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INTERVIEW

Japanese

ハルカトミユキ

2013年11月号掲載

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Member:ハルカ (Vo/Gt) ミユキ (Key/Cho)

Interviewer:天野 史彬

-僕も学生の頃、就活するフリをしていた時期があるのでよくわかるんですが(笑)、やらなきゃなって思いつつ、でも、本当にやりたいことは別にあるし、そもそも自分は社会に出て働けるのかなって思ったりしませんでした?

ハルカ:そうですね(笑)。できないって思ってました。今になって、音楽なかったらどうなってたのかなって思うことはあります。歌にできたから、今はこれくらいの怒りで済んでるのかなって。だから、音楽っていう表現手段があってよかったなって思うし、"そのまま社会に出なくてよかったね"ってよく言われます(笑)。

-実際、ハルカトミユキの音楽って、人と同じじゃなきゃいけないっていう同調主義的、集団主義的な考え方に対する疑いや怒りが強いですよね。たとえばこのアルバムだと「マネキン」、「mosaic」、「伝言ゲーム」といった曲にはそれが如実に表れていて。こういう曲を聴くと、やっぱりおふたりは今の日本の社会にかなり抵抗があるのかなって思うんですが。

ハルカ:そうですね。「マネキン」も「mosaic」も「伝言ゲーム」も、それぞれ言っている内容は違うけど、どれも根本は、同調主義みたいなものを目の当たりにした時のイラッとした感情で曲はできてます。テレビは無理やり同調するのを煽ったりするし、本や音楽でも、好きで手を出す人はいいんですけど、とりあえず流行りに乗っかろうとしてる人ってどのくらいいるんだろうって思って。逆に、同調して売れてるものばっかり売れるかと思えば、匿名で批判ばっかりする風潮もあるし......。気がついたら、ムカつくことがよくあるんです。

-そういう気持ちって、昔からずっと持っていたものなんですか?たとえば、学生時代にみんなでトイレに行ったり、お弁当を人と一緒じゃなきゃ食べられなかったりするのも、そういうことだと思うんですよ。今だと、TwitterやLINEなんかをやることで逆に人間関係に疲れていく子も多いみたいだし。

ハルカ:そうですよね。ちょっと言ったら炎上しちゃったりとか。でも私は、中学生の時から、どっちかと言うと斜に構えてました(笑)。群れる風潮にはムカついてましたね。

ミユキ:私も、群れてはいなかったですね。でも、群れなきゃ群れないで"何、あいつ?"とか言われるし。昔、"あの子、人殺しそうだよね"って言われたことがあって......。

ハルカ:ははははは!

-それ、僕も言われたことあります。

ハルカ:どんな過去にシンパシーを感じてるんですか(笑)。

ミユキ:でも、そういうのを気にしない性格というか。どうでもいいって感じだったので、割と大丈夫でした。

-社会に対する怒りを音楽に変えていったことで、ハルカトミユキって去年から"ゆとり世代が叫んだ!"みたいな、世代の代弁者的な立ち位置としても語られた部分があったと思うんです。それに関してはどう思ってました?

ハルカ:自分ではあんまり意識してなかったです。ただ思ったことを書いてたって感じだったんですけど、でも漠然と、私たちと同じことを思ってる人は凄くいっぱいいるんじゃないかっていう変な確信はあって。だから、"やっぱりね"とは思いました。若い人が好きになってくれたりすると、"そう思うよね?"って思ったりしたし。

-音楽シーンや周りのミュージシャンたちを見て、自分たちと同じように怒りを発してるな、共感できるなって思う人たちっていますか?

ハルカ:あんまりですね。もちろん、怒ってる人はいるだろうし、それを表現している人もいると思うんですけど......あんまりいないかなぁ。

-生ぬるいなって?

ハルカ:うーん(笑)。生ぬるい人ももちろんいるし、そもそも怒ってない人もいると思うんですけど、それよりも、怒り方の問題だと思うんですよ。"それじゃあ怒ってるパフォーマンスをしてるだけだよ"って思わせられる人が多いなって思います。静かに怒ってる人の方が、本当に怒ってる感じするじゃないですか。凄くわかりやすく怒鳴ってる人と、凄く静かに語ってる人がいたら、私は後者を怒ってるなって思うんですよ。なので、本当に怒ってるなって思う人はあんまりいないです。

ミユキ:うん、自分たちと同じような人はいないと思います。

-なるほど。ただ、この『シアノタイプ』というアルバムには、怒り以外の、もっと素直な感情が出てるなって思ったんです。たとえば「長い待ち合わせ」っていう曲は、<どうしても見せたい本と/言いたいことが沢山あって/約束の時間がきても/なぜだか一人ぼっちで>って歌っていて。他者に見せたいものや言いたいことがたくさんあるのに、相手は待ち合わせ場所にいないっていう傷ついた光景を歌ってますよね。これって、実はインディーズの頃にはなかったものだと思うんです。

ハルカ:確かに、傷ついてますよね......。これは、(自分の気持ちを)ありのまま書いちゃった感じですね。だから、ある意味では挑戦というか......ありのまま書いてみたらどうなるんだろう?って思いながら書いてる部分はありました。聴いた人がどういう反応をするかは、聴いてもらってからじゃないとわかんないんですけど、私がこういう素直な言葉で書いて、こういうふうに歌ったらどう聴こえるんだろうって思いますね。