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INTERVIEW

Japanese

かりんちょ落書き

 

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前身の4人組ロック・バンド AGUの無期限活動休止を受け、2020年よりソロ活動を開始したシンガー・ソングライター かりんちょ落書きが、これまでにリリースした楽曲をまとめ、新曲も加えた全11曲収録の1stフル・アルバム『レストラン』をリリース。これまでの想いを詰め込んだという本作には、熱量をそのままに閉じ込めた青春ロックから、柔らかくノスタルジックなムードを醸すミドル・チューン、軽快且つキャッチーなポップスまでを自由に奏でながら、伝えたい言葉をまっすぐに乗せた楽曲が並ぶ。"自由形ロックンポップス"を掲げ、自由を追い求める"かりんちょ落書き"とはどんなアーティストなのか、メール・インタビューで掘り下げる。


"伝えたい"が芯にあるので、言葉を捻ろうとか思ってなくて、熱量をそのまま伝えるってことを一番意識してます


-これまでに発表されてきた8曲を含む全11曲が収録され、かりんちょ落書きさんの軌跡を辿るようなラインナップとなった初のフル・アルバム『レストラン』をリリースする今の気持ちをお聞かせください。

このアルバムって自分中では1個の区切りだと思っていて、自分のこれまでの想いを詰め込んで、新しく次のいろんなチャレンジをしていこうと思っているので、そういった意味で、こうやって今までの作品をひとつにまとめられたのは、ステップアップに繋がるような嬉しさがあります。

-2020年頃からソロでの活動を始められたとのことですが、当初からよくお名前を拝見しておりました。そのポップな響きとひと目見ただけで覚えられるインパクトがずっと頭に残っていたのですが、"かりんちょ落書き"というユニークなアーティスト名になった経緯を教えてください。

"落書き"の部分は落書きって自由の象徴なので、そういう意味を込めました。俺の思い描いた通りに音楽が作れないっていうのが一番嫌だし、より自由に音楽を作っていけるようにっていう想いを込めました。方向性とかパッケージに縛られず、とにかく"自由だな"って思いたい。そんな感じです。あと"かりんちょ"の部分は、本名が仮屋(かりや)で、"あいみょん"みたいな名前にしたくて付けました。

-ソロでの活動を始められる前は"AGU"というバンドをやられていたそうですが、バンドという形式ではなくシンガー・ソングライターとして活動することへのこだわりなどはありますか?

より自由であれるっていうのが一番ですね。あと、これはやってみて気づいたんですけど、いろんな人と組める。"この人に弾いてもらいたい"、"この人に叩いてもらいたい"が、その時々でできたりするのはめっちゃ面白いです。バンドだとメンバー自由自在に変えるとかできないですからね。

-ロックの疾走感とポップの明るさが聴く人を元気づける、清涼感に満ちたサウンドが印象的です。独自のジャンルとして掲げられている"自由形ロックンポップス"について詳しくお聞かせください。

一番かっこいいと思ったサウンドはやっぱりロックになるんですよね。ただポップでみんなの耳に残るメロディに乗せたい気持ちは大いにあって、"ロックンポップス"。ロックでありながらポップに、鋭くも優しくありたい。自由形っていうのはそのまんま自由でありたいって気持ちが乗っかりすぎちゃいましたね(笑)。

-青春ロックの衝動のような勢いもありながら、柔らかくノスタルジックなムードや繊細で美しいメロディからは、くるりやスピッツを彷彿させる温かさを感じます。また歌い回しからは甲本ヒロト(THE BLUE HEARTS/THE HIGH-LOWS/ザ・クロマニヨンズ)さん、宮本浩次(エレファントカシマシ)さんといったロック・シンガーの雰囲気も感じますが、ルーツとなるアーティスト、よく聴いていた音楽などについて教えてください。

俺の音楽の入り口は、親がよく聴いていたスピッツだとか尾崎 豊だとか、GOING UNDER GROUNDだったり。なんとなく影響は受けてるでしょうね。音楽を始めよう! って思ったきっかけになった時期に聴いていた、クロマニヨンズ(ザ・クロマニヨンズ)、奥田民生、エレカシ(エレファントカシマシ)、ウルフルズなんかに度肝を抜かれて、そのときの暴れたい衝動みたいなものにガチっとハマって、自分のロックの道が始まったんですよね。

-続いては作詞についておうかがいします。同じフレーズを繰り返すサビなどすっきりとしたわかりやすさの中にある言葉のインパクトが特徴的で、ここにも"ザ・クロマニヨンズっぽさ"を感じますが、作詞する際に意識されていることなどはありますか?

俺の口から到底出ないような言葉は選ばないように、俺の感情がちゃんと乗るように、書いてます。"伝えたい"が芯にあるので、言葉を捻ろうとか思ってなくて、熱量をそのまま伝えるってことを一番意識してます。

-楽曲の纏ったノスタルジックな雰囲気はジャケット写真からも感じられます。切り貼りされたこれらの写真は、幼少期から今までのご自身のお写真でしょうか? 真ん中のたまごパック? のようなイラストも気になるところですが、このジャケットに込められた思いなどがあればお聞かせください。

自分の写真です。今現在までの自分を詰め込んだってことです。たまごっていうのは、"自分から生まれてきたものだよ"っていう意味合いですね。淡い感じの雰囲気のジャケットが多いのは、俺っぽいな~と思って好きだから自然にそうなってます。

-今回のアルバム・タイトル"レストラン"は、初の自主企画イベントのタイトルにも起用されていました。何か特別な思い入れなどがあるのでしょうか?

昔、ラーメン屋でバイトをしていたときに常連客の男性と話していたんですけど、男性が急に聞いてきたんです。"君は「レストラン」って言葉の意味を知ってる?"って。知らないって返したら解説してくれて、長くてよく覚えてないんですけど、要するに語源を辿るとrestore(回復)とかrestart(再出発)と同じ語源だよって。それがなんかビビッときたんですよ。バンドからひとりになったタイミングだったのもあって、大事なときにこの言葉を使いたい! って思ったんですよね。今回は処女アルバムなので、ここから再出発だ! って意味を込めて"レストラン"を使わせていただきました。

-本作にも収録されている1stシングル表題曲「少年」は、YouTubeで3万回以上再生されている代表曲です。"ペンを持て 一冊のノートを持て"、"退屈を創造で 埋め尽くせ"とご自身の名前にもある"落書き"をイメージさせる言葉が並ぶ、まさに名刺代わりの1曲とも取れますが、この曲を制作されたときの気持ちをお聞かせください。

若者に向けて歌おうと思って、自分が音楽というものを意識し出した年頃の気持ち、10代の中高生に向けて歌おうと。自分が10代のときに感じてた想いは今の10代の子もきっと感じているだろうし、そういう人たちに諦めてほしくない、そのまま突っ走っていこうぜって背中を押せるような曲にしたかった。何かを捨ててしまう前にね。