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INTERVIEW

Japanese

sleepy.ab

2013年02月号掲載

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Member:成山剛 (Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香


-曲作るにしても、誰のドラムでというのがないまま作ることになるし。

でも、その作り方が意外に良くて、特にギターとかは先に録ったんですよ。

-じゃあ、“どうしよう?”っていう迷いの中身って?

バンドをどうするか、ですね。ホントにできるのか? そこまで考えたというか。4人でやっぱ10年ぐらいやってたんで、けっこううん、“どうしようかな”と。

-そこからどう動いていったんですか?

そうですね……「アンドロメダ」っていうのが1曲目にできたんですけど、「アンドロメダ」って今作のテーマ、始まりで、宇宙的なものというか、そういうのがあったんで、アルバムというものをイメージした時に続きはなんとなくあったんですね。で、「アンドロメダ」ができた時って、sleepy.abがちょっと変われるというか、期待する何かがあったんですね。すごい名曲ってわけじゃないんですけど、ざわざわする感じがあって。

-そうですね、いろんな可能性を感じる。

うん。バンドとしても可能性というか、ざわざわした感じっていうの……それはすごく大きくて。そこからのイメージの続きを作りたくなったというのはありましたね。

-「アンドロメダ」はこれまでの自然で静謐なムードにエレクトロニックなものが乗っかってくるだけでなく、そういうレベルを突破して、生き物的に大きくなっていくし、すごい核心の曲ですよね。

そうですね。この曲があったからアルバムもできていったし、しかも「アンドロメダ」と「Lost」って曲が入って、その2曲が際立ったというのが大きいですね。

-そして全曲ではないけど、今回、すごくフィジカルになりましたね。

うん。

-そのあたりはライヴをやる時のイメージから? それともそういう曲を作りたかった?

前作『Mother Goose』を作り始めた時にも、ちょっとギラっとしたものは意識して作り始めてたんですけど。なんとなーく“あり続ける”みたいな感覚を打破したいと思ったし、そこで「アンドロメダ」が生まれたし、津波の脱退があって、さらにもっと研ぎ澄まそう、みたいのはありましたね。

-確かにsleepy.ab聴いて癒される、みたいな感じもロック・バンドとしてはどうなのかな?と少し思ってました。

その“ロック・バンドとして”みたいなところはすごく意識しましたね。アレンジでももうちょっと男らしく、とか(笑)。ギターひとつとっても。

-ただ、フィジカルに訴える曲だからと言って、ライヴで暴れてるとかではないけど(笑)。

うん。ただ、最近になってライヴで汗かくようになってきたっていう(笑)。

-(笑)。どんだけ省エネだったんですか。

寒いんですよ(笑)。いつも“冷房は絶対やめてください”って言ってたんですけど、鈴木くん(サポート・ドラマー鈴木浩之、ex:ART-SCHOOL)が入ったことによって、すごく感化されてますね。

-鈴木さんとの出会いは、どんな経緯なんですか?

初めて会ったのは、ART-SCHOOLと北海道で2マンした時ですね。津波とは違うタイプなんですけど、敢えて。リハで初めて合わせた時、“あっ、こんなに違うんだ!?”って。特に昔の曲でバラードなんて、ドラムのスネアのリリースの長さが全然違ってた。それまで歌をスネアのとこに“引っ掛けて”歌うっていうのがあって、歌は少し後にある、独特なタイミングっていうのがあったんですけど、それが全然できなくなって。でも、“こう叩いて”っていうのもなんだし、言わないほうが面白くなるなと思いましたね。

-自分の歌い方を再認識できますよね。あまりそれをやるとタメを効かせた感じになるし。

うん。なんか慣れてきた歌手の人がどんどんエスカレートしていくパターンってあるじゃないですか。そういうのをやめてフラットにやろう、みたいな。過去の自分を真似したらそれ以上はないんで、それ以上を求めたというか。やっていくうちにどんどん良くなるはずだし、ツアーで5本やっていくうちにどんどん良くなってて、楽しくなってって、“あー、汗かいてる!”(笑)。

-(笑)。「アンドロメダ」や「undo」を演奏するには集中力が必要そうだし。

うん。集中力ですね。「undo」なんてみんながバラバラなことをやって成り立ってるんで、変な緊張感はあるんですよ。

-実際、組み立てていくのは大変な曲だった?

う~ん……「undo」は、割と“自由すぎるな”っていうのはあったんですけど、割と実験的なのは得意なほうだと思うので、むしろ「ハーメルン」みたいなsleepy.abらしいというか、そういう曲の方がマンネリ感が出ちゃうというか。普通の8ビートのアレンジするの、すごく不得意なんです。ベースも8分とか4分とかであんまり弾きたがらないんで、もともと。だから敢えてそこは“男らしく”みたいな感じで弾いてもらったんです。

-逆に「ハーメルン」のようにいい曲だからこそ出せる、今までと違うニュアンスってありますね。

ほっとくと流れそうな、なんとなく良さそうな、なんとなくいいメロディになってたのは間違いない。なので、山内は今回、自分のテーマは“揺らぎ”って言ってたんですよ。まぁ、とは言ってもトレモロを多用するってことだったんですけど、結局は(笑)。

-(笑)、そればっかりでもないと思いますけど、背景みたいなものをかもし出してますね。

うん。だからいい意味で“悪い音”が増えたなぁと。

-でも、“変わったね”って言われるぐらいじゃないとバンドにとって意味ないんじゃないか? という時期だったんですね。

そうですね。

-今回、neuron=脳内宇宙というテーマというのは、登場当時の感じに近い感じがするんですよね。2回目のデビューというか。

“らしいな”っていうか、“これだよな”って。このアルバムを聴いて“そうだ、これこれ”って思ってくれたら嬉しいです。

-結果的にメジャーにいた時期よりもバンドの色が濃くなったっていうのは面白いですね。

ふふ。だからね、あの時に好き勝手にやっときゃ良かったっていうのはありますよ(笑)、気負わずにね。

-今までsleepy.abってどこにも属してないがゆえに、どこにでも置けますっていう……。

うん。どこでも置ける。

-そういう意味で重用されてたと思うけど、いい意味でアクが出てきたかもしれない。

うん。

-バンドを続けていくモチベーションは上がりましたか?

あー、それはすごくありますね。作品は毎回、納得して出してるんですけど、ライヴに関してはどんどんもっと次が見たいなっていう感覚があります。