Japanese
サカナクション
2010.08.08 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ
Writer 島根 希実
幕張メッセとサカナクション。相性抜群だろうとは思っていたがまさかここまでとは。メッセという巨大なハコを、異空間へと作り上げてしまった彼ら。夏の暑さどころか、四季すら忘れる、無機質な、作り込まれた世界は、まるで舞台でも見ているようだった。
和太鼓によるアンサンブルという意表を突くアレンジを施した「21.1」で幕開けし、そのまま「明日から」へ。そして「SUMMER SONIC一発目!サカナクション用意はいいかい!」という山口(Vo)の声をきっかけに、いよいよ本格開演だ。早くも客席からは手拍子が巻き起こる。赤のディープな照明と何層にも重なりあう電子音とが、オーディエンスの温度をますます上げていく。
重厚な照明と音による閉鎖感から一気に開放したのは「セントレイ」。眩しいイントロが流れた瞬間、フロアからは歓声が。先ほどとはうって変わって明るい照明が会場を照らし、会場は清涼感に包まれるも、続く「Klee」で今度は一気に激しくなっていく。このあたりから、音と光の演出はますます冴え渡り、まさに圧巻だった。
MCあけの「ネイティブダンサー」は心地良かった。粘液をはるように音をはりめぐらしていき、そのなめらかな肌触りの音に包まれると、現実感が薄れていくのだ。そして本日2度目の手拍子が響き渡る会場をレーザーライトが刺していく。まさに舞台のような完成度。計算し尽くされた世界に酔いしれた。
山口の「まくはりー!!」の声でプレイされたのは「アルクアラウンド」。やはり彼らの今一番盛り上がる曲はこれか。この日の彼らのステージ最大の盛り上がりタイムへ突入した。歓声とダンスで波うつフロアに拍車をかけたのは、新曲「アイデンティティ」。「セントレイ」以上の眩しさを持つ容量オーヴァーの電子音と、「アルクアラウンド」に負けないドラマ性のあるメロディが印象的だ。
ラストを「ナイトフィッシングイズグッド」で終われるなんて…。これ、最高なんです。最高のエンディングなんです。私的にはサカナクション史上最も美しきセンチメンタルを持った曲なのだが、この高貴な世界に浸りきっても、実際のところはこれで終わりじゃないじゃない?フェスはこれからなのですよ!
つまりですね、サカナクションがトップバッターなんて、豪華だが、もったいない!!
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