Japanese
SPiCYSOL
2022年05月号掲載
Member:KENNY(Vo/Gt) AKUN(Gt) KAZUMA(Dr) PETE(Key/Tp/Cho)
Interviewer:山口 智男
テレビ・ドラマ"ねこ物件"の主題歌「Bell」と挿入歌「Coffee And Tea」をカップリングしたデジタル・シングル『Bell / Coffee And Tea』を4月6日にリリースしたSPiCYSOLが4月29日、デジタルEP『TWO』をリリース。アコースティックな魅力を打ち出した『Bell / Coffee And Tea』、バンド・サウンドの醍醐味を追求した『TWO』。ともにブラック・ミュージックをバックボーンに現代の"SHONAN SOUND"を奏でるSPiCYSOLの魅力を、それぞれに違った角度から印象づける聴き応えあるものになっている。
-今月、放送が始まったテレビ・ドラマ"ねこ物件"の主題歌「Bell」と挿入歌「Coffee And Tea」を、SPiCYSOLが担当することになったのは、ドラマのサウンド・プロデューサーであるFace 2 fAKEさんからの、直々のオファーだったそうですね。
AKUN:Face 2 fAKEのOh!Beさんとはコロナ禍前に飲んだりとか、SNSで繋がったりとかしていたんですけど、Oh!Beさんって日光浴が趣味なんですよ。自分のマンションの屋上で日光浴しながら、いつもSPiCYSOLを聴いてくれているらしいんですけど、SNSで繋がっているから僕が猫を飼っていることも知っていて、その流れでご指名いただいたそうです。最初、ドラマ・サイドは主題歌はカントリー調がいいということで、ベテランの方にアコースティック・ギターで弾き語りしてもらうみたいなイメージで考えていたそうなんですけど、Oh!Beさんが僕らを推してくれたんです。
-AKUNさんとKAZUMAさんが猫を飼っていらっしゃるんですよね?
AKUN:そうです。ほんとタイミングが良かったというか、KAZUMAも僕も猫を飼い始めたのは最近と言えば、最近なんですよ。
KAZUMA:1年ぐらいになるのかな。
AKUN:うちの猫、まるっていうんですけど、今月で2歳になるんですよ。もう、がんがんSNSに上げていて(笑)。そのなかで今回の話が決まったので、まるが取ってきてくれたんだって思いながら。
KENNY:そういうことは全飼い主が思っているんじゃない(笑)?
PETE:みんな親バカだから(笑)。
AKUN:まるがいなかったら決まってなかったと思うから、まるにいっぱいCIAOちゅ~るを買おうと思ってます(笑)。
-KENNYさんとPETEさんは飼っていらっしゃらないんですか?
PETE:生まれたとき、うちに猫と犬がいたんですよ。だから猫と犬は同じくらい好きで、毎日欠かさずYouTubeで"タイピー日記"っていう猫と犬を飼っていらっしゃる方の動画を観ています。うちの猫、僕が小学生の頃亡くなったんですけど、20数年生きた長寿猫だったんですよ。それでも悲しくて、未だに夢に出てくるんですけど、それぐらい大好きです。だから自分で飼っちゃうと、ずっと猫と遊んじゃうと思って、AKUNの家に曲を作りにいったときもAKUNの猫がかわいすぎて。AKUNの猫、犬っぽくて、自分でおもちゃくわえて、遊んでって持ってくるんですよ。それがかわいすぎて、曲そっちのけで遊んじゃったから、自分で飼ったらダメだなって思いました(笑)。
KENNY:僕は猫アレルギーなんですよ。かわいいとは思うんですけど、目が真っ赤になっちゃうんで。でも、アレルギーの薬を飲みながら飼ってる友達もいるんで、いつか挑戦してもいいかなと思ってます。
-そんなKENNYさんは「Bell」の作詞をするにあたって、苦労したそうですが。
KENNY:だいぶ大変でしたね。動物と一緒に暮らした経験がなかったので、自分の作詞史上一番時間がかかりました。
-ドラマ・サイドから歌詞についてリクエストはあったんですか?
KENNY:猫と暮らす何気ない日常の中にある幸せを描いた、のほほんとしたドラマですと言われていたので、それをテーマに書きました。
-どんなところから着想したんですか?
KENNY:最初にみんなでZoomミーティングして、こんな歌詞がいいんじゃないかというテーマを出しあったんですけど、俺、あんまりピンと来なかったので、AKUNに猫がかわいいTikTokの動画を10個ピックアップしてもらって、キーワードをできるだけたくさん送ってと頼んだんですよ。それでも難航して、そろそろ書き上げないといよいよヤバいぞってときにもう1回AKUNにLINEして、こんなところがかわいいとか、どんなときにかわいいと思うか、どんなときに思い出すか教えてって根掘り葉掘り聞いて、役作りしました(笑)。
-あぁ、猫好きになりきったわけですね。
AKUN:そしたら、人間と重なるところを歌詞に入れたほうがいいんじゃないかってことになって。
KENNY:それが一番難しいんですよ。
AKUN:それで、どういうときに人みたいに思うかというか、ペットの域を超えてくるかっていうのを、キーワードで出していったんです。
-KENNYさん自身、「Bell」の歌詞の中で、ここはよく書けたと思うところは?
