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INTERVIEW

Japanese

シンガーズハイ

2021年10月号掲載

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Member:内山 ショート(Gt/Vo) ほりたいが(Gt) みつ(Ba) りゅーいち(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

2020年に結成された4ピース・バンド、シンガーズハイ。これまでに配信シングルで4曲リリースし、今年4月に新代田FEVERで初ライヴを、7月には東名阪ツアーを開催。入場人数を抑えている状態とはいえ下北沢SHELTERをソールド・アウトさせるなど、今じわじわと話題を集めているところだ。鋭いハイトーン・ヴォイスにド派手なギター、衝動に満ちたバンド・サウンドは勢いに満ちているが、ライヴ・アレンジにしてもよく聴くとかなり練られていて、衝動一辺倒ではない印象も受ける。冷静と情熱が同居するサウンドを鳴らすのは、バンドでの挫折経験を持つ、ゆえにどこか俯瞰的な視点を持つフロントマンと、彼より3歳若くスポンジのように知識を吸収するメンバー。全国デビューを前に、バンド初のインタビューに応じてもらった。

-この4人はどうやって集まったんですか?

内山:僕がもともと広島で大学生をしながらバンドをやっていたんですけど、バンドが頓挫しちゃって、大学もやめちゃって。やることがなくなったので勢いで東京に来たものの、音楽をやるにしても、東京には知り合いや友達がまったくいなかったので、SNSで呼び掛けてみたんです。そこで、最初に連絡をくれたのがベースのみつでした。

みつ:はい。僕は、内山が前に組んでいたバンドと対バンしたことがあったんですけど、そのときには内山がすでに抜けていて、他のメンバーだけでツアーをまわっていた状態で。

内山:ツアーの途中で"もう無理!"ってなって急遽やめちゃったんですよね。残りのメンバーには申し訳ない展開になっちゃったんですけど。

みつ:なので、内山とは会ったことがなかったんですけど、前のバンドの魅力は知っていたので、"あのバンドのヴォーカルか、東京に来てたんだ"と気になって連絡しました。

内山:そのあと、みつにりゅーいちを、りゅーいちにたいがを紹介してもらって。

みつ:りゅーいちと僕は高校時代に仲が良かったんですけど、こいつ、MOSHIMOのMVに出ていたんですよ。それがきっかけで活動を調べてみたら、"あ、ドラムやってるんだ"と知って。ツービートが好きなのは知っていたので、"ツービート叩けるから一緒にスタジオ入ろうぜ"と誘いました。

りゅーいち:"おぉ、マジか!"ってまんまとつられましたね(笑)。

みつ:りゅーいちとたいがは専門学校が同じで、且つ、もともと一緒にバンドを組んでいて。

ほり:バンドは解散しちゃったけど、りゅーいちとはマインドが近かったので"解散しても一緒に何かやろうね"と話していたんです。そしたら、(りゅーいちが)俺の知らないところでシンガーズハイを組んでいて。"どういうこと?"、"何も聞いてないんだけど"って言ったら、"リード・ギター探してるっぽいよ"ってあとから言ってきやがって(笑)。

内山:(笑)最初にたいがを紹介してもらったとき、りゅーいちは"いやー、でも癖が強いやつだから合うかわからないよ?"って言ってたんですよ。だから俺らもちょっと身構えてたけど、映像を見せてもらったら、とにかく抜けのいいギターを弾く人だなぁと思って。僕らがやっている音楽はギター・ロックにあたると思うんですけど、ギター・ロックなのにギターの主張が弱い音楽が個人的に好きじゃなくて。そういう意味でとても気に入ったので、ウェルカムという感じでした。

-内山さんがSNSで呼び掛けてから4人が揃うまでは、どのくらいのスパンでしたか?

内山:僕がSNSで呼び掛けたのが2020年の3月。この4人が揃って"じゃあバンドを組みましょう"となったのが6月。そして初めての作品として「グッドバイ」をリリースしたのが8月でした。

-そのあと今年の4月に初ライヴを行ったんですよね。コロナの影響もあり、結成したもののなかなかライヴができず、フラストレーションもあったんじゃないですか?

内山:実はもともと"すぐにライヴがしたい"という感じじゃなかったんです。というのも、広島にいた頃バンドを組んでライヴハウスのブッキング・ライヴに出て、でも始めたばかりだからお客さんなんて呼べず、ノルマをただ払い続けて......って生活を続けていたんですけど、"それって意味があるのかな?"という気持ちが正直あって。

-ある程度お客さんの認知を得てからライヴをした方が効果的なんじゃないかと。

内山:そうです。なので、シンガーズハイに関しては"まずは作品を先に作ってみんなに観てもらおう"というスタンスだったし、いずれライヴをやるにしても、せっかくお客さんに観てもらえるなら、クオリティをちゃんと求めなきゃいけないと思っていたので。スタジオで時間をかけて温められたのは良かったです。

みつ:あと、"初ライヴは自主企画がいい"、"初めてのライヴなんだから自分たちが主役でやりたい"という気持ちが4人共通であって。

内山:うん。最近実際にライヴをやるようになってきたんですけど、いつも来てくれるお客さんの姿やフロアの埋まり具合を見るに、自分たちなりに、いいスタートを切れたんじゃないかなと思っています。

-曲はどういうふうに作っているんですか?

内山:まず、僕がギターで適当にコードを弾きながら、メロディを口ずさんだり、降りてきたフレーズを試したりしながら原型を作っていって。そのあとにベース、ドラムが入った3ピースの状態でデモを作るんです。リード・ギターに関しては完全にたいがに丸投げで。

-ギターは好きに弾いてくれということですね。リード・ギターの主張が強いほうが好みとのことでしたが、ヴォーカリストとして、ギターよりも自分のほうが目立ちたいという欲はないんですか?

