託されてるわけですよね。その自覚はあるんですか?

ヤギヌマ:ふふふ(笑)。わたしは、そんざいとしてはべーすのグルービーのほうがぽっぷなんじゃないかとおもいます(笑)。......でも、わたしのおもうぽっぷさって、けっきょく"わかりやすさ"っていうことだとおもいます。わたしがJames Brownみたいなぼーかるをとっても、それはぽっぷじゃないとおもうので。ふぁんくの、おなじことばをくりかえすりずむじゅうしのかんじよりは、もっとじぇいぽっぷのうたのめろでぃにちかいっていうてんがぽっぷなんじゃないかとおもいます。

-ブラック・ミュージック的な音の基盤に対して、それ以外の要素――特にヤギヌマさんの歌とメロディ――が独自のグルーヴ感を持ちながら加わることで、カラスは真っ白のポップさが生まれるっていうのは、さっき言っていただいた"雑多さ"にも通じていく部分ですよね。では、おふたりのリスナーとしての音楽遍歴を訊きたいんですけど、まずシミズさんはどういうふうに音楽を聴いてこられたんですか?

シミズ:元々はクラシックが凄く好きで、小さい頃からピアノをやっていたんですね。でも、中学の頃にX JAPANにハマって。そこからhideにハマり、DEEP PURPLEやLED ZEPPELINのようなハードロックに行き、そこからBrian Setzerとかロカビリーに行き、そこからフュージョンに行って......って、結構バラバラに聴いてきたんですよね。で、高校生の頃までは速弾きが好きで。今、カラスは真っ白でプレイしているスタイルはカッティングが多かったりするんですけど、カラスは真っ白を始めるまではカッティングもしたことなく、コードも弾けなくて、ほんと、ただ速弾きしかできなかったんですよね(笑)。だからファンクとかは、カラスは真っ白を始めてから聴き始めた感じで。

-でも今は、自分たちの芯は"ポップとファンク"だって言い切れるぐらい、ファンクや、もっと広義のブラック・ミュージックに魅了されているシミズさんがいるわけですよね。やっぱり、ファンクに出会った衝撃は大きかったんですか?

シミズ:いやもう、大きかったですね......。初めてファンクを聴いた時は、こんなにカッコいいギターがあるんだ、こんなにカッコいいリズム、グルーヴがあるんだっていうことにビックリして。そもそもJames Brown然り、エンターテイメント感、ショウ感が凄く強いジャンルなんですよね。僕の中で、音楽とは楽しいものだっていう認識が凄く強くあって、それを体現してたのがJames Brownだったんです。だから、こういう音楽をやりたいって思ったのかもしれないですね。

-ヤギヌマさんの音楽遍歴は?

ヤギヌマ:こうこうせいぐらいまでは、ほうがくのろっくとかをまわりのともだちといっしょにきいてて、だいがくせいになってひとりぐらしをはじめたころに、"しぶやけい"とかをひとにおしえてもらってききはじめて、おしゃれなこーどでいいなって思ったり。ああいうかわいいものがすきなんだなってさいにんしきしたり。そのへんをちょっときいてるかんじでした。

-先ほどから出てくる"かわいい"っていうキーワードは、ヤギヌマさんにとって重要なものなんですね。具体的に、自分にとっての"かわいさ"ってどんなものだと思いますか?

シミズ:でも、その時その時で思う"かわいい"は違うんじゃない?

ヤギヌマ:うん。ちなみにいまの"かわいい"としては、べーすぼーるきゃっぷにはまってます(笑)。ここすうかげつは、ずっとべーすぼーるきゃっぷをかぶってますね(この日も"ドクタースランプ アラレちゃん"のキャップを着用)。

-じゃあ、何か明確な"かわいい"の指針があるというより、自分のその時々の趣向性を"かわいい"と呼ぶ感じなんですね。あと渋谷系っていう言葉も出ましたけど、渋谷系は、カラスは真っ白にとってどのくらい影響力のあるものなんですか?実は僕、最初にカラスは真っ白を聴いた時、ブラック・ミュージック的な要素をポップスに昇華していくっていう点で、小沢健二をはじめとする、90年代半ばに渋谷系というジャンルに括られていったアーティストに近いものを感じたんです。

シミズ:渋谷系ぽいってよく言われるんですけど、確かに僕らも渋谷系が好きで、特にCymbalsが凄く好きなんですよね。でも、デビュー前に最初にMVをアップした「ハイスピード無鉄砲」っていう曲があって、それがよく渋谷系っぽいね、Cymbalsに近いねって評価されるんですけど、あの曲を作った時はCymbalsを知らなかったし、渋谷系っていうジャンルもあんまり知らなかったんですよね。だから、ルーツ的な意味合いでは渋谷系っていうものはあんまりないんですけど、ポップさやかわいさを求めて作っていく中で、渋谷系に近づいていったっていう感じだと思いますね。

-なるほど。今言っていただいたおふたりの音楽遍歴と、カラスは真っ白のポップさを関連付けると、やはり表現としての奥深さっていうものが、カラスは真っ白がポップであることの定義としてあるんじゃないかって思うんです。それこそJames Brownのような往年のファンク・アーティストも、渋谷系のアーティストも、平坦な、"ノせればOK"みたいな単調な表現ではなかったと思うんですよ。そこには音楽的な含蓄の深さがあったし、奥を覗き込みたくなるような表現の豊かさがあった。カラスは真っ白も、ポップであることを目指しているけど、決して単調なリズムで拳を突き上げさせればいいっていうものは目指していないと思うんですね。

ヤギヌマ:たしかに、ひねくれてる(笑)。

-で、カラスは真っ白の複雑なポップさを象徴しているのが、さっき話した音楽的な雑多感であり、あともうひとつが、ヤギヌマさんの綴る歌詞だと思うんです。一聴して意味は取りづらいんだけど、でも深いイマジネーションと毒気をリスナーに与える言葉だなと思います。歌詞はどういうふうに書かれるんですか?

ヤギヌマ:かしは、ぜったいにじぶんのへやにひとりでいるときにかいてます。ことばあそびがすきなので、このきょくではこのことばあそびをつかいたいっていうのをはじめにきめて、それにそってかいていったりしますね。あとはだいたい、めろでぃとうたがいっしょにできるんですけど、そのめろでぃにあうようなことばをかんがえたり。そんなかんじですね。