Japanese
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初めて聴いた時は、正直またかと思った。2回目には、何か引っかかった。3回目には、胸がざわついた。まんまと思うツボである。ザ・ビートモーターズという本気か冗談か分からない名前のこのバンド、音楽性としては、まさに王道と言えるロックンロールの系譜の上にいる。とても明快な音楽性なのだが、二人の物語のようで、自分のことしか歌っていないラヴ・ソングや、優しさの欠片もないのに優しい歌ばかりが並ぶこのアルバムを聴いていると、得体の知れないざわめきが湧き上がってくる。明確な疎外感と呆気に取られるほどの開き直りをこれでもかと言わんばかりの直球で投げつけてくるが、どういうわけか“これがロックンロールだ!”みたいな常套句だけで済ますこともできない。不思議な存在感を持ったバンドの登場だ。(佐々木 健治)