内山:僕はもう、この声で歌っている時点で勝手に主張が出ちゃうので。

-おぉ......! でもその発言にも納得できるレベルで、内山さんのハイトーン・ヴォイスは確かにインパクトがあります。

内山:もともと高い声が出なかったんですよ。高校生のときに、土日に遊びに行くような友達もいなかったから、ひとりでカラオケに行って、フリータイムで1日中歌い続けるということをよくやっていて。で、当時友人にクリープハイプを教えてもらったので、"せっかくだし歌えるようになりたいな"と練習していたら、出せるようになっちゃったんです。自分で曲を書くようになったのは大学に入ってからなんですけど、"せっかく出せるんだし、どうせだったら高い声のほうがみんな面白がってくれるんじゃないか"ということで、ハイトーンで歌うような曲を中心に書いていって。

-なるほど。みなさん、音楽的なルーツはどのあたりにあるんですか?

内山:僕が音楽を好きになったきっかけはGReeeeNやFUNKY MONKEY BABYSのようなJ-POPで、ギターを始めたのはスピッツの影響でした。ギターを始めてからはクリープハイプやRADWIMPSのようなバンドも聴くようになって、あとは、ボカロもよく聴いていましたね。米津玄師さんはハチさんの頃から聴いていたし、じんさんも聴いていました。

みつ:僕は小さい頃、SEKAI NO OWARIのパフォーマンスをテレビで観たときに、その世界観にのめり込んでしまって。それがきっかけで音楽に興味を持ち、UNISON SQUARE GARDENや04 Limited Sazabysみたいなバンドを聴き漁り、ライヴに遊びに行くようになりました。何回も行くうちに、観る側ではなく演る側の景色を観てみたいなと思い、ベースを始めました。

-りゅーいちさんはツービートが好きなんでしたっけ。

りゅーいち:そうですね。メロコアも好きなんですけど、ジャンル問わず、自分が好きだと思った曲はとことんリピートしちゃうタイプです。内山君も好きって言っていたGReeeeNは僕もめっちゃ聴いていました。

内山:その情報は初めて知ったな(笑)。

りゅーいち:バンドを聴くようになったのはお姉ちゃんの影響なんですけど、ある日、YouTubeの関連動画でKEYTALKを見つけて。それまではアーティスト自体を好きになるというよりかは曲単体で好きになることが多かったので、KEYTALKは初めて好きになったバンドでした。CDも買いまくったしライヴにも行きましたね。

ほり:僕のルーツはB'zですね。ギターを弾くにあたって、松本(孝弘)さんからはだいぶ影響を受けています。あと、KEYTALKの(小野)武正さんの存在も大きいですね。今使っている黒のSGは武正さんの影響で買ったものです。

-KEYTALK好きがふたりもいるんですね。そしたら、KOGA RECORDSからリリースできることに決まって、かなり嬉しかったのでは?

りゅーいち:そうですね!

ほり:めちゃめちゃ嬉しかったです!

内山:うちのバンドは、各々の趣味に若干ズレがあっても、明らかに被っている共通項みたいな部分もしっかりとあるんです。例えば、僕はりゅーいちほどメロコアには詳しくないんですけど、SHANKのように、ツービートでいいメロディを歌うバンドは好きだし。B'z好きの彼(ほり)は、特に2010年あたりのB'zが好きらしいんですけど、僕が好きなのもちょうどその時期で。

ほり:いや、2011年ね!

みつ:あはははは! 細けぇ!

内山:そういうふうに被っている部分が結構あるから、お互いに曲を教え合って"こういう曲いいよね"って盛り上がることもあるし。全員が食わず嫌いをしないタイプなのは僕らのいいところだと思うので、自分たちの音楽性をあまり限定せずに活動していければいいなぁと考えています。

-今回のアルバムにも様々なタイプの曲が収録されていますね。

内山:そうですね。まず、リズム・パターンが全部違いますし。

ほり:ギタリスト目線でも、自分の好きなことをめちゃめちゃやれたなぁと思います。僕は音楽系の専門学校に通っていたんですけど、学校に通い始めたタイミングとバンド結成のタイミングがちょうど同じくらいだったので、学校で習ったことを曲に当てはめてみたりして。"これ、進研ゼミでやった!"じゃないですけど(笑)。

内山&みつ&りゅーいち:あはははは!

ほり:勉強したことが生かせるのが嬉しかったですし、"ここで自分の個性を入れてみたら面白いんじゃないか"というようなことを考えるのが楽しかったです。

-りゅーいちさんはどんなアルバムになったと思いますか?

りゅーいち:そうですね......すごいミニ・アルバムです!

みつ:今、完全に油断してたでしょ(笑)。

りゅーいち:油断してた(笑)。

内山:りゅーいちは、スタジオに入って個人練をすることがすごく好きな子なんですよ。基礎練を苦と思わずにできるのは、ドラマーとしてすごくいいことだと思うんですけど、さっきも言ったように、今回のアルバムは全曲リズム・パターンが違うので、挑戦できることが多かったんじゃないかと。......という助け舟を出したけど、どう(笑)?

りゅーいち:乗っからせてもらうと(笑)、正直僕の引き出しにはないような曲もあったので、デモを聴いて"俺にできるかな?"と思うこともあったんですよ。そこから近いジャンルの曲を探して聴いたり、学校の先生に教わったりしながら、叩けるようなマインドに持っていって。大変な思いはしたけど、いろいろな人の助けを借りて、形にすることができました。