東海地方で今、最も勢いがあると言われる名古屋の3ピース・ロック・バンド、BACK LIFTが結成10周年を迎える節目にメジャー・デビュー。リリース第1弾となるこのミニ・アルバムには、メロディック・パンクをベースにしたスピーディなロック・サウンドとポジティヴな歌詞を、バンドの背骨としている彼らが持つ幅広い魅力をアピールする5曲が収録されている。ストレートな高速のメロコア・ナンバー「Don't worry be alright」(Track.2)から一転、変化球のスカ・パンク・ナンバー「Bitter」(Track.3)、ヘヴィなスカコア・ナンバー「You're A Fool」(Track.4)では90'sのミクスチャーの影響が窺える。その2曲で聴かせる、うねるような演奏も聴きどころ。原点回帰と新たな挑戦の両方を同時に楽しめる充実の1枚だ。(山口 智男)
10年にわたって丹念に磨き上げてきた、強靭で、エネルギッシュな歌とサウンドを引っ提げて、このミニ・アルバム『BLANKS』でメジャー・デビューを果たす、名古屋発の3ピース BACK LIFT。収録曲5曲は、いずれも抜群にキャッチーだ。陽性のメロディ、高揚感のあるコーラスやシンガロング、ソリッドなアンサンブルで90'sメロコアや、哀愁感のあるスカやレゲエ調のエッセンスなども織り交ぜた疾走感のあるサウンドを奏で、どこから切ってもフレンドリーな曲に仕上がっている。エッジーなギターのカッティングを聴くだけで気分が上がったり、スピーディな2ビートに鼓舞されたり、メロディアスな歌になぐさめられたり。大げさなものではないけれど、いつでもポケットに忍ばせておきたいビタミン剤的な作品だ。
ノイジーなギターでエンジンを吹かし、止まっていたときを動かしていくような物語の始まりを感じる「RPG」で始まるEP。哀愁混じりで徐々に高揚感に満ちていく男女ヴォーカルのハーモニーはフォゲミらしく、続く「Free will」の、パワフルなメロディック・サウンドと螺旋状に登っていくメロディの開放感も、これぞフォゲミだ。泣きのある歌心やメロディック・ファンの琴線に触れつつ、「Cat and myself」では新たなタッチで楽しませてくれる。ノスタルジックなポップスの香りを漂わせる心地よいテンポ感のギター・サウンドに、エアリーな男女ヴォーカルが物語的に掛け合っている。アンニュイなメロディ・ラインが新鮮だ。3人が今やりたい曲を持ち寄った自由な空気が駆け抜ける、その爽快な風が気持ちいい。
スピーディなビートと上昇感のあるメロディが爽快な「Sail」で始まり、紅一点・高橋智恵がメイン・ヴォーカルの「Music is my life」ではFOUR GET ME A NOTSのポップ・サイドを色濃く打ち出し、続く「Set you free」はこの3人の真骨頂たる泣きのメロディでシンガロングさせる。今回はいずれの曲もこれまで以上にブライトに、曲のチャーム・ポイントを磨き上げている。今後ライヴ定番曲として長く愛されるだろう曲が、1ダース収録された。ベスト盤以降初のオリジナル作だが、これもまた現在進行形のベスト、と言える内容だ。力の入ったアルバムだが、それぞれの曲は程よく肩の力が抜けているのもいい。グッド・メロディがどんどん湧き上がってくる興奮と、アイディアを試す開放感とが絶妙なバランスを保っている。バンドをますます楽しんでいる今が見える1枚。
男女ツイン・ヴォーカルのスリー・ピース・バンドFOUR GET ME A NOTSの約1年半ぶりとなる3rdアルバム。彼らの持ち味といえる疾走感溢れるグッド・メロディと、このバンドの専売特許である石坪 泰知(Vo/Ba)と高橋 智恵(Vo/Gt)による男女ツイン・ヴォーカルの掛け合いは今作も健在。彼らの楽曲、演奏スタイルから対バンなどは現状パンクに寄っているが、彼らの持つポップ・センスは決して狭いジャンルに留まらず今作でもっと多くのロック・リスナーに受け入れられるだろう。全曲シングル・カットができるほど自己主張が強い楽曲が並ぶが、硬いアルペジオから一気にはじけるミドル・チューンのTrack.7「Cosmos」は彼らの新しい光を感じさせるキラー・チューンだ。