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INTERVIEW

Overseas

METRONOMY

2014年04月号掲載

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Member:Joseph Mount(Vo/Gt/Key)

Interviewer:天野 史彬

-これまでMETRONOMYが行ってきたコンセプチュアルな作品作りは"アルバム"という形での表現に相当なこだわりがあったからこそ生まれてきたものなのではないかと思います。そして、そのこだわりがあったからこそ、アルバムの存在意義が薄まっていった音楽シーンにおいて、METRONOMYの存在は特別なものになった部分もあったのではないかと思います。"アルバム"という表現形態に対するこだわりは、今も強く持ち続けているものですか?

そうだね。僕自身はアルバムの実用性を疑ったことがないんだ。アルバムを作るっていうのはそのフォーマットが好きで、アルバム作りという作業の歴史が好きで、アルバムが伝えてくれる物語が好きだってことだと思う。ただ、人によって好みが違うよね。例えばダンス・ミュージックの人たちは、今はあまりアルバムを作る必要性を感じていないんだ。DJ文化はアルバムというより曲重視だからね。だからそういう人たちもいるけど、僕くらいの年代のイギリスのバンドは、アルバムについて同じ気持ちの人が多いんじゃないかな。素敵なフォーマットで、独自の歴史を持っている。その伝統に取り組むのは素敵なことだと思うよ。

-『The English Riviera』がFLEETWOOD MACなどに代表される70年代ポップ・サウンドからの影響を取り入れた優雅なサウンドだったのに対し、今回の『Love Letters』は、60年代のソウル・ミュージックやサイケデリック・ミュージックからの影響を感じさせる、内省的でメランコリックな、とても叙情的なサウンドだと思いました。サウンド面において、どのような音作りをしたいと考えていましたか?

今回のアルバムをレコーディングした場所は、60年代の音楽と似たような設備のところで作ったんだ。オーナーがとてもエキセントリックな趣味の人でね。......そういう場所を使うことにしたのは、伝統的なソングライティングの手法を使いたいと思ったからなんだ。その伝統は、60年代に始まっているものが多いと思う。THE BEATLESとか、THE KINKSとか。作っている時もそういうのを聴いていたよ。勿論前から聴いていたものだけど、この時は違う耳で聴いていたような感じだった。他にはモータウンものとか、THE ZOMBIESとかね。プロダクション面で影響を受けた気がするな。そういうアーティストたちの当時と似たようなスタジオを使ったからね。

-今作のレコーディングが行われたのは、ヴィンテージのアナログ機材が充実しているロンドンのトー・ラグ・スタジオ(THE WHITE STRIPES『Elephant』や、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのシングル『ゲット・アップ・ルーシー』などが録音されたスタジオ)ですよね? このスタジオでのレコーディングで思い出深い出来事などがあれば、教えてください。

いいよ(笑)。まず、インターネットが一切ないところだったんだ(爆笑)! 信じられるかい? あれもこれもないって感じで、あそこにある最新のテクノロジーはCDバーナーだった。そういうのがあったの憶えてる(笑)? ほとんど博物館みたいな場所だったよ。軍事政権の時代か?みたいな(笑)。でも、コンピューターを使わずにアルバムを作って、サウンドを自分の手でいじるというのをやってみたかったから、とてもやり甲斐があったよ。

-聴き手を別の世界へ作れて行くかのような甘美な魅力のあった『The English Riviera』に対し、本作は、聴き手の隣にそっと寄り添って胸の内を語りかけるような魅力のある作品だと思います。この作品が、このように親密かつ内省的なものになったのは何故だと思いますか? この制作期間に、自分自身の内面を深く振り返る機会があったりしたのでしょうか?

うーん、そうだね......歌詞的をもっと興味深いものにしたいという気持ちがあったからね。歌詞は、もっといいものを書けるようになる伸びしろがあると思ってたんだ。いつも、自分が理解していたり知っていたりすること、パーソナルなものを歌にしているんだけど、今回特に内省的になった理由があるとすれば、ガールフレンドが妊娠したことかな。父親になることがわかっていたんだ。でも実際に歌詞を書く時には、あまりパーソナルにしすぎないように気をつけたよ。だから、元ネタはとてもパーソナルなものではあるけど、アルバムに出てくる話は文字通り僕のことっていうわけじゃない。アルバムが親密に聴こえるのは、聴き込むことによって、その元にあるパーソナルな部分が伝わる、という感じなんじゃないかな。

-あなたが『Nights Out』以降で手に入れた高い評価や成功は、このアルバムに影響を与えていると思いますか?

僕はあまり外部の力に影響を受けないようにしているんだ。勿論、成功するとレコード会社やファンの期待も大きくなるけど、自分自身への期待の方が大きいね。他の人が想像する以上に。