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Japanese
来春のツアーをもって堀込泰行の脱退が発表されたキリンジの、約2年2ヵ月ぶりの新作。今年はインディーズ・デビューから15年という節目の年だっただけに脱退の報は衝撃だったが、本作は、そんな衝撃的な知らせもどこ吹く風と言わんばかりの素晴らしい仕上がり。室内楽的なストリングスとバンドによる、繊細かつダイナミックなアンサンブル。清涼感のあるコーラス。時に差し込まれるファニーな電子音。メロディ・オリエンテッドなサウンドにあって、自在に曲の表情を変えてみせる多彩なリズム。すべての完成度が高く、ユーモアとメッセージ性を絶妙に交えた歌詞も秀逸。だが、最後を飾る「竜の子」の幻想的かつ雄大な響きは、別離する兄弟の今後を祈っているかのようで、美しくもあり、切なくもある。
爽やか、かつハイテンポにアルバムの幕を開ける「夏の光」から、なんていう気持ちよさ......(恍惚)。自身8作目のアルバムは、"キリンジ節" と言っても良いメロディの魅力を全面的に展開。かつ、キリンジ作品史上でも一、二を争いそうな音作りの多彩さにも注目だ。口笛、ギター、鍵盤のアンサンブルから、三拍子への一瞬の変化がリズムにアクセントをつけ......。さらに、エコーするスティールパンにハミングとバンド・サウンドが加わる7分45秒の大作、「セレーナのセレナーデ」。1曲の中にどれだけたくさんの要素を織り込むんだと、感心しきり(笑)。1曲だけでもこうなのだから、アルバム全体にもどれだけ多くの仕掛けが施されているかは言わずもがな。心地よくも奥深いキリンジ・ポップス、超充実の仕上がりです!
“何なんだこれは!?”みたいなものができることに、喜びとか重きを置いている
心優しきポップ・エイリアンの新たな境地
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