KENNY:1番の""ただいま"と言える日々は"って思ってたんですけど、この間取材で、"2番の「目と目合わせるだけの/言葉もあるんだよ」ってところが一番ぐっと来ました"と言ってもらえたので、そっちにします(笑)。
-僕は"君への愛で 揺れる鈴の音"がいいなと思いました。
KENNY:僕は風景を思い描いて、それを言葉にすることが多いんですけど、その歌詞はすごーい優しい、石原さとみさんの――
AKUN:ふんわり鏡月!
KENNY:そう、夏、浴衣を着て縁側でうちわをパタパタしながら――その画が出てきました(笑)。だから、そういう優しいふわっとした画から出てきた言葉ですね。最初は、"君への愛でそっと温もる"みたいなちょっと抽象的な歌詞が仮で入ってたんですけど、そこはFace 2 fAKEさんと相談して、タイトルと引っ掛けていこうかってところに落ち着きました。
-"揺れる鈴の音"という歌詞からタイトルが"Bell"になったんですか?
KENNY:いえ、逆です。"ただいま"のチャイムもベルだし。
-あぁ~。
KENNY:"最終の電車に揺られてた"という歌詞があるんですけど、バイバイするときの列車の発車音もベルって言うし、首についてる鈴もベルだし、そういうダブル・ミーニング、トリプル・ミーニングを引っ掛けたんですよ。
-そうだったんですね。そこまで気づかずに種明かししてもらっちゃいました。「Bell」の歌詞の中で、猫とは歌っていないじゃないですか。だから、猫じゃなくて、恋人のことを歌っているようにも聴こえるのかなって。
KENNY:猫だけじゃなくて、大切な人に対しての曲ということで、そこはぼかしました。でも、僕のプライベートはあんまり関係ないです(笑)。
-「Bell」の作曲はFace 2 fAKEさんで、編曲はFace 2 fAKEさんとバンドの連名です。
AKUN:Face 2 fAKEさんが作ったものをできるだけ再現しようと思いました。楽曲を提供してもらうってことが初めてだったので、こっちの意見を言いすぎたら、これまでと変わらないじゃないですか。だったら、逆に乗っかってみようってなりました。
KENNY:最初に貰ったデモを、僕らなりにブラッシュアップして、それをさらにFace 2 fAKEさんがさらにブラッシュアップして、という作り方でしたね。
AKUN:そのなかで、久しぶりにギターをいっぱい入れました。そういうのは自分たちの楽曲では逆に避けていたんです。音を重ねると、音が細くなっちゃうから、なるべく重ねないようにしていたんですけど、今回、アコースティック感を強めたいというドラマ・サイドからの要望があって、アコギを3本、エレキを2本ぐらい重ねたんです。
-そして、「Coffee And Tea」は、作曲がFace 2 fAKEさんで、作詞がシンガー・ソングライター、Michael Kanekoさん。全編英語の歌詞というのは、SPiCYSOL初だそうですね。
KENNY:ドラマ・サイドから挿入歌は英語で歌ってほしいとオファーを貰って、英詞だったら、マイキー(Michael Kaneko)が抜群でしょってなりました。他にもいろいろ候補はいらっしゃったんですけど、面識もあったし、アーティストとして尊敬もしているし。マイキーにお願いしたかったので、僕らのわがままを聞いてもらいました。対バンしたこともあるんですけど、対バンする前から僕ら、彼のファンだったんですよ。
-お任せだったんですか?
KENNY:僕のスケベ心で、「Coffee And Tea」の頭文字ってCATになるんですよ。
-あ、ほんとだ! 全然気づかなかったです(笑)。
AKUN:それ、スケベ心なの? 表現合ってる(笑)?
KENNY:そういう言葉遊びをしたかったんですよ。歌詞を書けるほど英語はできないけど、せめてタイトルぐらいは付けたいと思って、最初からそれは決めていて。何気ない日常にはコーヒーもお茶もつきものだと思うから、そういう感じで書いてとタイトルだけ投げました。
-PETEさんのトランペット・ソロも聴きどころではないでしょうか。
PETE:あれ、フリューゲルホルンなんです。どっちかに入れたいと思ってたんですけど、雰囲気的に合っているのはこっちだろうってことで、「Coffee And Tea」に入れたんですよ。Face 2 fAKEさんが作る曲ってブラスが入ることが多くて、当然、ブラスに関する造詣も深いんですけど、そういう人たちの中でレコーディングするってことが久しぶりで、すごい緊張感を持ってできたんです。
AKUN:毎回持ってくださいよ(笑)。
PETE:いや、いつも俺、レコーディングのとき別の日にひとりで録ったりすることが多いから緊張感も何もなくて(笑)。でも、今回はいろいろアドバイスも貰えて、これまでやったことがない表現方法で録ったので面白かったです。歌心ってことだと思うんですけど、フリューゲルホルンとかトランペットとかではなかなかやらないってくらい、強弱をつけることを求められて、むちゃぶりするなぁと思いながら、そういうやり方もあるのかって勉強になりました。聴いている人はそこまでわからないと思うんですけど、この曲にはフリューゲルホルンがとても合ってると思います。
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