これまでにリリースしてきた6枚のアルバム、1枚のシングルから14曲を厳選。そのうち「ruby tube tail」、「sweep」、「suddenly」、「first class speed of light」は新録し、さらにPS4サバイバル・アクション・ゲーム"LET IT DIE"の挿入歌「let it die」をベスト・アルバム・バージョンとしてCD初収録。これで1,500円というのは破格だ。曲順はリリース時期と関係なく並んでいるので、まるでライヴで聴いているような感覚を味わえる。ioriのクールでキュートな歌声と、okujiのエモーショナルで男っぽい歌声が絡み合い、且つ様々なジャンルをフットワーク軽く取り入れた彼らの"代表曲"が続くので、とても濃い。総括でありながら、入り口にもなる1枚なので、これを機に多くの人に彼らと出会ってほしい。
スウェディッシュ・ポップとメタルという2枚看板を基軸にしながら、エモやオルタナティヴといったエッセンスを秀抜なイマジネーションでミックスするwinnieがドロップする3rdフル。彼らはメロディックからギター・ロックまで、幅広いシーンで大いに存在感を発揮しているが、そのスタンスがそのまま投影されたような仕上がり。先行シングルとして発表された「crush and burn」の爆発力、儚さすら感じさせる麗しいメロディ・ワークに心が翻弄される「lightning strikes」、男女ツイン・ヴォーカルのコントラストが素晴らしい「reasons never die」、壮大なスケールで聴き手を包み込む「always knocking on your door」等、多様な要素が際立ちながらもどこかに寄りかかることがなく、winnieならではのバランス感で彩られた全10曲。
イントロで思わず息を呑んだ。暴力的なのに哀しみが滲む、そのコントラストが作り出す刹那的な音色は、風穴を開けるが如く突き抜ける。USエモ、グランジ、HR/HMテイストを取り込んだ疾走感のあるサウンドに切ないメロが走るのは彼らの十八番でもあるが、約2年半ぶりの新曲「crash and burn」はioriとokujiのツイン・ヴォーカルによるハーモニーが、より楽曲の持つ繊細さを際立たせている。特にサビの消え入りそうなソフトな2人の歌声と厚みのあるオルタナ・サウンドが描く反響に身を投じると、優しく突き落とされるような妙な焦燥感に襲われた。c/wは表題曲とは逆ベクトルとも言える、スウェディッシュ・ポップ・テイストな楽曲。その振れ幅の大きさからも、8月にリリース予定のフル・アルバムの期待が高まる。