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INTERVIEW

Overseas

JOAN

 

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Member:Alan Thomas(Vo/Gt/Key) Steven Rutherford(Dr/Vo)

Interviewer:菅谷 透

USアーカンソー出身のオルタナティヴ・ポップ・デュオ JOANが、1stアルバム『Superglue』を完成させた。2017年頃より活動を開始したJOANは、どこか懐かしさを感じさせる甘く切ない楽曲で世代を問わず共感を生み、本国のみならずアジア圏でも話題を集めている。そんな彼らの初となるアルバムは、親しみやすいソフトなメロディという持ち味はそのままに、メンバーそれぞれが父親になった経験を反映した、進化と成熟も垣間見える作品になっている。Skream!では、彼らが初来日公演を開催した2022年11月にインタビューを実施。彼らの楽曲の題材にもなった日本の印象や、アルバムについて話を訊いた。


僕たちはどんな人でも繋がれる、親しめるような音楽ということだけを意識して今まで活動してきたんだ


-今回が初めての来日になったかと思いますが、日本の印象をうかがえますか?

Alan:本当に素晴らしい国だね。僕たちは昔から東京を旅してみたいと思っていて、"Tokyo"(2018年リリースのEP『Portra』収録)という曲まで書いているくらいなんだ。前に飛行機の乗り継ぎで一度空港には来たことがあったけど、そのときは街なんて全然観られなかった。だから今回は着いた瞬間に興奮したし、本当に嬉しいよ。

Steven:昨日Alanと一緒に道を歩いてたんだけど、Alanが言ったように胸がドキドキするというか、本当にハッピーで温かい感じがしたんだ。この街からエネルギーを感じて、すごく楽しんでいるよ。

-先ほどおっしゃった通りJOANは"Tokyo"という曲をリリースしていますが、その曲でイメージしていた"Tokyo"と実際の"Tokyo"で何か違いなどを感じましたか?

Alan:どんどんイメージが良くなったね。

Steven:"Tokyo"は神秘的な、未知の場所みたいなものだったんだ。友達もいないし、知っている人でそこへ行ったという人もいない。ただ写真や動画で見たことがあっただけなんだけど、その文化に興味があって、いつもそこへ行きたいと思っていた遠くの場所だった。ここに来たらリアルなものとして感じられて、素晴らしい体験をしているよ。

-どこか知らない遠くの場所として"Tokyo"をイメージしていたんでしょうか?

Alan:そうだね。誰かにひと目惚れをして、どこか遠くに一緒に逃げるっていうイメージで曲を書いたんだ。まず僕がメロディとアイディアを思いついて、それをStevenに送った。そうしたらStevenが"Tokyo"という歌詞をつけて送り返してきて、それがすごくしっくりきたから、そのまま"Tokyo"という曲にしたんだ。

Steven:僕たちのイメージでは、日本というのは世界の裏側なんだ。本当に遠い場所だよね。だからここから逃げ出して、どこかできるだけ遠くの場所に行こうという、それが"Tokyo"だったんだ。

-明日は東京で初のショーを開催しますが、どのようなライヴにしようと考えていますか?

Alan:最高のショーにしたいと思っているよ。ステージに対しては経験があるし自信もあるんだけど、面白いのがアメリカでショーをやるにしても、エネルギーが街によって全然違うんだよね。すごくラウドなショーもあれば、クレイジーになることもあるし、すごく静かなショーもある。でも今回は新しい街であり新しい文化だから、全然想像がつかないよ。だから、とりあえずやるしかないね(笑)。

Steven:初めて人と会うときと同じ感じだと思うんだ。会ったことのない人がどんな人か、どういうふうになるかなんてわからないから、今は緊張しているけど楽しみでもある。新しい友達に会うことを楽しみにしているよ。

-ここからは、バンドのバイオグラフィについてうかがっていければと思います。おふたりが知り合ったきっかけや、JOANを結成した経緯を教えていただけますか?

