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INTERVIEW

Japanese

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2022年08月号掲載

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Member:長谷川 海(Vo/Gt) 松本 和也(Dr/Cho) 鳥山 昂(Gt/Key) 髙橋 悠真(Ba)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

"こんな音鳴るんや"という発見があった――音楽長いことやってきたけど、まだまだおもろいことはある


-わかりました。では、今作の12曲の中から、特に思い入れの強い曲、あるいは制作中苦労した曲をおひとりずつ挙げてもらえますか?

長谷川:しんどかったのは「ピクトグラム」一択ですね。これは"書かなければならなかった"シリーズで、MVの発想が先にあったんですけど、僕は恋愛を取り扱うのが一番苦手なんですよ。苦手というか、もしかしたら嫌いかもしれない。「knock you , knock me」や「ラブソングはいらない」(2019年9月リリースの2ndシングル表題曲)のような"一聴すると、こうやけど......?"みたいなラヴ・ソングは大好きなんですけど、ただのラヴ・ソングを書くのが苦手で。

-たしかにこの曲は珍しく裏も表もないですね。

長谷川:今の流行り、ラヴ・ソングに求められるものって、わかりやすさやと思うんですよ。それって想像にたやすいことを書くということだから、書き手としてはつまらんくて。やっぱり"これってこういうことなんかな?"と考えてもらったうえで、自分の味に変えてもらうのが、日本の文学の良さやなと思ってきたから、表も裏もなく"こういう曲ですよ"と提示しちゃうのは面白くないなと思うんですよね。だからこそ、曲に書かれへんことはMVで表現して補いましたけど、書くのが難しかったのはこの曲です。

-なるほど。でもアルバム全体を見ると、恋も友情も全部人生だ、というところに着地させていますよね。

長谷川:そうですね。だから、いい意味で恋愛というジャンルがぼやけたし、いろいろな情や業が12曲に収まったなと思っています。そういう意味では、この「ピクトグラム」も必要なスパイスでしたね。

-髙橋さん、1曲挙げるとしたらどれですか?

髙橋:僕は「桜の咲かない春」ですかね。曲を完成に持っていくまでになかなか苦労したというか。やれることもいっぱいあるし、でもやらんほうがいいこともあるというなかで、どういうアンサンブルにしようかと考える時間が多かった。ベースで言うと、(制作時期の)最初のころからいろいろと変化があったし、今振り返ると、個人的には一番苦労した曲だと思います。

-今までの曲では"Aメロが終わってBメロに入りました"、"じゃあ違うことしますか"という感じも少なからずあったと思うんですよ。でも今回は"曲の流れはこうですね"、"じゃあこう変えましょうか"という感じになっている。そこは大きな変化ですよね。

松本:まさに。

髙橋:そうですね。最後まで心地よく聴けるように持っていくためには、どうしたらいいか考えることが多かったし、"例えばこういう感じにしたら、こういう意見が出そうやな"というのを想定しながら作ったりもしたんですよ。家で模索している時間はなかなか大変やったなという思い出がありますけど、いいアレンジにできて良かったです。

鳥山:僕も、1曲選ぶなら「桜の咲かない春」かな。ピアノが一番気に入っている曲だし......"あ、ピアノってこんな音すんねんなぁ"、"まだまだいろいろな音鳴るな"って気づけた曲なんですよ。ピアノ、めちゃ長いことやってきたけど、まだまだおもろいことあるなぁって。

-そういうものがたくさん詰まっているアルバムですよね。

鳥山:そうですね。今回発見したことは今後にも生かせそうやなと思いました。

-松本さんはいかがですか?

松本:ドラムに関しては"できることしかしない"という方針やし、海君の歌が好きでバンドをやっているので"歌の邪魔はしない"という。その2点を大事にしているんですよ。だから"この曲のドラムが"というのが良くも悪くもないんですけど、僕はただただ、「むすんで、ひらいて」が一番大好き。

長谷川:ええ曲よね~。

松本:曲に優劣はつけないってずっと言ってきましたけど、この曲は一番好き。たぶんこの曲だけ再生数おかしいです。今、結んでるのか開いてるのかわからんくらい聴いてる(笑)。

一同:あはははは!

松本:最後の最後でできた曲なんですけど......いや、できて良かったですよ。1stが「三月のマーチ」で終わったから、"あの感じをまたやりたいな"と思ったんですよ。

-かしこまったりせず、わちゃわちゃっと終わるほうがドラマストアらしいんだと当時のインタビュー(※2019年4月号掲載)で話してくれましたよね。

松本:はい。だけど、途中で"いや、今回はちゃうなぁ"、"逆にみんなで肩組んで終わってもええんちゃうか?"と思って。で、"そんな曲、いける?"って海君に聞いたら"そっちのほうがたぶんいけるで"と返ってきて、次の日くらいにもう曲を書いてきてくれて。それを聴いたら100点満点だったので、そのあともほぼ悩まずに完成して、"あれ? 今まで悩んでいた時間はなんやったんやろ?"みたいな感じでした。

長谷川:ホンマになぁ(笑)。最後の曲、結構出てこなかったんですよ。でもバラードやったら書きたいことがあったので......。最初にフットサル仲間の話をしましたけど、僕、そいつらにぽっかり空いた寂しい時間を助けてもらった感覚がすごくあるんですよ。ずっと大阪におったからわからんかったけど、新天地に来て改めて"これって居場所なんやな"と感じたというか。飲食店の店長をやったりして、今までは自分で居場所を作ってきたから、こっちに来て、迎え入れてもらう側になって初めて気づけたことがあったんですよね。だからそういうことを書こうと思ったら、スンスンってOKを貰えたので、感謝やなぁって。

-うん、素晴らしいラストだと思います。

松本:そうですよね。もしも「三月のマーチ」みたいな曲で終わっていたら、それこそ"DRAMA STORE 2"みたいなアルバムになっていたかもしれないので、この曲ができて良かったです。

-最後に、9月13日から始まる全国ツアー("2nd Full Album Releaseワンマンツアー 「LAST DAY(S) LAST TOUR」")への意気込みを聞かせてください。

長谷川:ツアー自体すごく久しぶりやなという感覚がありますし、いろいろなところに行けるのがホンマに楽しみなんですよ。一ヶ所一ヶ所、同じ曲をやっていても違う景色が見えると思うので、アルバムのタイトル通り、今日が終わったら明日が来てしまうからこそ、今日しか作られへん思い出を僕自身一日一日噛み締めていけたらと思います。

松本:僕は、いいセトリを作ります! 頑張りまーす!

髙橋:まず自分らが楽しんで、そのうえで来てくれるファンの子ひとりひとりと向き合うことが一番やから、そこに全集中というか。

松本:あれ? (竈門)炭治郎(笑)?

髙橋:(笑)でも、本当にそれに尽きるし、みんなで一緒に楽しめるライヴを目掛けてやっていきたいなと思っています。

鳥山:せっかくこういうアルバムができたので、1段クオリティが上がったようなライヴができたらなと思います。あとは、北海道を心ゆくまで楽しみたいなと。

長谷川:各地の美味しいものを食べたいですね~。

鳥山:ウニが食べたい。

-私、今月北海道出張があるので、ひと足お先に楽しんできますね。

長谷川:え、ちょっと待って、それが締め(笑)?

鳥山:パス決まりました(笑)。