Japanese
Uniolla
2023年07月号掲載
Member:KUMI(Vo) 深沼 元昭(Gt)
Interviewer:石角 友香
タイトル曲では新しい日常感や運良く繰り返されてる自分たちの生き様を、Uniollaの歌を通して表現したかった、それが一番強く出ている
-KUMIさんはこれをどういうリズムっていうか、どう受け取って歌われました? 取りようによってはスパニッシュみたいにも聴こえますが。
KUMI:そうね。スパニッシュとダンス・ミュージックの融合的なイメージですね。
-バンド・サウンドであることもそうだし、KUMIさんのヴォーカルが乗ったとき、さらに新しい感じがしました。
深沼:僕らは基本的に音楽ファンでもあるんでいろんな音楽も普段聴くんですけど、単純にKUMIはラジオやってたり、僕はアレンジ仕事で参考曲で送られてきたり、そういう意味でも幅が広がったりとか、楽しみ以外でそうやって聴いていくこととかもすごく多いと思うんですよ。で娘がいるので、そうこうしてる間に自分の思いも寄らない場所からいろんな曲を聴いたりとかするんですよね。しかも1曲を何十回とか聴かされたりするわけです。そういう中から受ける影響はどうしても、もう暴力的なまでに入ってくるので。「ララ」のリズムも実は子供向けの曲からも影響を受けたんです。
KUMI:そうかもね。この曲はシンプルに見えて、実は作り手はいろんなことを詰め込んでいたりするから。
-なるほど。一転して次の「容赦なく美しい朝」はスケール感のある曲です。
深沼:日本語の歌詞を日本語らしく、ベタッとはめた曲っていうものをもともとUniollaの中で柱のひとつとしてやりたいと思っていたし、それにすごくKUMIが共鳴してくれたところがあったので。
KUMI:Uniollaでの楽しみというか、私は歌い手として日本語をきれいに歌えることが実現していていいなぁと思っていて。深沼君が書く日本語の詞が良くて。いわゆる歌謡曲と呼ばれるものも私の中にもあって、かたやサウンドはサイケ・ロックのような世界でもあり、そのふたつが融合した美しさが、独特な世界観を持つ曲だなぁと。
深沼:そこで歌い手がそういうサウンドの波の中でなんとかギリギリ立ちながら、イノセントに歌うというか、そういう雰囲気がすごくよく出てるなと思うし。あとやっぱりKUMIのそういうルーツっていうのは確実に歌の中に出てるなぁと。子供の頃聴いてた感じとかが未だに残ってるんだなと思う。
-そしてアルバム・タイトル曲に至るこの流れは、アルバムの中でも大きな意味を感じますね。
深沼:そうですね。僕の場合、東日本の震災は実家が近かったりとかして、自分の友達とかも多く被災したということもあったんですけど。それだけじゃなくて、そのあとコロナ禍があったりとか。みんな自分との距離感はいろいろだと思うんですけど、いわゆる日常というものに対する考え方、それまでは退屈なものであったり、繰り返されることを前提に考えていて当たり前だと思ってたっていうか、それが形を変えたと思うんですよね。繰り返されてることってなんて運が良かったんだ、素晴らしかったんだ、美しかったんだというか。そういったなかでの新しい日常感や今運良く繰り返されてる自分たちの生き様を、Uniollaの歌を通して表現したかったっていうところが一番強く出てると思います。もちろん、今回の歌詞なんかは全曲そうだと思うんですけど、特に強かったのが「Love me tender」かなと考えてて。そしたらKUMIが"アルバム・タイトルもこれでいいんじゃないか"って。ド直球で"Love me tender"がいいんじゃないのかなっていう提案がありました。
-KUMIさんがそう直感した理由はありますか?
KUMI:やっぱりこのアルバムにテーマがあるとしたら、"日常"かなって思うんだよね。すごいきれいな瞬間も悲しい瞬間も全部あるところかな。この当たり前のもの、目の前にあるものになかなか気づかないで、そうじゃないものばっかり求めた主人公が、この手の中に全部あったんじゃないか? 自分の中に全部あったんじゃないか? っていう気づき。それに気づいたら今日1日をただ生きるだけでいいんだっていうような、そういうことを発見して、日常の真ん中に立ったっていうのがこの2ndアルバムなのかなと思います。
深沼:そうね。
KUMI:この曲はこのアルバムの中ではまさに象徴的な曲で、そういうことをそのまま歌っている。"Love me tender"っていうセリフって使い古されてて、なんの新鮮味もないんだけど、やっぱり愛でしょ! っていうところで、私の中でまた輝きを持ったんだよね。だから今こそいいんじゃないかって思いました。
-今を生きている人に対しての、嘘偽りのない励ましっていう感じの曲が多いなと思いました。
深沼:うん。自分が今まで書いてきた歌詞の中でもすごくそういうとこがあるし、漠然とそういったものは感じたんだけども、Uniollaというバンドとその歌い手を通して一番良く表現できたなと思ってる。自分が思い描きたかったこと、いろんな枝葉に分かれたストーリーの核としての部分というか、結局ここから始まってるっていうところが。だからすごい困ってます、このあとどうするのか(笑)。そのぐらい書き切れたというところがあります。
-でもそれは先延ばしにできないですもんね。
深沼:その通りです。先伸ばしにできなかったことだと思います。
-このアルバムが出てからのツアー([Uniolla Tour 2023 "Love me tender"])は1回目とは心構えが違いますか?
深沼:KUMIが3月のライヴでようやくバンドとしての雰囲気もできてって言ってたんだけど、それはお客さんも含めてだと思う。その3月のライヴの映像を今でもつい観ちゃうんですけど、"こんな雰囲気になるんだ?"っていうようないい雰囲気ができあがってて、みんないい意味で勝手というか、自分の好きな曲とかみんなバラバラでなんの約束もなくて、"あ、俺これ好き"みたいな感じで勝手に盛り上がったりとか、こういうふうになるんだなと思って、すごくそれが好きで。そのまま大きくしていけたら最高だなと思ってるし、あとはバンドとしては初めて全曲ちゃんとリリースした形でオリジナル曲が揃って良かったなぁって。ようやくこれで大手を振って、みんな聴いたことがある曲だけでライヴができるぞっていう(笑)、そういう楽しみがありますね。
-そうですよね。フル・セットには十分な曲が揃いました。
深沼:あとは、KUMIは基本的にLOVE PSYCHEDELICOよりUniollaのほうがすごく忙しいので。エフェクターとかも歌いながら自分で踏むし。
KUMI:Uniollaではエレキ・ギターを弾くことが多いからね(笑)。
深沼:ある程度予想はつくんだけども、いざメンバーが集まって音出すと必ず予想以上のことが起こるというか、やっぱ人なんだなっていうか、自分がその中の一員になったときに自分の気持ち的にも予想外のことが起こるし。バンドってやっぱ人だなって、長くやっててもつくづく思うし、だから飽きないんだろうと思いますね。
TOUR INFORMATION
[Uniolla Tour 2023 "Love me tender"]
7月25日(火)大阪 Music Club JANUS
7月26日(水)愛知 新栄シャングリラ
8月1日(火)東京 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
[チケット]
■一般発売中
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