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INTERVIEW

Japanese

石鹸屋

2013年06月号掲載

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Member:厚志(Vo) 秀三(Gt) hellnian(Dr) BOSS(Ba)

Interviewer:沖 さやこ


-この前秀三さんが"石鹸屋は厚志とhellnianの直線的なエネルギーが色濃く出ている"とおっしゃっていましたが、hellnianさんのこのエピソードはそれに通ずる気がします。

秀三:前も言ったかもしれないですけど、この2人は器用なタイプではないので、僕がバリエーションの広い曲を作っても、結局自分のカラーで攻めるしかないんです。なので、そこで僕が小細工を労するよりは、彼らに寄り添ったほうが石鹸屋としての曲の強さは出る、と。これしか出来ないけどこれならうまくやれるぜ! というエネルギーは本当に素晴らしいものがあるので。そこを生かすために、僕とBOSSがいる。

-そういうことを考えて曲をお作りになるんですね。

秀三:はい。"(厚志とhellnianが)このくらいは出来るだろう"と思って作るんだけど、たまに出来なくて"やべえ、これ失敗した!"というのもたまにあります(笑)。途中どうしても"これ厚志が歌うより俺が歌ったほうがいいかな?"って曲だけ"これ俺にやらせて"と。「ひどくラブ」もそういう流れでしたね。

-あの曲はサビだけ厚志さんが歌ってらっしゃるんですか?

秀三:あれは全部僕です。間奏の"あーあー"ってコーラスだけ厚志と2人で歌っていますけど。

-わ、そうなんですね。あの曲のサビはどちらが歌ってらっしゃるのか何度聴いても分からなくて。

厚志:たまに兄弟でも分からなくて(笑)。"歌ってないのに俺がいるな?"とか。

秀三:"あれ? これ俺の声なのに俺の声に聴こえねーな?"とか(笑)。

-この曲は破壊力満点で(笑)。秀三さんのヴォーカルもAメロはキュートで、サビが妖艶で、新しい側面が出ていると思いました。これは女性視点の歌詞ですよね?

秀三:そうです。僕が思う女性というのも、そんなに深くはないんですけど......(笑)。深さよりは、妖艶な感じとちょっと病んでる、ストーカー気質な曲でして。

hellnian:昔もそういう感じで歌詞書いてなかった?

秀三:あ、なんか書いた! あのときは男目線だったから、男ストーカー(笑)。

-ははは、まさか秀三さんがストーカー気質で......?

秀三:いや、それは絶対ないと思います(笑)。......なんか、パッと見美しいものでも、よく見るとこれ怖くね? と思う表現をしたくてですね。"愛してる"と言う人ほど、視野が狭くなって。"愛してるから、これやってもいいよね?"と思うのは怖いことなんじゃねーのかなぁ? という歌ですね。実は、ちゃんと考えてまーす(笑)。

hellnian:コーラス録り楽しかったよね。エンジニアさんもメンバーじゃないのに巻き込まれてね(笑)。みんなで"ラブ!"って叫ぶの。

秀三:サポートのエンジニアさんにも頼んで(デス・ヴォイス気味の声で)"ラブ!"って叫んでもらったね。

-(笑)。「アメノチアメ」は90年代の歌謡曲チックな、日本ならではのメロディですね。東方のメロディと近い気もしました。こういう美メロを石鹸屋のオリジナル曲で聴けるのはとても嬉しいです。

秀三:東方に合わせるというわけではないんですけど、日本人だから和の要素は出していいだろ? 無理にアメリカナイズド、イギリスナイズドする必要はないんじゃないかな? と思ってまして。そこは最近気に入ってるテーマです。次の作品も、歌謡曲的な、和の要素は欲しいと思っています。

-この曲はhellnianさんが歌詞を書かれていますね。

秀三:歌詞は、曲がある程度固まった段階で"これは俺かな""これは厚志かな"と分けていって。「アメノチアメ」はナイーヴな曲なので"これヘルに書かせたらいいんじゃないか?"と思って。

hellnian:そうですね、ナイーヴで、ネガティヴなんで(笑)。雨はいろんなものを隠してくれるな、世界を狭めてくれるなと個人的には思っていて......こういうこと言うと危ない方向に行きそうですけど(笑)。雨降ってるとしぶきとかでなんだかもやーんとするじゃないですか。見えないと狭くなるので、ある種の孤独感を薄れさせてくれると思っています。

-秀三さんのお見立て通り、曲と詞の相性はドンピシャですね。「秘密のチャーム・バット・ガール」は厚志さんが歌詞を書いてらっしゃいますが。

厚志:こういうファンキーな曲に歌詞を書くのは兄貴だと勝手に思っていたので、この曲をもらったときは"どうしよう、何書こう?"と思いました。その頃に、自分が20歳くらいのときに書いた歌詞を見て"あ、結構バカなことサラッと書いてるなぁ"と思って。その20歳の自分に負けたくないなーと。真面目に歌詞を書こうとしちゃうんです。でもそればっかりもつまらないから、ちょっと枠を広げるというか、広い目で見てフランクな気持ちで書いてみました。

秀三:『プリミティブ・コミュニケーション』の「言えったら」もファンキーな曲なんですけど、「秘密のチャーム・バット・ガール」はあれに比べるとメロディが平坦な曲なんですよ。だからあまりリズムの難しいところを気にしなくても、厚志にも書けるだろうと。裾野を広げてくれたまえ! どう? という感じですね。