Japanese
BURGER NUDS
Skream! マガジン 2014年07月号掲載
2014.06.21 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 山口 智男
それは、それまでほとんどMCも挟まず、10曲ほど立てつづけに演奏してきた3人がようやく一息を入れた中盤のことだった。
"何か(言うことが)あるんじゃないの?"
門田匡陽(Vo/Gt)から声をかけられた丸山潤(Ba)が若干の逡巡の後、"こんにちは"と言うと、客席から"おかえりなさい!"と声がかかり、それに"あ、ただいま"と答えた内田武瑠(Dr)に対して、"まあ、そんなもんだね"と門田が皮肉っぽい調子で話をまとめる。そんなやりとりは明らかに、ぎこちなさを感じさせるものではあったけれど、そのぎこちなさからはこの日、10年ぶりにこの3人でステージで立つことに対して、見え隠れするさまざまな感情とともに彼らの今がリアルに感じられおもしろかった。
10年前のこの日、ラスト・ライヴを行ったBURGER NUDSが行った10年ぶりのライヴ。
終盤、門田が語ったところによると、門田はバンドが解散してから丸山とは、門田から再結成を持ちかけるまで一度も話したことはなかったという。因みに、解散後、もう一生会うことはないと思って、電話番号を消してしまったため、リユニオンの話はfacebookを通じて連絡したそうだ。
BUMP OF CHICKEN、Syrup 16g、ART-SCHOOLらとともに00年代前半の下北沢シーンで活動していたBURGER NUDSは、その後の活躍を期待されながら、門田と丸山の不和(門田曰く"当時1番仲の悪いバンドだった")が原因で2004年6月21日に解散。今年4月、復刻盤がリリースされるまで、彼らが残した作品はどれも入手困難だったにもかかわらず、10年ぶりとなるライヴはあっという間にチケットがソールド・アウトしてしまったというんだから、00年代前半のインディーズ・シーンにBURGER NUDSが残したインパクトの大きさが窺える。彼らの影響を口にするバンドも少なくない。
そんなBURGER NUDSの復活ライヴはニヒリスティックな「ミナソコ」で始まった。時折、客席から拍手や歓声が起こるものの、90年代オルタナのDNAを思わせる轟音ギターとともに底知れないメランコリーを持った曲を演奏するバンドを、満員の観客がじっと見守っている光景がとても印象的だった。緊張の糸がピーンと張り詰めた演奏にしても、終始、薄暗いステージの背後から強烈な光を放ち、バンドの姿を霞ませる照明にしても、ありきたりな一体感や安っぽい感傷を拒否するような厳粛さや冷徹さが感じられ、そんなバンドの態度はこの日、披露した「LESSON」と「NERD」という成熟とともに現在進行形のBURGER NUDSをアピールする新曲2曲とともに彼らが今回の復活をいかに真摯に考えているかを想像させたのだった。
爽やかな「冷たい水」から一転、感情の激しいアップ・ダウンを表現した「AM.4:00」の熱演はこの日のハイライトと言ってもいいかもしれない。そして"ダメだ。次で死ぬかもしれない。骨を拾ってください"と門田が丸山と内田に想いを託し、そこから一気にラストスパートをかけるように「鋼鉄の朝」他、バンドが持つさまざまな魅力を表現した曲の数々を一気にたたみかけていった。
そして、アンコール。現在、新曲を作っていることや何らかの形で、それを発表する気持ちがあることに加え、ライヴ活動も再開することを発表した彼らは、門田が19歳の時に書いたというBURGER NUDSの出発点となった「cold burn」を最後に演奏した。10年ぶりのライヴを締めくくる曲にそれを選んだのは、それがBURGER NUDSの第2章の始まりだという気持ちがあったからだろう。
今後の活動については、まだまだ手探りといううところもあるかもしれないが、10年ぶりにシーンに戻ってきて、"皆 同じ詩 唄ってやがる 気持ち悪い"(「LESSON」の一節)と歌う彼らがこれからどんな歌を歌うのか興味が尽きない。
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