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INTERVIEW

Japanese

snooty

2022年03月号掲載

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Member:深原 ぽた(Gt/Vo) ユトリミサ(Ba) しおり(Dr)

Interviewer:稲垣 遥

-その「マイライフ」のあとは、既発曲が5曲続きます。今回1stフル・アルバムに入れるにあたって、リリース済みの曲の中からこの5曲を改めて入れようと決めた理由はなんだったんですか?

深原:よくライヴでやる曲です。ライヴでやるってことは、みなさんに聴いてほしい、伝えたいことが詰まってる曲だから選んだのかなって今聞かれて思いました。

-なるほど。そして、「吉祥寺とオレンジ」は東京初ライヴでも演奏していた曲ですね。これは吉祥寺に来たことがきっかけで作った曲なんですか?

深原:そうですね。私、弾き語りで活動をしてたんですけど、弾き語りで初めて東京でライヴをしたのが吉祥寺WARPで、この曲は吉祥寺WARPでライヴをした次の日にできた曲です。ライヴハウスに一歩一歩近づいていくときの自分っていうストーリーの曲ですかね。

-ということは、この"オレンジ"ってライヴハウスを表してるんですね?

深原:はい。そのとき工事中だったんですけど、WARPの看板がオレンジだったんですよね。だからオレンジっていう印象がすごくあって。

-そういうことだったんですね。じゃあ、ミサさんとしおりさんはまだ吉祥寺の風景をそんなに知らないまま作っていった感じですか?

ミサ:まったく知らなかったです。

しおり:うん。

-そうなんですか。情景が結構浮かぶ描写の多い歌詞でもあるので。

ミサ:そうですね。だから、歌詞の中にある商店街を走ってとか、カルガモに名前を付けたとかは私が知っている商店街とか、カルガモがいそうな池とかに置き換えて想像してました(笑)。

-ちなみに、それ以降は吉祥寺には行かれました?

ミサ:この間ライヴのときに。

深原:近くを通ったって感じだよね。

しおり:"おぉ~!あそこのこと?"って。

深原:私、2日間吉祥寺にいたときに井の頭公園にめっちゃ行ってたんですけど、この間はそっち側じゃなくて、あまり私も見たことがないような場所を3人で通ったので、曲の中の吉祥寺は(ミサ、しおりは)まだ見られてないぞって思ってます。

ミサ:行ってみたいですね。

-3人で歌うコーラスもあるので、お客さんと一緒にライヴで歌って完成するような感じもします。

深原:そうですね。今はできないかもしれないですけど、心の中でみんな歌ってくれたら嬉しいなって思います。

-最後にわちゃわちゃした3人の声が入っているのにも、なんだかぐっときてしまいました。

深原:(笑)なんて言ってるかわかりましたか?

-最後の最後に、シュウマイって言ってます?

深原:正解です(笑)。めっちゃ楽しかった。

ミサ:なんでガヤ入れようってなったのかあんま詳しく覚えてないけどね。"演奏しながら合間合間にこういう喋り声とか入れる人もいるよ~"みたいなことをスタッフさんが言ったのかな? "そういうのやってみたら面白いかも"、"試しに録る?"みたいな感じだったよね。

深原:軽いノリだったよね。

しおり:たしかに。そのまま採用されましたよね。

深原:とりあえず素材だけは録って、あとはミックスしてくださる方に"必要だったら入れてください"みたいな感じで(笑)。もう勢いだよね。何種類か録って、たぶん全部入れてくれました。

-なんでシュウマイなんですか(笑)?

深原:あははは(笑)。私がふざけ出して、好きな食べ物を叫んでいくって自分の中で決めて、V6の"学校へ行こう!"の屋上から叫ぶやつあるじゃないですか。先陣切って、あれ風に言ったらみんな言い出して。その中でしおりちゃんだけアウトロの尺が足りなくて好きな食べ物名が言えなかったので、私が代わりにシュウマイを言い残して終わりました。

-なるほど(笑)。で、ポップで軽やかな感覚になって、ここで終わってもいいかなというところから、「青と足跡」で最後にズドーンと気怠く重ためのシューゲイズで締めるのには、snootyというバンドの芯みたいなものを感じましたが、何か意図はありましたか?

