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INTERVIEW

Japanese

blgtz

2011年11月号掲載

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Member:田村昭太(Vo&Gt)

Interviewer:沖 さやこ

田村昭太によるソロ・ユニットblgtz(ビルゲイツ)が、約6年振りのフル・アルバム『同時に消える一日』を11月23日にリリースする。THE BEATLESのリマスターなどで知られるSean Mageeがマスタリングを手掛け、THE NOVEMBERSの小林祐介をゲストに迎えた楽曲や、配信限定でリリースされた東日本大震災のチャリティー・シングル「ソネット」を収録。前作に当たるミニ・アルバム『blgtz』から3年4ヶ月。長い沈黙と苦悩の中で彼が導き出した着地点――その真相を田村本人に迫った。

-2008年にリリースされたミニ・アルバム『blgtz』以来3年4ヶ月振りであり、フル・アルバムとしては6年振りとなる今作ですが、この3年間の活動を教えて頂いてもいいですか?

『blgtz』をリリースした後は、月に1、2回ライヴをして、あとは何もせずただ、ずっと椅子に座っていました。僕自身の調子が悪く、この先のヴィジョンや自信を失っていて低迷していた期間でした。2010年の2月にライヴ活動を休止して、新しいサポート・メンバー探しとレコーディングの準備に入りました。

-サポート・メンバーが揃ったのはいつ頃でしょうか。

去年の12月ですね。それまでは“また作品を形に出来ないまま時間だけが過ぎていくのでは?このまま一生ダメなんじゃないか?”と何度も悩みましたが、プレイヤーの見通しが立つとスタジオでの作業は順調に進んでいきました。

-以前のワンマン・ライヴでもギターを弾いている多田祐輔さんと。

知人を介して知り合った、ベースの増原克彦と、ドラムスの金川卓也が今回参加してくれています。

-メンバーが揃ってからは、順調にレコーディングを進めることが出来たのでしょうか。

そうですね。順調にアレンジも固まって、プリプロを終えて。……でもその直後に東日本大震災が起き、一度作業を白紙に戻したんです。1ヶ月半近く休止して。それからまた全員で再会し、チャリティー・シングルのレコーディングとリリースを経て、7月からレコーディングを開始しました。

-東日本大震災は日本だけでなく世界にも衝撃を与えた出来事ですからね。

大きく人生観が変わる出来事でした。自分は東日本大震災を挟んで制作されたこの作品を世に出すという過程に身を置いている状態なので、まだパーソナルな部分で3.11を振り返ることは出来ないですが、今後も大きく表現や姿勢に影響してくると思います。

-今回収録されている楽曲はいつ頃作られたものが多いのでしょうか。

大半の曲(Track.1, 3, 4, 6, 10)は5年前に書きました。残りは今作に向けて2年以内に書いた曲です。

-以前にも増して非常に感情表現が豊かなアルバムだと感じました。喜怒哀楽が洪水のように溢れ出して、尋常ではない気迫が込められていて。

そう言ってもらえると光栄です。でも曲作りをしていた期間のコンディションは最低だったし、活動が上手く行かなくて自暴自棄になっていました。当時“この状態から抜け出したい”と必死にもがいていた姿は楽曲にも表れていると思います。

-至近距離で心臓に直で音をぶつけられているような感覚でした。

“もう後がない。これが最後のアルバムになるかもしれない”と覚悟を決めて制作に挑んだので……その結果、何の迷いや邪念も無く今の心情をパッケージすることが出来たと思います。歌詞を書く作業は、毎回身を削りますね。何ヶ月も一人で“無”と向き合って、自分の内面に潜って行く。そこは真っ暗で誰もいなくて、空気の無い場所でもがいているような苦しさがあって……。

-生みの苦しみ、ですね。

そういったものは常に付きまといますね。音楽を作り続けている限り、それから解放されることは一生無いと思います。でも、作品が僕から離れて皆さんの手元に届くことの喜びや、作品への評価が得られれば問題は無いです。今作には僕の色々な感情や言いたいことが込められていますが、リスナーの方々なりの心象風景で楽しんでもらえれば。