東京のクラブ・イベントで出会った6人のメンバーから構成される爆音ジャズ・バンド。自らを" DEATH JAZZ "と称し、独創性豊かな音楽性と抜群のポップ・センスで、従来敷居の高いイメージだったジャズという音楽を大衆レベルのポップ・フィールドに持ち込んだ。世界のロックフェス、ジャズフェスからクラブ・イベントまで、幅広いフィールドで活躍中。6枚目となる今作も、趣向を凝らした高度な演奏と、聴いているだけでメンバーの汗が自分にかかってくるかのような、パワフルなエネルギーが炸裂している。椎名林檎が参加した「My Foolish Heart~Crazy On Earth~」も、アルバムの中ではあくまで1アクセントとなっていることも逆に好印象だ。ジャズという言葉だけで敬遠するのは、勿体無過ぎ!!
一見ゆるふわって感じだけど、手に取ってみたら意外とズッシリ、みたいな。クラムボンの音楽にはいつもそんな感覚を受ける。原田郁子の幼児性帯びた容姿と歌声の強烈なイメージに起因したものだけど、個性ある3者3様の歩みが内包した、音楽的語彙の多様な刺激の重みなのだ。ジャズ、AOR、クラシック、エレクトロニカ、ヒップ・ホップと、触手赴くままに取り入れ、着地は万人を魅了する流麗なクラムボン節となる。ラジカルな前衛性とポップな大衆性の理想的な融合。オリジナル・アルバムとしては07年『Musical』以来実に3年ぶり、8枚目となる『2010』でもその衝撃は変わらない。ハイライトは数あれど、9分の大作「あかり from HERE」の深遠な世界は感動もの。ポップ・ミュージックの神髄、ここにあり。