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INTERVIEW

Japanese

MOROHA

2018年06月号掲載

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Member:アフロ(MC) UK(Gt)

Interviewer:荒金 良介

MCとアコースティック・ギター編成によるユニット、MOROHAが結成10年という大きな節目に再録ベスト・アルバム『MOROHA BEST~十年再録~』をリリース! 今作はメジャー第1弾作というのもあり、これまで届かなかった人や、届けたかった人に向けて、今のMOROHAの息吹をライヴ感そのままに密封した生々しい仕上がり具合だ。道なき道を突き進み、独自の表現手法に磨きをかけてきた彼らの生き様やライヴ活動がこの1枚に凝縮されていると言っても過言ではない。メンバーふたりにはこれまでの10年間を振り返ってもらいながら、今作に込めた想いを語ってもらった。

-今作は結成10年目の節目に出る再録ベスト盤という形になります。まずはMOROHAにとって、この10年はどんな期間でしたか?

アフロ:10年という月日に対しては、特に思うことはないっすね。曲自体がその時々の感情を物語ってるから。この再録ベストを聴くと、あのときはこういう感情だったなというのは蘇りますけど、どの曲も根底にあるものは"悔しい"や"大事な人は大事にしなきゃ"とか、そこは変わらないですね。

-自分の考えはブレてないと再認識して。

アフロ:あと、俺とUKも30歳ですからね。いい歳になったなと。メジャー・デビューが30歳というのはたぶん遅い気がするんですよ。よく手を出してきたなと思いますね。

-UKさんはいかがですか?

UK:10年ですよね......負けてきたなと瞬間瞬間で思うことはありましたけど、それで良かったなと。性格的に敗北感とか、傷ついたりすると、それをバネにできるタイプだから。それを人間的にも音楽的にも表現できるふたりなので、この10年で悔しさをたくさん経験したし、それがまた良かったと思います。

-悔しさをバネに前進できた実感がある?

UK:前進できたのかわからないけど......それが結果的に今回の再録ベストにも繋がってますからね。1stアルバム(2010年リリースの『MOROHA』)、2ndアルバム(2013年リリースの『MOROHA Ⅱ』)が売れなかったり、演奏面を含めて、自分が思い描いているところに行けなかったから。今回、ただ寄せ集めのベストではなく、レコーディングし直して、今の自分たちを聴いてもらえるのはすごくいいことだなと。

-MOROHAが10年続けてこれた原動力はなんですか?

アフロ:"俺たちはいったい、何者なんだろう?"って。それは10代のころに考えたりするじゃないですか。それをずっと引きずって、未だに考えてるってことですかね。

-自問自答の繰り返しみたいな?

アフロ:そうですね。シリアスな部分で言えばそうだし、ポップな感じで言うと金が欲しい、もっと言えば男だったらクルーザーの1台も買えないでどうする! みたいな。そこはUKと一緒じゃないかな。よくUKが"大物になりたい"と言うんですけど、それってまさに自分とはなんだろう? という答えじゃない答えだと思うんですよ。大物ってどういうことかわからないけど、漠然としたものに憧れてて。擬音でしか表せないような出来事を増やしたくて。

-擬音でしか表せないもの?

アフロ:ドーン! ワーッ! とか。

-ははは(笑)、漫画"ドラゴンボール"みたいな世界観ですか?

アフロ:そうっす! ライヴの感想もTwitterとかで(お客さんに)うまく書かれるようではダメだなと。

UK:原動力となると、自分に対する自信ですね。なんとかなるだろうって。負け続けても、それで自信が揺らぐことはないし、このままやり続けていれば大丈夫だろうと思うようにしてます。

-なるほど。今回の再録ベストは、あのころは表現しきれなかったものを今ならもっとうまく表現できると。何か忘れ物を取りに行く感覚みたいなものもありますか?

UK:個人的には昔は昔で100パーセントやっていたので、そういう感覚はなくて。成長した部分は絶対あると思うんですけど、当時もっと良くなると期待を込めては言っていたけど、そういう感覚はなくて。

アフロ:忘れ物があるとすれば、あのときに届けたかった人に届かなかったという部分ですね。それでメジャーという拡散力のあるパートナーと一緒に仕事をして、そのときに届けたかった人――あのときに出会えてたら良かったと思う人が増えてくれたらいいなと。なので、自分たちの活動を通して、日の目を浴びるところまで積み上げてこれたのは、それは不幸中の幸いだなと。

-今回の再録ベストは自分たちの意志で決めたものですか?

アフロ:再録も、ベストという形も自分たちで決めました。再録に関しては今の方がかっこいいぞ! って。それは周りに対してというより、自分に対してそういう気持ちがあったので、今改めて(昔の音源を)出すなら、こっちの方を聴いてもらいたいなと。

-新作を出すという選択肢もあったと思うんですが。

アフロ:1st(『MOROHA』)、2nd(『MOROHA Ⅱ』)、3rdアルバム(2016年リリースの『MOROHA Ⅲ』)で届けたい相手に届いていれば(再録ベストを)出すことはなかったかもしれないですね。

UK:メジャーでやることで、新しいリスナーに届く機会は増えますからね。再録という形で、今の自分たちを判断してほしいなと。それでダメだったら、俺のことは切ってくれても構わないし。