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LIVE REPORT

Japanese

BAYCAMP

2011.09.10 @川崎市東扇島東公園

Writer 沖 さやこ

神奈川県川崎市にある東扇島東公園にて行われた都市型野外オール・ナイト・フェスBAYCAMP 2011に潜入!この日の川崎は晴天&厳しい残暑。まだまだ夏は終わらないといった勢いの日差しに、フェス気分がムンムン高まります。ちなみにこの東扇島東公園は川崎駅から車で30分ほどのところにある埋立地に存在し、勿論海が目の前。向こう岸には同じく埋立地の工業地帯。鉄塔からは火が吹き、貨物船の往来も激しく、空を見上げれば羽田空港の飛行機がビュンビュン飛んでいる……という、なかなか非現実的空間。
ステージはEAST ISLAND STAGEとPLANT STAGEの2箇所が隣接。海沿いにはDJブース。ちなみにステージには屋根がなく、幸い天気が良かったのでかなりの開放感。規模や敷地はさほど大きくなく、お客さんもユルユルと思い思いにのんびりしているご様子。開演は14:40だったのですが、筆者が会場に到着したのは17:00前。丁度OGRE YOU ASSHOLEの演奏中。オウガのスケール感は、音漏れだけでも圧巻でした。
夕暮れと共に登場したTHE BACK HORNは全員モノ・トーンのシックな衣装。ストイックでありつつもフロアを包み込むような優しさを感じさせる男気溢れるステージングに、ダイヴする人も出現。終盤にはステージの裏に月が浮かび、4人の命を削った音が狼の遠吠えのように高々と響き渡りました。“ここから先は夜になります”という石原正晴(Vo&Gt)の言葉と共に幕を開けた、SuiseiNoboAz。日常生活をドラマティックに彩るような楽曲が織り成す、退廃的な香りの中に輝くピュアネスが、煌びやかな工場のネオンとリンクしていきます。「王様と乞食」でしっとりと幕を開けたSHERBETS。じわりじわりとフロアが彼らの空気に染まってゆきます。悲しく切り裂くようなギター、美しさに恐怖すら感じさせるキーボード。4人が奏でる緊張感と激しさはどこまでも鋭く、そんな音の中にも埋もれないベンジーの歌にただただ圧倒されました。
SHERBETSが吹き込んだ冷気を、ゆったりと溶かしていくように軽やかなサウンドを鳴らしたのはOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。潮風と共に流れる心地良い空間に、フロアもリラックス・ムード。そしてお次は再結成中のPENPALS。人懐っこい軽快なメロディと、ゆるさを帯びたロマンティック。ひたすら熱くハッピーな空間が形成されていきます。音が鳴った途端に会場がディスコに大変身! PLANT STAGEにはregaが登場。心がワクワクでいっぱいになるようなテクニカルな変拍子。regaの手の中でマリオネットのように踊るフロア、これはひとつのイリュージョンと言っても良いでしょう。

音が洪水のように流れ出すthe HIATUS。ひたすらに透明な水が、心の中の靄を流してくれるような誠実なステージ。空に広がる闇すらも吹き飛ばして朝にしてしまいそうな強靭なパワーに満ち溢れた40分間でした。日付が変わり登場したのはDragon Ash。Kjが“PENPALSに捧げます”と言い演奏された「百合の咲く場所で」から「Fantasista」で大爆発! 場内後方までもが熱狂の渦に巻き込まれます。フロアとのコール&レスポンスもバッチリで、ジャパニーズ・ミクスチャー・ロック立役者の風格を見せ付けてくれました。深夜1時を回り、眠くなってくる人もちらほら。そんな眠気を吹っ飛ばすように“トイス!!”と甲高い声を上げたのは……そう、POLYSICS! 耳を劈くような電子音とVo&Gtハヤシのハイトーン・ヴォイスが炸裂。疲れも吹っ飛ばすような“夜のトイス(byハヤシ)”に場内もナチュラル・ハイ。そんなナチュラル・ハイを、鮮やかにトランス状態に仕立て上げたのは、あらかじめ決められた恋人たちへ。もうこれは異次元としか言いようが無い! 心地良さと狂気が入り乱れるダブでサイケな空間に心酔。ひたすら身を任せます。

夜も更け、空には星空が。都会でもこんなに星が見えるんですね。MCで“こんな夜中にライヴはもうやりたくない”と苦笑しながら語った木下理樹率いるART-SCHOOLは、夜の魔物を味方につけた、否、喰らうくらいの攻勢。眠気を吹っ飛ばすほどソリッドなステージを展開します。“こういう大きなイヴェントにはあんまり出ないんだけどな”なんて消極的なMCをしていたMONICA URANGLASS。その言葉とは裏腹に、挑発的なヘヴィなビートでフロアを揺らします。闇が薄くなり、夜明けと共に登場したのは大トリMO'SOME TONEBENDER。ベースの武井靖典が頭に電飾を付け、“祭”と書かれた巨大団扇を持って登場。爽やかな朝に全然似合わない!(笑) 目覚めには刺激が強すぎるくらいアグレッシヴなステージをカマし、夜明けの「未来は今」とラストに演奏された「GREEN & GOLD」は力強い希望に満ちた非常に晴れやかなステージでした。

29:30、すなわち朝の5:30にBAYCAMPは終了。トータル約15時間の夢を見ているようでした。これぞまさしく“都市型野外オール・ナイト・フェス”。15時間ノン・ストップだったDJブースもダイヴが起きたりと、ライヴ・アクトと遜色がないくらいの熱狂の渦でした。今年は第1回目の開催ですが、今後もっと素晴らしいイヴェントになること間違いなし。是が非でもまた来年、ドキドキとロックを発信希望!

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