Steven:僕たちは同じ大学に通ってたんだ。通ってた時期は少し違うけどね。お互いのことは知らなくて、それぞれ違うバンドで演奏していたんだ。在学中も、大学を卒業してからも違うバンドでプレイしてたんだけど、そのバンド同士がたまに一緒にショーをやっていた。それで共通の友達ができたり、一緒に話す機会があったりして、僕たちは友達になったんだ。僕が大学を卒業したときにはAlanはもう卒業して音楽活動をしていて、僕も音楽活動がしたかったから、試しに一緒に曲を書いてみることにした。そうして初めて曲を書いたときに「Take Me On」(『Portra』収録曲)ができあがって、お互い意気投合したから"これはバンドとしてやっていくべきだね"となって、今に至っているよ。

-"JOAN"というバンド名はシンプルで、非英語圏でも覚えやすく親しみやすい名前になっていると思うんですが、その由来についてもうかがえますか?

Alan:僕たちの祖父母の名前がJOANなんだっていうのをジョークにしてるんだけど(笑)。本当は結成したての頃、Stevenが携帯でバンド名のアイディアをリストで送ってくれた中に、JOANがあったんだけど、最初に見たときはあまり好きじゃなかった。昔NORMA JEANというバンドを聴いたことがあって、バンド名の響きはおばあちゃんの名前みたいで女性的だけど、音楽性はハード・ロックやスクリーモみたいな重いサウンドだったから、JOANも、そういう女性的な響きとは対照的なジャンルに捉えられるんじゃないかと思ったんだ。でもStevenは"いや、待ってくれ"とグラフィティを送ってきた。90年代の"Seventeen"マガジンのようなフォントでね。"Seventeen"は若い頃のジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオが載っていた、90年代のティーン向けのポップ・マガジンなんだけどね。そのデザインを見たらなんだかいい感じで、イメージも湧いてきたから、"じゃあJOANでいこう"ということになったんだ。

Steven:シンプルで、見た目も良くて響きも良くて、それでいて名前にパーソナリティがあるようなものを探していた。それで、JOANというのが一番いいんじゃないかなと思ったんだ。

-JOANのサウンドは、80年代から2000年代前半までの非常に広いバックグラウンドを感じさせます。こうしたスタイルになった経緯をうかがえますか?

Alan:やっぱり、自分たちが聴いて育ってきた音楽に影響を受けているね。親が聴いていた音楽とかね。例えば90年代のカントリーから80年代のロックとか、ボーイ・バンド系の音楽もそうだし。それらすべてに共通するのは、ポップなことだと思う。でもだからといって、ふたりで座って"じゃあポップの音楽を書いていこう"と決めたわけではないよ。僕たちはどんな人でも繋がれる、親しめるような音楽ということだけを意識して今まで活動してきたんだ。例えばハードコアやヒップホップ、メタルのような音楽を好きな人はいっぱいいると思うけど、そうしたジャンルは一緒に歌えなかったり、ちょっと距離を感じたりする人もいるかもしれない。でもそうではなくて、あらゆる人が聴いて楽しめるような音楽を作りたいという想いから、進化して今のサウンドになっているんだ。今回新しいアルバムを完成させたけど、僕たちにとってはそれも今までのJOANの作品とは違うし、親しみやすい音楽ということにフォーカスしているからサウンド自体は進化しているよ。でも、どこかJOANらしさというものがあるのかもしれない。それが何かは僕たちには説明はできないけど、聴いた人はみんな"JOANっぽいね"と言ってくれるから、そういうものが存在しているのは嬉しいね。

-JOANは活動初期からフィリピン、タイ、シンガポールなどのアジア圏でも人気を獲得していますが、その人気の理由はなんだと思われますか?

Alan、Steven:わからないんだ(笑)。

Steven:本当にクレイジーだよ。バンドが始まって最初の2、3曲をリリースしたときから、アジアの人々が応援してくれるようになったんだ。なぜかわからないけど、とても感謝しているよ。

Alan:もしかしたら、アジアの人々が好きな西洋のポップやインディー・ポップの要素が、自分たちの中にあるのかもしれないけどね。でもなぜかは本当にわからなくて、とにかくありがたいのひと言だよ。