早くも4枚目のミニ・アルバム。川谷絵音のソングライターとしてのひとつのアウトプットでもあるDADARAY、今回は諦観、中毒性など恋愛における少し気怠げな異なるベクトルの曲を収録した印象だ。「刹那誰か」は比較的アップなジャズ・ファンク/レア・グルーヴで、生楽器で実験的なリフやフレーズを忍び込ませることで、ユニットの個性が光る。インディーR&B的な歌の符割りとビートを極力抑えた「singing i love you baby」、流れるようなピアノがまさに雨を想起させる「どうせなら雨が良かった」など、どの曲もアーバン・メロウなトレンドに限りなく近いようで、歌詞の切実さで刺してくる。1曲内容の毛色が違う「mother's piano」も含め、"本当は愛したい"という心情が核にある作品。
ゲスの極み乙女。の休日課長(Ba)、ヴォーカリストのREISとえつこから成る3人組が、結成からわずか1年足らずというスピードでメジャー・デビュー。性質の異なる女声の絡み、洗練されたアンサンブル、ナイフを潜ませる川谷絵音(ゲスの極み乙女。/indigo la End/Vo/Gt)のソングライティング。全13曲が映し出すのは、疲弊し、虚無を抱える線の細い女性像。それが"大人な雰囲気を感じさせる上質なポップスを軸とする音楽を表現したい"と結成されたこのDADARAYのターゲット層そのものだということは言うまでもないだろう。バンドというよりプロジェクト、という印象があるのはその緻密な構築美から戦略めいたものが読み取れるから。だからこそ次にどう出るかが気になるところ。