Overseas
ASH
2010.04.06 @代官山UNIT
Writer 佐々木 健治
A-Zシリーズの概要についてはもういいだろう。インタビューを読んでくださいね。そして、ASHについてなんてもっと説明がいらないだろう。何と言ったって、ASHだから。
付け加えておくとすれば、今回のツアーには、サポート・ギタリストとして、BLOC PARTYのRussell Lissackが参加して、久しぶりに4人編成となっているということくらいだろうか。そうASHは、もうロック・スターとして15年以上活動を続けているバンドなのだが、僕の前でライヴを繰り広げたASHは、驚くほどに若々しかった。まるで、新人バンドのようにフレッシュなエネルギーに満ちていて、笑ってしまうくらい楽しそうなのだ。
「Projects」でスタートしたライヴは、アンコールか後半かなと思っていた「Kamakura」を序盤に持ってきてオーディエンスを熱狂させ、続けて「Life Less Ordinary」。
これがまた何年もやっている曲のはずなのに、ドラムがつんのめり、Timをせかしているかのように前のめりなリズム隊。その前のめり方にはとてもポジティヴなエネルギーが充満していて、もうその様子がバンドの状態を顕著に表していて、観ているこちらが嬉しくなる。
この日のセットリストは、新曲も織り交ぜながらも、まさにベスト・オブ・ASHと言える内容。「Shining Light」「Kung Fu」や「Girl From Marz」などの名曲群でフロアを熱狂させ、「Orpheus」では、疾走感とダイナミズムに満ちたヘヴィネスを叩きつける。
「True Love 1980」をやらなかったのは、少し残念だったけれど、「Neon」のシンセとギターが絡み合う壮大なソング・ライティング、「Joy Kicks Darkness」の「Space Shot」のディスコティックな横ノリも、「Return Of White Rabbit」のポスト・パンク、ニューウェーヴ的な尖ったビートなど、アイデアを思いつくままに具現化したというような新鮮さを持つ楽曲群を大事そうに披露していく姿も、また何とも瑞々しい。
「True Love 1980」や「Tracers」をやらなかったのは、少し残念だったけれど、2時間弱で22曲という、少しでもたくさん演奏し、楽しんでもらおうという彼らのサービス精神が明確に現れていた。そりゃもう、文句なんてないですよ。
ライヴ中、常に満面の笑みを浮かべ、最後に“フジロックでまた会おう!”と去って行ったTim。
苗場では「A-Z」シリーズの楽曲群もまた「Burn Baby Burn」「Shining Light」「Kung Fu」などと並ぶ新たなアンセムとして、より力強く響き渡ることになるだろう。ASHの驚くほどの充実ぶりを堪能できた素晴らしい夜だった。
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