昨年1stフル・アルバムを発表した、横浜 町田を拠点に活動するミクスチャー・ロック・バンド、Made in Me.。自由な発想と、異素材を掛け合わせた歪さをポップにエモーショナルに聴かせる5人の1stミニ・アルバムだ。今回はコンセプチュアルな世界観で、天気をモチーフに繊細な感情やドラマチックな心象風景を音にした。彦(Vo/Rap/Gt)によるアンセミックなメロディあり、ラップあり、詩情的なゆかり(Vo/Syn)の歌やリーディングあり、またサウンドもパンキッシュで音遊びに富んだものから、シューゲイザーとローファイなインディー・ロックが混じり合ったもの、余白で物語るものなど様々。めまぐるしい空模様のようで新鮮で、でもどこかペトリコールにも似た不思議と懐かしい気持ちに触れる作品だ。
横浜/町田発のバンド Made in Me.。ソングライティングを手掛け、歌や強力なラップでも表現する彦、詩的な語りから静寂を鮮やかに打ち破って瞬間的に聴く者の心を奪う声を持ったゆかり、HyperVideo2名義でビートメイカーやアレンジも手掛けるじゅんちゃい(Gt/Cho)、デザインなどヴィジュアル面も担うU sucg :):(Ba/Cho)、バンドの屋台骨でありRECエンジニアとしても音世界を広げるDAIKI(Dr)という5人の個性は、その音の中で自由気ままに跳ね回っている。日常と非日常を行き来するようなサウンドは、奇想天外でいてキャッチーさも忘れない。音楽への衝動や楽しむ心を思い出す、そんなバンドのスピリットが真ん中にあるミクスチャー・ロックは、アンセミックに響き渡る。
前シングル『ash.』から約1年ぶりのニュー・シングル。レーベルメイト、かわぐちじゅんた(じゅんちゃい/Made in Me./Cho/Gt/Syn)作曲によるエネルギッシュなバンド・サウンドは勢いがあって、キャッチーなメロディとポエトリー、ラップなどドラマチックに歌い紡がれていく構成は時にカオティックな心模様を覗かせつつも、これまでにも増して感情を露にした5人のヴォーカルは透徹した意志の強さを感じさせる。メランコリーを帯びた儚さ、美しさが繊細に表現されていたTOKYOてふてふ作品だったが、今回は現実世界に1歩踏み出て、能動的に歩んでいく確かさが声に、歌に乗っている。2021年1月にデビューし、コロナ禍を暗中模索で進んできた約2年。その軌跡と、先に見据える未来が繋がっていることを感じる1曲になっている。