歌モノのロック・バンドがブラック・ミュージックのグルーヴを獲得していった到達点は、もはや国内外とかジャンルを飛び越えたオリジナルだ。ソウル/ファンクだけでなくアメリカン・ロックのドライでスモーキーな質感もある「Go」で歌われることは、まさに今のバンドのスタンスを表す、ノー・ボーダーな内容。そのファットなムードを「I'll Be There」に繋げて、先の見えない現実をもタフに生きていけそうな手応えを残し、洒脱なギター・リフやジャズテイストのコード・ワークで、まさに"新しい自分"を体感させる「You make me feel brand new」、AORもリズム・アンド・ブルースも昇華した「Blur」、トランペットの温かな空気感とコーラスに心身ともに解放されるタイトル・チューンと続く。シンプルにFeelin' goodな快作。
セカイイチの音を聴いていると、心の中が幸せでいっぱいになって無性に泣きたくなる。凍えそうなときにホットココアを笑顔で差し出されるみたいに、じんわりあたたまってほっとする感じ。名盤『セカイイチ』から約2年、移籍後初のオリジナル・アルバム。新たな場所でスタートを切ったことも影響しているのだろうか、スマートでありながら非常に情熱的だ。岩崎 慧(Vo&Gt)のふんわりとした声と息遣いは、大きくて優しい包容力に溢れている。HIP HOPユニット・SUIKAのATOMとタカツキをフィーチャーしたラップ・チューン「Daylight」や、OASIS「Married With Children」のカヴァーなど、ジャンルに囚われないカラフルな音楽性。空を見上げながら聴きたい、希望に満ちた全14曲。