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INTERVIEW

Overseas

METRONOMY

2014年04月号掲載

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Member:Joseph Mount(Vo/Gt/Key)

Interviewer:天野 史彬

-タイトル・トラックである「Love Letters」は何について歌った曲なのでしょうか? また、なぜこの曲がアルバム・タイトルになったのか教えてください。

実はアルバムの名前を決めたのは、制作プロセスの割と後のほうだったんだ。このタイトルがアルバム全体のフィーリングを象徴していると思ってね。タイトルが決まるとテーマやイメージも出来てくるし。あの曲は......自分自身は手紙を書かなくて絵葉書ばかりだけど、誰かと連絡を取り続けることについてかな。今はツアーしていてもそういうのが楽になって、Skypeやメッセージでやり取りしているけど、手紙を書くという手間をとることには、今もとても大きな意味があると思うんだ。もうやっている人は少ないけどね。

-もしかしたら、あなた方から私たちへのラブレターかもしれませんね。

勿論!特に日本へのね(笑)。

-この「Love Letters」のミュージック・ビデオはMichel Gondryが手掛けていますが、彼を起用した理由は?

彼のことは昔から大ファンだったんだ。10代の頃から、彼が手がけたDAFT PUNKやTHE CHEMICAL BROTHERS、Björkなんかのビデオに親しんできたからね。でも一緒に仕事ができるなんて想像もしたことがなかったよ。実現したのはとても奇妙でラッキーないきさつだったんだ。僕たちのアルバムを出しているフランスのレーベルが彼と知り合いで、彼がビデオを作りたがっているという話を聞いたから"ぜひ僕たちのを"ってお願いしたんだ。本当にラッキーだったよ。彼と仕事したいって思っているバンドは何百もあるだろうからね。それが僕たちになったんだから。

-このアルバムを聴くと、あなたがこれまで以上に音楽で自分自身のエモーションを赤裸々に表現しようとしたのではないかと思いました。そういう点で、音楽的な形は違えど、このアルバムはMETRONOMYにとってのブルース・アルバムと呼ぶこともできるのではないかと思います。この作品を作り上げた今、これまでと比べて、あなたと音楽との距離感や関わり合い方が変わった部分はありますか?

いい言い方だね(笑)。確かに、魂の感じられる音楽にしたいという思いはあったな。音楽も、単に踊りたくなるだけのものじゃなくて、もっと骨身に染みるようなものにしたかった。そういう意味ではブルース・アルバムと呼ぶのは素敵な方法かもしれないね。音楽との距離感というよりは、歌詞との距離感が変わった気がするな。音楽との関係性はかなり安定している気がするんだ。もう長いつき合いだし、とてもハッピーだからね。で、ここへきて歌詞の大切さや、歌詞を書いたり聴いたりする楽しみをようやく理解できるようになったと思う。いい意味での変化だね。

-あなたたちのこれまでの作品には、ふたつの異なる景色や心情を行き来するような、両義的な部分があったと思います。たとえば、"朝と夜""喜びと悲しみ""現実と虚構"など。本作『Love Letters』にも、このようにふたつの相反する景色や心情を同時に鳴らしている部分があるとすれば、それは何と何を同時に鳴らしているのだと思いますか? ちなみに、私がこのアルバムを聴いて感じたふたつの感情は、"愛する人が傍にいる温もりと、ひとりぼっちの孤独"です。

そうだね。ただ、それが単純に"喜びと悲しみ"というわけでもないんだ。人間関係ってそうシンプルにはいかないからね。でも、違う人生をふたつ送っているのに近い感覚ではあるかな。ひとつは、何もかもパーフェクトに感じられる状態。欲しいものも全部手に入れてね。もうひとつは、そういう満足感を得られる理由の一部になっている状態――成功しているからこそ、普段感謝しているものから離れて暮らさないといけないわけだから。だから複雑なシチュエーションや感情ではある。でもこういうのって、ミュージシャンやバンドに特有のものでは決してないと思うんだ。どんな人にも理解してもらえるものだといいなと思っているよ。

-(ここで時間が迫ってきたので)時間大丈夫ですか?

うん、僕は大丈夫なんだけど、今船に乗っているから、もうすぐ圏外になっちゃうと思うんだ。だからあと1問くらいかな。

-わかりました。では最後に、SUMMER SONIC 2014での来日も決定していますが、今、あなたたちのライヴ・セットはどのようなものになっているのでしょうか? あなたたちはライヴ・パフォーマンスの奇抜さも有名ですが、この『Love Letters』を経て、ライヴにも変化がありそうですか?

うん。ステージのセット・アップを新しくしたんだ。あと、ツアー・メンバーとしてMichael Lovett(Key/Gt)に参加してもらうことにした。今日からツアーが始まるから、とても楽しみにしているんだ。今回は60年代のミュージシャンがプレイしているような雰囲気が出ると思うよ。日本に行けることになったのもとても楽しみなんだ。行くたびにいつもとてもよしてもらえるし、大好きな場所だからね。できればSUMMER SONICだけじゃなくて、他にも色んなところでショウができるといいね!