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INTERVIEW

Japanese

Brandel

2013年08月号掲載

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Member:Taki (Vo/Gt) Juker (Gt) Lyuon (Ba) Kaz (Dr)

Interviewer:沖 さやこ


-皆さんが持つ本質的なものや、それぞれの人間性というものが強く出たことによって、前作よりも艶のあるサウンドになっていますね。

Lyuon:CDでは“日本の音楽の水準”をぶっ壊したいなと思っていて。日本の音楽は中音のシャリシャリした部分にこだわりを持っていて、凄く低いところのローが出ていない。日本のアーティストは綺麗に聴こえるところをしっかり出そうと考える人が多い気がしていて。U2やCOLDPLAYは裏で聴こえないようなレベルでギターをフワッと鳴らしたりするんですよね。そういう組み合わせをすることで奥行きを出している。日本の標準的な音をもっともっと派手にぶっ壊していくにはどうしていったらいいかというのが、段々見えてきています。MUSEやCOLDPLAYのような今を代表する一流のバンドが一流の環境で作っている音源と、日本人が作っている音源の違いが少しずつ見えてきている。ひとつ見えている答えは、ひとつひとつの音をめちゃくちゃいい音で録っている。それが艶に繋がるんだと思うんですけど、凄く難しくて。だから今僕らから出ている艶というものを何倍も何倍も磨くことによって、世界で通用するような、どんなところで流れていても心地よく聴けるようなワールドワイドな音になるのかなと思います。

-中音だけが目立つ音だと、いい音でなくても成り立つというところはあるかもしれません。

Lyuon:それは本当におっしゃる通りで、(パソコンなどが発達している)現代の環境だったら流通出来るレベルの音源はいくらでも作れるんです。打ち込みで完パケまで作る人の音もいい音だと思うけど、そことMUSEやDAFT PUNKとは明らかに分厚い壁が存在していて。だからこそこうやって、バンドという燃費の悪い形態でCDを1枚作るとなったら、こだわりどころはそこじゃいけない、というところに行き着くというか。

Kaz:さっき今作は“ライヴ・アルバム”と言いましたけど、本当にそうならライヴ音源を出せばいいと思うんです。ライヴ音源で素敵な作品はたくさんありますけど、僕らはレコーディングをしてCDを出しているわけじゃないですか。その中に“ライヴ・アルバム”というコンセプトはありながらも、ライヴとCDは別で、CDでしか聴くことが出来ない音が必ずあると思うんですよ。だから僕たちはCDでいいものを作りたいと思うし、それが艶感に繋がっているとは思います。

-今作はコーラス・ワークもかなり凝られていますね。

Kaz:それも“セルフ・プロデュースにしないといけない”と思った理由のひとつなんです。たくさんのコーラスのトラックをTomに投げたところで、どれが主旋律かどこを大きく出すかとかきっと分からないだろうなって(笑)。それを全部説明するのもめちゃくちゃしんどかったので“これセルフ・プロデュースじゃないと無理じゃない?”という話になって。

-ここまでメンバー全員がちゃんと歌えるバンドは珍しいですね。特に日本では。

Kaz:それはBrandelが始まってからずっと曲げずに掲げている主張ですね。全員が歌えるバンド。

Lyuon:理想はお客さんにも歌ってほしい。ライヴで手を挙げることとは別の“声を出す”という参加。今回はそれをたくさん設けられたかなと思います。歌が上手下手ではなく、お客さんと一緒に歌うコーラス・ワークというのもありますね。ゴスペル的な考え方というか。

Juker:僕らが歌わないと“お客さんに歌わせるのに何でお前ら歌ってないの?”って話にもなりますしね(笑)。

-Track.5「Raining Tears」が本当にいい曲だなと純粋に感動したんです。6曲の中でTakiさんの声が1番映えているとも思いました。

Taki:個人的にはこの曲は、COLDPLAYのChris(Vo)のようなイメージで歌うというのもあって。僕の声はそもそも太いほうではないので、どうやって低い部分を出して歌うかを考えたり。「Raining Tears」……いい曲ですよね。そういうところでヴォーカリストとしてもモチベーションも凄くあがるし。ラストのコーラスは近い将来、フロアみんなが鳴り止まないくらい歌ってほしい。

Lyuon:これはTakiがリラックスして歌えるかどうかに全てが掛かっていたんです。「Addiction」はめちゃくちゃ攻めたヴォーカルだけど、「Raining Tears」はリラックスしたことによって広がりが出て。やっぱりライヴで完全にリラックスしてバラードを歌うのは難しいと思うんです。だからそこはレコーディングとライヴの大きな違いですね。

-ここまでしっとりしたバラード・ナンバーは初めてではないでしょうか?

Lyuon:正直この曲の並びだったら、ここにテンポ感のある曲を入れて、最初から最後までアガるものにも出来たんです。でも30分のライヴの中に、ちゃんとゆっくり聴いてもらって“一緒に歌おうよ!”というバラードを入れるのがBrandelのスタンスですね。それで、このバラードに行き着くまでの間にさっき言ったお客さんとの“壁”を取り払いたい。その壁がなくなることによって、この曲で純粋に、理性を超えた本能的な体験が出来るかなって。音を聴いて、メロディを聴いて、本能的に悲しい気持ちや嬉しい気持ちになったりするじゃないですか。この曲は凄く果敢無い部分もありながら……感動するような要素があるなと思っていて。感動についてもみんなと話したりもしたんです。

Kaz:それ相当話したね(笑)。

Lyuon:辞書でも勿論調べたし、いろいろ話したんですけど……“感動できるライヴってなんだろう?”という話にもなって。“思い出とかを取っ払ったとしても感動出来るものがあるとしたら凄いよね”“その感動が音によって呼び覚まされた何かなのかな”と。いろんな悩みや、考え込むこともあると思うんだけど、この曲ではライヴに来てくれた人の心の奥にある感動を呼び起こしたいなと思いました。

-Brandelは密に話し合いをなさるんですね。

Juker:各曲結構イメージを話し合って作るんで、メンバーそれぞれに譲れない部分とかがあるんです。ぶつかることもあるんですけど、“ここはこうしたいからこれに合うようなアレンジにして”など、お互いを尊重し合って曲を作っていきます。

Kaz:話してる時間のほうが長いかもしれないよね?話し合って話し合って話し合ってスタジオ行く、みたいな感じ。

Lyuon:スタジオは演奏している感覚を大事にすることが僕らにとって大事なことなので。いくらいろいろ喋ってもやってみたら“違うな”と思うこともあるし(笑)。それは体感しながら仕上げるんですけど……ライヴとCDと同様に、コミュニケーションを取るという行為はメンバー間でも大事にしていて。ここが雑だと来てくれたお客さんとのコミュニケーションも雑になると思うんですね。“Brandelとしてのコミュニケーション”というのがひとつ僕らの作り上げたいものなので、個々だけではなく“Brandel”というひとつの人格を作るためのコミュニケーションは密に取ります。ツアーは車で移動なので、その間にいろいろ話すから作品のアイディアもいろいろ出てくるし、単にライヴを回っているだけでなく作品に対するモチベーションが上がっているという感じですね。ツアーを回るとそのサイクルがとにかく短くたくさんある。それが成長のスピードにも繋がると思います。

Juker:やっぱり僕らは進化することが不可欠で。ずっと自分たちの出来る範囲のことで曲を作り続ける人もかっこいいと思うんですけど、俺らは自分たちが描くイメージを大事にしたいんで“このイメージに近づけるためにはどうしたらいいんだろう?”と新しいことにどんどんチャレンジすることはこれからも続けていきたいと思いますね。