Japanese
the HIATUS
2011年06月号掲載
Writer 道明 利友
the HIATUSは音楽やアート、表現者たちのプロジェクト――。
細美武士を中心としたこのバンドの歴史がスタートした当時、オフィシャル・サイトで彼らは、the HIATUSという存在をそんな所信表明的な言葉で言い表していた。あれから約2年が経った今、その姿勢はさらに太く強力な幹となって育っていると、今回の新作を聴いて実感させられた。ジャンル、スタイル、イメージなど余計なものにとらわれない、自由な“表現”を追い求めるthe HIATUS――。常に新たなものを開拓する“表現者”であろうとする彼らの姿勢を、ニューEP「Hatching Mayflies」はまさに物語るような作品だ。
その幕開けを飾るのは、「Bittersweet / Hatching Mayflies」。ギターのアルペジオとリズム・セクションが奏でる独特なテンポ感にいきなりハッとさせられ、かと思えば、そこへ重なっていくのは鍵盤の静かな音色と、細美の凛とした歌声……。声も含めた一音一音の厳かなリフレインに、楽曲の世界へ否応なしに引き込まれる。そしてサビでは、ノイジーなギターが強烈! シューゲイザーを思わせるノイジーなサウンドは衝動的に響き、かつ、細美のファルセット・ヴォイス、ギターとピアノの旋律は繊細に……。様々な音要素が交錯しながら、1曲の中で静と動が滑らかに展開するそのスタイルは、ひとつのジャンルに凝り固まっていたら絶対に生むことが出来ないはず。美しく、壮大で、一体感に満ち溢れたthe HIATUSの新たな“表現”の形は、今回もまた大いに刺激的だ。
そして、さらに続く2曲は「The Brainwasher」と「Snowflakes」。かたやダイナミックなサウンドが圧巻、かたや鍵盤をさらに前面に押し出して叙情的に……。オルタナ系轟音ロック・ナンバーと、KEANEを彷彿とさせるような鍵盤とロックの素晴らしき融合と、3曲が3曲ともそれぞれ異なる個性を今回の作品は光り輝かせている。
と、自由さに満ち溢れた今回の作風は現在のthe HIATUSの真骨頂を感じさせるとともに、どの曲でも変わらないものがある。それは、感動――。聴き手の胸を熱くする“Bitter sweet”な音色は、the HIATUSが表現し続けてきたものだ。彼の公式ブログでの報告によると、the HIATUSは現在アルバム用楽曲制作のまっただなかのよう。変革を恐れずに新たなものを開拓しながら、その芯に根付く、聴き手の心を熱くするエモーショナルさは不変の“表現者たち”が、さらなる作品でどんな世界を見せてくれるのか……。この「Hatching Mayflies」を聴けば聴くほど、今後への期待は高まる一方だ。
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