Japanese
2016年12月号掲載
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これまでに発表した楽曲のミュージック・ビデオはいずれも、擦れ違う男女の関係をドラマ仕立てにして描くという作風で届けてきた"女々しい系"ギター・ロック・バンド、イロムク。作詞作曲を手掛けるフロントマン 藤沼 健(Vo/Gt)の綴る歌詞は、ラヴ・ソングと呼ぶには生々しく、例えばクリープハイプを彷彿とさせるトゲトゲしさがある。2ndミニ・アルバムとなる『チラシみたいな』もまた誰かを狂おしいほどに想う偏愛が詰まった全6曲。"死ねないくせに死にたいとかいうのは あなたの気をひきたいの"。そんなふうに歌う「口癖」が痛い。タイトルの"チラシみたいな"が表すとおり、ともすると一瞥して捨てられるような些末な感情を拾い集めるイロムクの歌は、ときに凶器のような鋭さを持っている。(秦 理絵)