"ライヴが多すぎてアルバムを作る余裕がなかった"というシンガロンパレードの初アルバムは、その言葉も頷ける、ライヴの光景が目に浮かぶものとなった。音を詰め込まずに隙間を効果的に使って歌を聴かせており、自分たちの3ピース・サウンドに自信を掴んだことが窺える。そんな自分たちを鼓舞するような「Have a nice day」も印象的だが、表題曲でみっちー(Vo/Gt)が叫んでいるとおり、"ラブシーンがもっと必要です"が今作のテーマ。とはいえ、カッコつけて好きな人を見守りたい想いと、素直な自分を曝け出したい思いとの葛藤が渦巻く甘くはないシーンばかり。それでも明るく力強く歌われる曲たちは、もがきながらも前を向こうとする人こそ"ファンタスティック"だという、3人からの賛歌なのだろう。
"SUMMER SONIC 2016"への出演も話題となったシンガロンパレードの"Soul Mate Record"から2作目のリリースとなる今作は、ノリの良い演奏とキャッチーなメロディが際立った7曲を収録。1曲目の「Babyカステラ」はバンドの特徴であるコーラスを存分に発揮、間奏の展開も最高に気持ちいいポップスで、この曲を聴くだけでも3人の個性が掴めるはず。「ステキな不摂生」では気合いの入ったギター・リフとラップ調のAメロ、ディスコ調のサビが耳を惹く。「親のセンス子知らず」のムード歌謡的なギャグ路線で思いっきり笑わせておいてからグッとくる「退屈を殺したら」を聴かせるところが心憎い。曲ごとに歌いたいテーマをしっかり持っているところが、バンドの個性を印象づけている理由のひとつではないだろうか。