2015年発表の『A Head Full Of Dreams』を引っ提げ、世界各国で計122公演を行ったツアーから、2017年の東京ドーム公演を含む全14曲を収録したライヴ・アルバム。タイトルは日本のファンのためにリリースされた作品だからだが、ここには世界中のファンとバンドが育んできた愛が詰まっている。それを物語るのが全曲で聴こえるファンのシンガロングだ。バンドが煽っているわけでも、あからさまなシンガロング・パートがあるわけでもない。でも全曲で歌うんだから、それを愛と言わずしてなんと言う? バンドのアンサンブルはEDMやモダンなR&Bを昇華したものに変化したが、誰もが歌わずにいられない曲の良さという意味では、彼らの魅力はまさに不変。それが不動の人気の理由だ。
今年4月に開催された東京ドーム公演は完売。2000年以降、名実ともに最も成功したバンドとなったCOLDPLAYによる最新EPは、最近の実験的な試みを血肉化させた新曲のみを収録。初期の不穏な空気感も漂うTrack.1からはメンバー自身の人間的な成長を感じさせ、デトロイトのラッパー Big Seanを招いたTrack.2では爽やかな歌メロとスタイリッシュなフロウが絡み合い、トラック自体の自由度の高さを証明している。何より嬉しいのは、人気EDMデュオ THE CHAINSMOKERSとのコラボレート曲で、東京ドームでのライヴ音源を用いたTrack.4がオフィシャル作品としてパッケージされたことだろう。バンドというスタイルは維持しながらも。音楽性の解放を続ける彼らの深化に触れられる1枚。