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Japanese
アコースティック・ギターのUKとMCのアフロ。ふたりによるふたつの音で紡ぐアンサンブルは、時にどんなバンドのサウンドよりも分厚く雄弁で、発明的な独自の形を進化させつつも、講談師の如く伝統芸能的な側面も見せる。昨年結成10周年を迎え、今や企業CM曲や公的機関のキャンペーン・ソング、映画主題歌にも採用される存在となったが、吐き出す言葉が緩むことも、忖度することもなく、赤裸々に鋭利に心から切り出して、まだ脈打つ熱さを持ったままの感情、言葉を手渡してくる。アフロ自身のパーソナルな視点、彼自身の歌であるが、その半径数十センチを極めるほどに、心揺さぶる歌となる。MOROHAの音楽が引っ張り出す自分の思わぬ気持ちに動揺することもあり、笑いが滲むこともあり、今作もまた厄介だ。
TVドラマ"宮本から君へ"エンディング曲に起用された「革命」で幕を開ける再録ベスト。そう、今年結成10周年を迎えたMOROHAのメジャー第1弾作は、ライヴで磨き抜かれた楽曲を真空パックした内容となった。孤独や敗北をガソリンに時に感情をぶちまけ、時に優しく囁くアフロの情熱的なMCは聴く者の心臓をギュッと掴んで離さない。それに寄り添うUKのアコースティック・ギターは繊細だったり、パーカッシヴにリズムを刻んだりと、表現も実に多彩。最小ユニットにして無限の可能性を秘めた音楽は、全12曲という楽曲に収まり切れないエモーションに溢れている。彼らは"どこにも居場所がない"と口にしていたけれど、全ジャンルを対手に格闘する真のリアル・ミュージックがここにある。身も心も震える。
音楽の本質は"伝承"である。音楽は伝承されることで、場所や時間を超えて存在してきた文化である。伝承させるのは"人"である。音楽は、その時代その場所にいる人々の想いを吸収し伝承される。故に、音楽とは人の、土地の、時代の"記憶"の集積である。......この、あら恋のDVD+CD作品に触れて、そんなことを考えた。DVDは、ツアーの模様を、演奏風景や土地の景色も含めて映した映像作品。音楽が旅先で人と出会い、想いを吸収し、また旅立つ、その様子が刻まれている。CDには、旅の果てに紡ぎ出された新たな4曲の記憶を収録。クガツハズカムと吉野寿も参加。何故、音楽は途切れることなく伝承されてきたのか。その答えは、映像に収められた人々の熱狂を観ればわかるだろう。果てなき音楽の歴史と未来を感じさせる作品。
爆音ダブ・サウンドが生み出す深みのなか、滲み出すピアニカやテルミンの美しい旋律。そのサウンドにみるような矛盾を包括し、どこか胸をざわつかせる音を放つ“あらかじめ決められた恋人たちへ”。劇画的な楽曲は、“寂”な抒情的空気を孕んでいる。『今日』というタイトルを冠した今作は、バンドマスターである池永正二というフィルターを介し、東日本大震災を通して見つめ直した日常への思いを刻む。不安、喪失感、無力さ――圧倒的な力のなか迎えた“時”との対峙を経てたどり着いたものは、美しい記憶や未来への多幸感だ。“今日”は、“前日”の積み重ねと“翌日”への希望から成り立つ。緊迫した状況下において、無限に続く“今日”という日々が持つ癒しを見出したのだ。
ライヴにお爺ちゃんお婆ちゃんが来てくれたらいいなと思ってる
『キオク』は、単に過去の記憶を掘り下げるだけではない。あら恋の未来をも予感させる作品にしたかった
2014.11.09 @東京キネマ倶楽部
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