Overseas
2014年03月号掲載
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素晴らしい。前々作『Nights Out』では脱臼エレポップで一晩の夜遊びを描き、続く『The English Riviera』では70年代AORをも消化し、優雅な箱庭ポップを展開。そんな己が道を突き進むMETRONOMYの新作は、『Nights Out』や『The English Riviera』にあった煌びやかさは薄れ、全体的にメランコリックな印象を聴き手に与える、今までで最もパーソナルな質感を持った作品に仕上がっている。アルバム全体を、まるでアンビエント・テクノのように繊細なアトモスフィアが覆っている上に、単音で奏でられるメロディはどれも切なく、曲によっては爪弾かれるギターの音色が哀愁を誘う。『Love Letters』というタイトル通り、まるで古い友人から1通の手紙を受け取ったかのような親密さを感じさせるアルバム。誰もが抱える心の孤独にそっと寄り添う傑作だ。(天野 史彬)
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