ミサ:「青と足跡」ってエンドロールっぽいなと思って。

深原:これはさっと決まりましたね。

-もっと言えば"楽しい!"だけで終わらせない感じがありました。

深原:あはは(笑)。

ミサ:「吉祥寺とオレンジ」を最後に持ってきても本当にいいぐらいだったし、逆に最後以外どこに入れる? みたいに悩んだ部分はあったけどね。

深原:うん。歌詞の"私は歌を歌っているんだ"で終わるところが、ミサちゃんの言った通りアルバムのエンドロールになるなっていう印象なので、最後かなっていう想いがありましたね。

-「一閃」の歌詞じゃないですが、ライヴハウスでライヴを観たあとの耳鳴りみたいな余韻がありました。では、新曲中心にいくつか抜粋して聞いてきましたが、それ以外の曲も含めて、今作で特に思い入れのある曲や聴きどころを教えてください。

しおり:「一閃」が私的にやっぱり苦戦しました。いつもはスタジオに入って合わせながら作っていくのが多かったんですけど、この曲は結構リモートで。打ち込んでデータを送ってという感じにしてたので、ちょっとてこずりました。あとで実際に叩いてみて、おぉー? って(笑)。

-(笑)そのぶん技術的にはアップできましたか?

しおり:そうですね。そのぶんもりもりいろんなことを入れられたのかなと思います。

ミサ:私は言った通り「一閃」で心折れそうになったとかもあるんですけど(笑)、アルバムの中だったら「吉祥寺とオレンジ」がもともと好きで、この曲絶対音源化したいなとすごく思ってたので、それをやっと形にできて、嬉しかったのがベースの音にもたぶん出ているかなと思います。本当に"やった! 録れる~!"って感じで弾いてたので。そこを感じてもらえたらいいなぁという意味で、「吉祥寺とオレンジ」を聴きどころの1曲としたいです。

深原:全部聴きどころ満載な曲たちだなって自負しているんですけど、一番自分の中で斬新だなと思う曲が「6%」なんです。初めてヴォーカルにコーラスっていうエフェクトをかけてて、遊び心満載な曲ができたなと。あと、他の曲にはないような始まり方をしているので、1音目からわくわくできるかなと思います。これもスタジオで、イントロのジャッジャッジャッていうところを遊びながら鳴らしてたら、そのまま採用になった曲なので、聴いてる人も楽しい気持ちで聴いてくれると嬉しいですよね。

-「6%」は「青と足跡」にも繋がることを歌っている気がします。"私は私のままでいいのさ"のところとか。

深原:はい。自分自身の日常ですかね(笑)。日常の中の情景を切り取って歌詞にしたり、そのときの気持ちを歌っていたりするので、「青と足跡」みたいに、歌ってて自分自身も元気を貰える曲になったなと思います。

-アルバムには"たゆたう"っていうタイトルが付けられましたけど、ここにはどんな気持ちを込めましたか?

深原:"たゆたう"はゆらゆら揺れるという意味なんですが、このアルバムはsnootyのベスト盤みたいになったなっていうのがあって。これまでの活動を振り返るといろんな感情になることを経験してきたので、揺れてるというか、感情の振り幅として"たゆたう"ってタイトルを選びました。

-そして、今作を引っ提げてリリース・ツアー[1st Full Album『たゆたう』Release tour"「たゆたう」~旅する僕らの心音~"]を行うわけですが、ツアーとして回るのは初めてですよね。

深原:そうですね。県外はちょこちょこ行ったことあるんですけど、ツアーですと言って回るのは初めてです。ちょっと不安定な時期なので、いろいろ大変だと思うんですけど、これまでの自分たちとこれからの自分たちをいろんな場所で披露して、どんどん大きなバンドになれたらいいなと考えています。

しおり:いろんなところに行く機会があるのは本当にありがたいです。たくさんの人に私たちの曲を知ってもらえるいいきっかけになるだろうし、アルバムには様々な感情の曲が入ってて、いろいろな人の感情に寄り添えると思うので、しっかり届けられるように頑張ります!

ミサ:アルバムのリリース・ツアーということでアルバムの曲をどんどんやっていくんですけど、ぽたちゃんが言ってたみたいに、今まで私たちが悩んだり決断したりしたいろいろな感情の浮き沈みが表れた曲が、ぎゅって詰まってるアルバムだと思うので。いろいろ悩んだけど、自分たちで正しいとかいいと思うものを選んでここまでやってきた、集大成のライヴになるかなと。なので、曲を聴いてもらうのはもちろん嬉しいんですけど、特に最近モヤモヤしてるとかなんかうまくいかないとか、迷ってることがある人こそライヴに来てもらって、私たちもいろいろあったけど、決断を重ねてここまできたよっていう姿を見せて、音楽として後押しできたらいいかなって考えています。

-snootyって始まったのは4年前ですけど、ちょうどコロナ禍で全国へ向けて走り出したバンドだから、その言葉に説得力がありますね。

深原:たしかに。そういう人たちの背中を押せたら嬉しいです。

ミサ:うん。寄り添いたいっていうのはしおりちゃんが言ってくれたんですけど、それは結成したときから4年間ずっと3人で言ってることなんで、こだわっていきたい気持ちはありますね。できればその空気感を共有したいので、私も頑張ります。