Japanese
cadode
2024年04月号掲載
Member:eba(Music Producer)
Interviewer:山口 哲生
誰かの生きづらさを熱量に変えるための音楽ユニット cadode。ヴォーカリストのkoshi、音楽プロデューサーのeba、ゼネラル・マネージャーの谷原 亮の3人という異色の編成で、2017年に活動をスタートさせたこのユニットは、自らを"廃墟系ポップユニット"と名乗り、叙情性に富んだ歌詞と、美しくもメランコリックなアンビエント・サウンドでリスナーの支持を集めている。Skream!初登場となる今回は、cadodeの全楽曲を手掛けているコンポーザー ebaが登場。アニメの劇伴や、LiSAをはじめとした様々なアーティストの楽曲を手掛けるなど、作家としても活動している彼のバイオグラフィや、クリエイター・チーム"カモレの夏"とのコラボレーション作品『カモレの夏 EP』を軸に、彼らが紡ぎ出す音楽について、じっくりと話を訊いた。
-ebaさんが音楽を好きになったきっかけというと?
中学校のときに、友達に聴かせてもらったIRON MAIDENですね。1stアルバム(『Iron Maiden』)の1曲目の「Prowler」を聴いたときに、今までまったく聴いたことがない音楽だったから、結構衝撃的で。
-それまではあまり音楽は聴いてなかったんですか?
当時流行っていたJ-POPは聴いていました。それも、聴いていたというよりは、流れていたものが聴こえていたぐらいの感覚でした。あと、小学校のときに、友達に誘われてダンスをちょっとやってたんですけど、それも音楽がどうこうというよりも、身体を動かすのが好きで、みたいな感じだったので。
-ダンスもやられていたんですね。
もう本当に趣味レベルですけどね(苦笑)。地元のホールで催し物があったら出たりとかはしてましたけど、真似事をしていただけというか。そういう感じだったんですけど、IRON MAIDENを聴いてから、音楽を好きになったかなっていう記憶があります。
-それで自分も楽器をやろうと。
よくある感じだったんですけど、IRON MAIDENを勧めてくれた友達に、バンドやろうぜみたいなことを言われて。親がギターを弾いていたので、楽器が家にいっぱいあったんですけど、弦が少なくて簡単にできそうっていう理由で、最初はベースを始めたんですよ。ただ、メタルのベースというのもあってか、あまり面白く感じなくてギターに転向しました。だから、楽器をやるにしても、家にあったっていうのはデカかったかもしれないです。中学生で楽器とか高くて買えないじゃないですか。
-たしかに。そこからはメタルにどっぷりと。
これもよくあることではあるんですけど、メタル以外は絶対聴かないっていう、頑固な感じでしたね、その当時は。で、METALLICAとか王道を最初は聴いてたんですけど、途中でヴァイキング・メタルとか、もっとマニアックなほうに行きました。
-ヴァイキング・メタルの特にどういう部分が好きだったんですか?
僕はゲームとかアニメも好きで、結構オタクだったんですけど、ヴァイキング・メタルって"オタクホイホイ"というか。"神々の紋章"とか"ヘイムダールの雄叫び"(EQUILIBRIUM)みたいな、ゲームっぽい感じのタイトルがずらっと並んでいて、"何これ!?"と思って。実際に聴いてみたら、メタルなんだけど笛が入っていたり、民族音楽っぽいアプローチがあったりして。ファンタジーっぽい感じもあるし、そこがオタク心にすごく刺さりました。
-ただ、そのあたりの音楽は、今cadodeで作られている音楽とはかなり毛色が違いますよね。
そうですね。cadodeは基本的にギター歪んでないんで(笑)。
-(笑)そういった歪んでいないギターとか、打ち込みが主体の音楽はいつ頃からハマりだしたんです?
もともとバンドっぽい音楽が得意だったので、そういう曲を作っていたんですけど、cadodeに関しては、それと同じ音楽をやっても面白くないなと思って。なんなら苦手なことをやってみよう、自分のところに発注が来ないような音楽を作ろうと思ったんですよ。だから、得意とかハマったという感じではなくて。
-むしろ挑戦だったと。
そうです、新しいことをやってみたかったので。
-先ほど、ゲームやアニメも好きだったとのことでしたが、どんなゲームが好きでした?
"FF7"(FINAL FANTASY VII)ですね。あまり裕福な家じゃなかったから、発売当初はPlayStationを買ってもらえなかったんですよ。で、友達の家に行ったときに、その子の兄貴がやっているのをずっと観ていたんですけど、いつか絶対に自分でやりたいと思って。PlayStationを買ってもらってからは、もう本当にずっとやってました。攻略本も全部読んで、みたいな(笑)。ちょっとダーク・ファンタジーというか、且つ人間味もすごくあったので、めちゃくちゃハマりましたね。
-アニメに関しては何が好きでした?
もともとライトノベルが好きだったので、当時だと"フルメタル・パニック!"とか"キノの旅"とか、ライトノベル系のアニメ化されたものだったり、あとは"プラネテス"とか好きで観ていました。地元(富山)が田舎でテレビでやってなかったので、ゲオとかで借りたりしていて。大人になってからはAT-Xに契約して、アンテナつけて観てました。
-アニメの存在は大きかったと。
デカかったですね。高校を卒業したあとに工場で働いてたんですけど、その生活が大変だったのもあったりして。その現実逃避じゃないけど、アニメを観ているときはその世界にどっぷり浸かれるんで、それが良くて。朝起きて、アニメ観ながらご飯食べて、仕事に行く直前までアニメ観て、帰ってきたらまたアニメ観て、みたいな生活でした。
-そのときに支えてもらったアニメってなんでした?
それこそ"フルメタル・パニック!"とかですね。あとは、最近はあまり観ていないんですけど、かわいいキャラクターが出てくるだけのアニメだったり日常系のアニメだったりを延々と観てました。あと、今(敏)監督が大好きなので、"パプリカ"や"妄想代理人" みたいなアニメに対する執念というか、熱量が伝わってくるような作品だったり、ちょっと考えさせられる感じのものはすごく好きでよく観てました。
-作家のお仕事を始めたきっかけもアニメだったんですよね。"けいおん!"が好きで、という。
"けいおん!"の曲を作っている方(川口 進)が、富山に住んでいらっしゃって。ホームページに電話番号が書いてあったので、電話をかけたんですけど、学びたいみたいな感じじゃなくて、同じ富山県に"けいおん!"の音楽を作っている人がいることが嬉しいっていうことを、ファンとして伝えたかったんですよ(笑)。
-(笑)その気持ちちょっとわかります。
それで話しているうちに、僕も実は曲を作っていてという話をしたら、"じゃあ聴かせてよ"と言ってくれて。デモを持って行ったら"いいね"と言ってくれて、今の事務所(F.M.F)の社長に送ってくれて......というのがきっかけでした。
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