Japanese
堂島孝平
2013年01月号掲載
2012年3月にフル・アルバム『A.C.E.』をリリースした堂島孝平が、10ヶ月というインターバルでその第2弾となるフル・アルバム『A.C.E.2』をリリースする。“A Crazy Ensemble”=“A.C.E.”と名づけられたバンドとそのアルバムは、前作から更に洗練を重ね、ポップでキャッチーな音楽を発明した。自身のミュージシャンとしての環境、音楽への好奇心、バンド、曲作りなどなど、“A.C.E.”というプロジェクトを紐解きながら、ロックでポップな堂島孝平の頭のなかを覗いてみた。
-2012年はとてもお忙しかったと思うんで、まさか10ヶ月というインターバルでアルバムが出ると思ってなかったです。
……やばいっすよねぇ。気が狂ってるとしか思えない(笑)。仲いい友達とかがたまに“過労死するんじゃないの?”って言うんですよ。ずっととにかくライヴやって、音楽作って。しかも前作から10ヶ月でこのニュー・アルバムも出すという。攻めに攻めた1年でした。
-今作は前作『A.C.E.』の第2弾、『A.C.E.2』ということですが。
A.C.E.メンバー(Dr・NONA REEVES小松シゲル、Ba・鹿島達也、Gt・NONA REEVES奥田健介)で楽曲制作を始めたのが、かなり新機軸という実感があって。『A.C.E.』を録ったメンバーでずっとライヴもやって、そのなかでどんどん発見したこととか、発明したこととかに対しても“これをいいものにしないと意味ないな”って気持ちがあったんで『A.C.E.2』って名前にしました。
-新機軸とは?
それまでよりも、より削ぎ落としたっていう感じですね。自分はいろんなタイプの曲を作るので、やろうと思えばそういうことができるんですけど“いま自分がビビッドなものを敢えてやる”っていうのが“A.C.E.”っていうプロジェクトなんです。例えばサウンド面はアレンジしていく上でも楽器数が圧倒的に減った。最少人数で作ってるアルバムなので、すごく削ぎ落とされたアレンジになっているんですね。自分でも新しい発見だったんですけど、そうしていくと歌うこととか、歌ってる人にフォーカスが当たりやすくなって、逃げ場がいい意味でなくなるんですよ。そうなってくると“シンガー・ソングライターとしてこのタイミングで何を歌うか”とか、自分という人間味がそこに出やすくなって自分の音楽として取り込めたっていうのがすごくでかかったんだと思いますね。そういうダイナミックなものになったなぁっていうのが“新機軸”だったんです。
-“削ぎ落としたアンサンブル”にしようと思ったキッカケなどはあったのでしょうか。
……やっぱり、そういうことにギアを入れたくなったってことだと思いますね。最初の5年間は自分ひとりとプロデューサーの人とスタジオ・ミュージシャンの皆さんとで作品性の高いアルバムを作ることを心がけてて。『サンキューミュージック』っていうアルバムからGO-GO KING RECORDERSっていうバンドのチームを持って、ライヴをたくさんやっていくようになって。そうなると音楽作りも関わってくる人も変わってきて、ライヴに向けて編成やアレンジをどんどんハイパーにしていったんです。それを散々やったあと30過ぎくらいから、改めて自分がシンガー・ソングライターとして何をしていくかっていうことを考えて。そのタイミングで、自分が考えていることと表現のやり方として……キッカケというよりかは、うまくタイミングが合ってこうなったんだと思いますね。あとは、お金もかかりますし(笑)。
-(笑)。
これはもう本当に。金ないなんて当たり前だし、それを逆手に取らないとやれないし。自分はもともとソロだから、一緒にライヴをやる人にギャラはもちろん発生します。 リハにも発生するし、なおかつミュージシャンみんなも忙しいんで、スケジュールが合わなかったり。そうなってくるとお金だけの問題じゃなくなってくるから。僕は相変わらずメジャーのフィールドでやってるけれど、少ない人数でどれだけかっこいいものを作るかっていうところに3年くらい前に来て。それと、音楽家として、シンガー・ソングライターとして何を歌うかっていうところが一気に来たっていうのはありましたね。“少ない人数でしかやれないことってなんだろう?”とも考えたし。余計自分の本質みたいなものが見えてきて最初不安だったけど、アレンジに頼らない結果生まれてきた自分の新しい可能性がたくさんあって。そこが本当の意味での新機軸なのかもしれないですね。
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